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平成27年度:各会計決算及び各基金の運用状況審査意見書
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本ページの目次
まとめ
佐渡市の平成27年度一般会計及び特別会計の歳入合計額は721億8,624万6千円、歳出合計は698億2,577万8千円となっており、前年度と比較すると歳入は40億6,230万3千円の減、歳出は39億1,502万4千円の減となっている。
主な要因としては、歳入において、財政調整基金繰入金の減により繰入金の総額が減となったほか、総合体育館建設事業の完了に伴う国庫支出金及び市債の減などである。
なお、財政調整基金の当年度末残高は89億1,750万9千円で、前年度末より9億4,561万3千円増加している。佐渡市財政計画では、地方交付税の合併特例期間終了に備えてこれまで積み立ててきた財政調整基金や減債基金等の残高について、標準財政規模の一定水準を確保するよう積立を行うこととしており、平成27年度末現在高はこの計画よりはるかに高い額となっている。現在の計画は平成25年12月に変更したものであり、今後、見直すこととしているが、諸施策の変更も伴うことから、適切な見直しと計画に基づいた執行に努められたい。
また、一般会計における自主財源の総額は前年度より35億5,614万2千円少ない106億9,662万3千円で、歳入総額に占める割合は4.8ポイント低い21.8%になっている。これは、繰入金23億425万円、財産収入7億8,687万3千円、市税1億6,969万1千円、繰越金1億6,888万9千円及び諸収入1億6,469万6千円が減少したことによるものである。今後益々財源が不足する中、市税をはじめとする自主財源の確保に努められたい。
一方、特別会計を含めた自主財源における収入未済額の合計は11億417万1千円であり、前年度と比べ3,580万8千円減少しているが、これは不能欠損額8,730万1千円を計上したことが要因である。
地方交付税の減少や地域経済の低迷による市税の伸び悩みなど、今後さらに厳しい状況が予想されるなか、多額の収入未済額は財源確保と受益者負担や市民負担の公平性の点で問題である。
収入未済額については佐渡市の財政運営上大きな課題と捉え、各徴収担当課は早期の対応と担当部署間の横断的連携等により解消することとし、さらに新規滞納の発生の未然防止に向けた取り組みを強化されたい。
また、不能欠損処分については、安易に執行することなく、厳正な調査と手続きにより適正に対応されたい。
地方財政状況調査等にみる財政力指数は0.248で前年度より0.006ポイント下降、財政構造の弾力性を示す経常収支比率は85.5%で前年度より0.2ポイント下降し、財政がやや硬直化している。地方公共団体の財政の健全化に関する法律における健全化判断比率の一つとなっている実質公債費比率(3か年平均)は13.2%と前年と同率となっている。
佐渡市の財政構造は、歳入の約半分を地方交付税が占めているが、5年間の激減緩和措置のあと、平成31年度からは一本算定に完全移行し、交付税は大幅に減少する見通しである。このため、市の予算規模を大幅に縮減していく必要があることから行財政改革を確実に実施するとともに、職員の意識改革を一層進め、予算の適正かつ効果的な執行に努められたい。
次に不適正な予算執行及び改善を求める事務処理について意見を述べる。
- 財産に関する調書の物品について、財産台帳との整合性が取れていないもの、財産の取得報告漏れ等により調書に載らないものが多数見受けられた。財産の管理については、以前から決算審査で指摘をしてきたところであるが、全く改善がされていない。財産の適正管理のため、何処に原因があるのかも含め早急に整理されたい。
- 補助金のあり方については、地方自治法第232条の2の規定のとおり、公益上必要がある場合においては寄付又は補助をすることができるとしている。補助金については、決算において多くの所管課に返還金が見られた。その内容は、補助事業者の虚偽の実績報告によるもののほか、実績報告書の添付書類の不備や補助対象経費として認められない経費の算入など不適正な事例が見受けられた。補助事業における事務処理については、佐渡市財務規則や補助金等交付規則更には補助金交付要綱等に従って、申請内容の十分な審査や完了時の厳正な検査を適正に行われたい。
- 市職員による時間外勤務手当の不正受給に係る損害弁償金及び博物館施設等の公金横領に係る損害弁償金の合計額955万444円の納入を確認した。改めて事の重大さを実感するとともに、再度このような不祥事が起こらないよう、日頃から市職員のコンプライアンスに対する意識を徹底されたい。
一般会計
歳入総額のうち主なものは、地方交付税、市債、市税、国庫支出金などである。特に地方交付税は230億7,129万7千円で歳入全体の46.9%を占めている。
市債発行額の歳入全体における割合は13.5%で、前年度と比較すると収入済額は9億964万5千円の減となっている。これは合併特例債の発行額が34億2,670万円で、前年より9億120万円減少したことが主な要因である。地方債現在高は、前年度より4億8,606万4千円減少し、611億2,868万円となっている。
市税の収入未済額の内訳は、市民税9,508万3千円(個人市民税8,574万9千円、法人市民税933万4千円)、固定資産税5億2,631万2千円、軽自動車税1,337万9千円、入湯税117万1千円となっている。
