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第4章:佐渡市成長力強化戦略

[HTML版]佐渡市将来ビジョン(2009年1月策定)(7ページ中:6ページ目)

2011年9月16日、掲載

総合政策課 政策推進係(0259-63-3802)

本ページの目次
  1. 農林水産業の振興
    1. 構造改革
    2. 生物多様性を基本とした販売戦略
    3. 生産から販売までを連携させる産業構造改革
  2. 観光等交流人口の拡大
    1. 観光の振興
    2. 交流人口の拡大
  3. 交通インフラの整備
    1. 航空路の整備
    2. 佐渡航路の充実
    3. 島内公共交通体系の整備
    4. 道路の整備
  4. 安全・安心な地域づくり
    1. 地域力の向上
    2. 消防防災・救急体制の整備
    3. 医療・福祉・介護体制の整備
  5. 次世代を担う人材育成
    1. 子育ての支援
    2. 次世代の教育
    3. 佐渡活性化のための人材育成

本市は、市内総生産に占める公共事業や政府サービスの割合が、県内の他の圏域に比して高いため、今後10年間の市の歳出規模の縮小による地域経済への影響が懸念される。

そこで、佐渡の「強み」を活かし、地域経済を活性化させるための成長力強化戦略を定めることとする。

佐渡の活性化は、

  1. 佐渡の豊かな自然の恵みを活かした産業おこし
  2. 佐渡の魅力を活かしたにぎわいの島づくり

が基本である。これを実現するためには、すべての産業が連携することが必要であり、その基礎となる「農林水産業の振興」と「観光等交流人口の拡大」を推進するものとする。

あわせて、これらを支える基盤として「交通インフラの整備」、「安全・安心な地域づくり」、「次世代を担う人材育成」に取り組むこととする。

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1. 農林水産業の振興

佐渡の有する豊かな自然や環境イメージの向上を背景に、最近、「朱鷺と暮らす郷づくり認証米」の成功事例に見られるように、佐渡産品への注目が集まっている。その「風」をしっかりと捉え、農林水産業を中心に、各産業の振興を図ることが重要である。そのためには、生産面だけではなく、販売面をどうするか、そして、その両者を連携させるためにはどうすればよいのかを考えることが必要である。

(1)構造改革

農林水産業においては、高齢化等による担い手が不足しており、労働力の確保と経営の安定化のために構造改革が必要である。

1. 持続的な経営の展開(基幹的従事者の維持・確保)

農業は、本市の基幹産業として重要な位置付けにあり、その担い手の確保のためには、経営の安定を目指すことが第一の課題である。このため、国及び県の施策と連動し、生物多様性等の佐渡の特徴を活かした「佐渡版所得補償制度」の創設により、再生産可能で持続的な経営安定化を図ることとする。

米以外の農林水産物においても、経営安定化のために必要な措置を講ずることとする。

注釈
  • 新潟版所得保障モデル事業(平成21年〜)、国戸別所得補償制度(平成22年〜)

2. 組織化と法人・団体等の参入促進

農林水産業従事者の高齢化等により、個人経営の持続が困難となっていることから、組織化による労働力の補完及び生産基盤の整備を推進することとする。

平成21年6月の農地法改正による規制緩和等を踏まえ、農林水産業への法人・団体等の参入を促進することとする。特に、本市の主要産業である建設業が、その保有する人材、機材やノウハウ等を活用して参入し、各産業間の連携を図りながら、地域の活力を向上させるための取組を進める。

注釈
  • 農地法等の一部を改正する法律(平成21年6月公布):農地利用者の確保・拡大等を図る。

3. 多様な担い手の確保

近年、田舎で農業等を行うことを希望する若者や退職者世代等が増えていることから、これらのUターン・Iターン者を「多様な担い手」として位置付け、その確保を図ることとする。

(2)生物多様性を基本とした販売戦略

産業振興は、その生産面だけではなく、「どう売るか」という販売面を両輪として捉えていくことが必要である。しかし、これまでの農林水産業の振興においては、生産振興のみに重点をおいてきたことも否めない。担い手の確保等の生産力強化とあわせ、出口の販売力をどのように強化するかが重要である。

そのため、佐渡の強みである「環境」を最大限に活かしながら、販売拡大とそのためのブランド戦略に取り組むこととする。

1. 外貨獲得のための島外販売

第一に重要なことは、「外貨獲得」のため島外への販売をしっかりと行うことである。そのため、市が率先して、関係機関と連携しながら、多様な販売網の構築を進めることとする。

首都圏や京阪神圏における姉妹都市交流や観光交流イベント等、あらゆる機会を通じて佐渡に関心のある購買層を掘り起こし、消費者との結び付きを強める「顧客の常連化」を図ることとする。

2. 地産地消(地産地商)による島内消費の促進

景気の動向等により変動する恐れがある島外販売を「下支え」するためには、島内消費を促進することが必要である。そのため、市、生産者、消費者及び事業者が連携して、地元でとれた物(作った物)を地元で消費(販売)する地産地消(地産地商)を推進することが重要である。

注釈
  • 佐渡市地産地消推進条例(平成21年10月1日制定)
(ア)市民が佐渡の物を消費する仕組みづくり

家庭、学校、地域において地産地消の理解を進め、「佐渡の物を買おう」という意識啓発を行うこととする。

商店街の活性化にもつながる空き店舗の活用等により、農林水産物の生産から販売までを連動させる仕組みづくりを推進することとする。

(イ)観光客等に佐渡の物を提供する仕組みづくり

市民の消費拡大を図る一方で、観光等により佐渡に来られる方々に、佐渡産品を提供することも必要である。特に、ホテル等の食事や土産物において、農林水産物を活用する取組を進めることとする。

3. 販売ブランド力の構築

販売を支えるためには、「ブランド力」の構築が不可欠である。そのため、「朱鷺と暮らす郷づくり認証米」のように、寒ブリや椎茸等、米以外の農林水産物においても生きものが共生する環境づくりへの取組を、販売ブランド力の向上につなげることが重要である。

(ア)生きもの共生環境経済戦略の構築

平成22年10月に名古屋でCOP10が開催されるなど、多様な生きもののつながりがもたらす恵みの中で人間は生きているという「生物多様性」が注目されている。

本市は、ビオトープ作りやレジ袋ゼロ運動等、トキの野生復帰に向