市税の収入未済額と徴収率の推移
個人市民税 | 法人市民税 | 固定資産税 | 軽自動車税 | 入湯税 | 未済額 | 徴収率(%) | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
平成23年度 | 126,719千円 | 9,865千円 | 540,029千円 | 17,746千円 | 1,363千円 | 695,722千円 | 88.2% |
平成24年度 | 112,200千円 | 9,057千円 | 560,309千円 | 15,944千円 | 1,245千円 | 698,755千円 | 88.1% |
平成25年度 | 112,305千円 | 8,559千円 | 556,871千円 | 15,449千円 | 0 | 693,184千円 | 87.8% |
平成26年度 | 88,511千円 | 7,680千円 | 563,922千円 | 14,012千円 | 0 | 674,125千円 | 88.2% |
平成27年度 | 85,749千円 | 9,334千円 | 526,312千円 | 13,379千円 | 1,171千円 | 635,945千円 | 88.2% |
市税を除くその他自主財源の収入未済額は6,871万4千円となっており、前年度と比較すると2,076万6千円(23.2%)の減となっている。
その他自主財源の収入未済額の主なものは、保育料が1,777万8千円(収納率93.1%)、住宅使用料等が3,461万7千円(収納率85.8%)であり、この合計額5,239万5千円は、市税を除くその他自主財源の収入未済額全体の76.3%を占めている。
その他自主財源の収入未済額及び収納率の推移
保育料 | 住宅使用料等 | その他 | 収入未済額 | 収納率(%) | |
---|---|---|---|---|---|
平成23年度 | 16,108千円 | 67,874千円 | 7,346千円 | 91,328千円 | 98.4% |
平成24年度 | 18,258千円 | 60,226千円 | 9,970千円 | 88,454千円 | 98.6% |
平成25年度 | 21,816千円 | 49,613千円 | 10,802千円 | 82,231千円 | 98.7% |
平成26年度 | 20,018千円 | 39,075千円 | 30,387千円 | 89,480千円 | 99.0% |
平成27年度 | 17,778千円 | 34,617千円 | 16,319千円 | 68,714千円 | 98.7% |
歳出については、支出済額は476億9,364万6千円で40億9,462万3千円(7.9%)の減となっている。これは、人件費及び公債費の減少や、総合体育館建設事業、相川支所・相川消防署庁舎等建設事業などの完了により、普通建設事業が大幅に減となったことが主な要因である。また、予算執行率は93.4%である。
構成比率で上位を占めているものは、民生費21.2%、総務費16.4%、公債費16.0%、教育費9.8%となっている。
特別会計
11特別会計の歳入総額は230億3,902万7千円、歳出総額は221億3,213万2千円で形式収支は9億689万5千円の黒字決算である。そこから翌年度繰越財源を除き、前年度の実質収支を差引いた単年度収支は2億276万8千円の黒字、財政調整基金積立金などを加味した実質単年度収支においても3億8,805万4千円の黒字となっている。
なお、一般会計から特別会計への繰出金は44億6,504万6千円、特別会計から一般会計への繰出金は1億2,406万6千円となっている。
国民健康保険特別会計
歳入については、国民健康保険税の改正による減があったものの、前期高齢者交付金や共同事業交付金の増により、歳入総額は前年度と比べ8億3,550万6千円(11.2%)の増となっている。
また、歳出は保険給付費、後期高齢支援金及び介護納付金などは減となったが、保険財政共同安定化事業拠出金が増加したことで、歳出総額は、前年度と比べ8億75万3千円(11.1%)の増となっている。
国民健康保険税の収入未済額は2億9,571万8千円で、前年度と比べ709万5千円(2.3%)の減となっている。徴収率は82.2%で、前年度より0.7ポイント上昇している。
国民健康保険税の収入未済額と徴収率の推移
収入未済額(千円) | 徴収率(%) | |
---|---|---|
平成23年度 | 312,283千円 | 79.4% |
平成24年度 | 319,047千円 | 79.9% |
平成25年度 | 316,898千円 | 80.4% |
平成26年度 | 302,813千円 | 81.5% |
平成27年度 | 295,718千円 | 82.2% |
後期高齢者医療特別会計
前年度と比較すると歳入総額は、一般会計繰入金の増があったものの、被保険者数の減により保険料が3,015万2千円減少したため、2,460万3千円(3.4%)の減となっている。歳出総額は広域連合納付金の減少により2,189万円(3.1%)の減となっている
保険料の収入済額は4億1,082万7千円で、前年度と比較すると3,015万2千円(6.8%)の減、収入未済額は282万1千円で69万4千円(19.7%)の減となっている。
収納率は99.3%で、前年度より0.1ポイント上昇している。また、不納欠損額は9万4千円で前年度と比較し2万7千円(21.9%)の減となっている。
後期高齢者医療保険料の収入未済額と収納率の推移
収入未済額(千円) | 収納率(%) | |
---|---|---|
平成23年度 | 4,587千円 | 98.9% |
平成24年度 | 4,624千円 | 98.9% |
平成25年度 | 4,628千円 | 98.8% |
平成26年度 | 3,515千円 | 99.2% |
平成27年度 | 2,821千円 | 99.3% |
介護保険特別会計
前年度と比較すると歳入総額は、基準額や段階区分の保険料率の変更により、保険料が1億4,103万8千円の増、支払基金交付金及び繰入金は減とはなったが、繰越金等により1億4,417万7千円(1.7%)の増となっている。
歳出総額は保険給付における給付実績は減とはなっているものの、基金積立金、償還金の増により、2,709万5千円(0.3%)の増となっている。
保険料の収入済額は14億8,224万4千円で、前年度と比較すると1億4,103万8千円(10.5%)の増、収入未済額は2,894万6千円で158万4千円(5.8%)の増となっている。収納率は97.9%で、前年度より0.1ポイント上昇している。また、不納欠損額は290万9千円で43万7千円(13.1%)の減となっている。
介護保険料の収入未済額と収納率の推移
収入未済額(千円) | 収納率(%) | |
---|---|---|
平成23年度 | 19,057千円 | 98.2% |
平成24年度 | 22,649千円 | 98.1% |
平成25年度 | 25,779千円 | 97.9% |
平成26年度 | 27,362千円 | 97.8% |
平成27年度 | 28,946千円 | 97.9% |
簡易水道特別会計
前年度と比較すると、歳入総額は4億1,263万9千円(29.8%)の減、歳出総額は4億5,567万9千円(34.3%)の減となっている。これは、前年度から繰越した建設改良事業の完了に伴い、国庫支出金、市債などの収入が減少したことや、地方公営企業法が適用されたことにより打ち切り決算を行ったことで、収入未済額及び不用額が増加したことが影響している。
なお、同法の規定による特別会計に歳入歳出差引残額9,987万1千円を引き継いだ。使用料及び手数料の収入済額は2億8,868万1千円で、前年度と比べて3,413万2千円(10.6%)の減、収入未済額は3,449万円で3,181万5千円(1,189.4%)の増となっている。収入未済額の内訳は使用料3,446万6千円、手数料2万4千円である。
収納率は89.3%で、前年度より9.8ポイント下降している。
簡易水道特別会計における使用料及び手数料の収入未済額及び収納率の推移
収入未済額(千円) | 収納率(%) | |
---|---|---|
平成23年度 | 2,614千円 | 99.1% |
平成24年度 | 3,185千円 | 99.0% |
平成25年度 | 2,845千円 | 99.1% |
平成26年度 | 2,675千円 | 99.1% |
平成27年度 | 34,490千円 | 89.3% |
下水道特別会計
前年度と比較すると、歳入総額は7,812万7千円(2.3%)の減、歳出総額は1億3,244万7千円(3.9%)の減となっている。これは、前年度から繰越した下水道建設事業の完了に伴い、国庫支出金、市債などの収入の減少や、下水道施設維持管理費が減少したことが影響している。
分担金及び負担金の収入済額は1,728万9千円で、前年度と比べて444万7千円(20.5%)の減、収入未済額は2,192万8千円で100万7千円(4.4%)の減となっている。
収納率は44.1%で、前年度より4.6ポイント下降している。
また、歳入総額に占める割合は18.6%である。
下水道特別会計における分担金及び負担金、使用料及び手数料の収入未済額及び収納率の推移
収入未済額(千円) | 収納率(%) | |
---|---|---|
平成23年度 | 47,768千円 | 92.8% |
平成24年度 | 40,572千円 | 93.8% |
平成25年度 | 37,853千円 | 94.4% |
平成26年度 | 36,841千円 | 94.4% |
平成27年度 | 35,788千円 | 94.6% |
歌代の里特別会計
前年度と比較すると、歳入総額は、一般会計繰入金が増加したものの、介護サービス収入の減により1,493万3千円(3.2%)の減となっている。
歳出総額は人件費の減により1,403万1千円(3.0%)の減となっている。
すこやか両津特別会計
前年度と比較すると、歳入総額は、一般会計からの繰入金や前年度繰越金が増となったものの、入所者数の減によりサービス収入が4,279万2千円減少したため、2,417万円(4.0%)の減となっている。
歳出総額は、人件費及び介護サービス費の減により1,255万8千円(2.1%)の減となっている。
収納率は98.3%で、前年度と比較し1.1ポイント上昇している。
収入未済額(千円) | 収納率(%) | |
---|---|---|
平成23年度 | 2,941千円 | 97.0% |
平成24年度 | 1,604千円 | 97.9% |
平成25年度 | 1,927千円 | 97.9% |
平成26年度 | 2,478千円 | 97.2% |
平成27年度 | 1,398千円 | 98.3% |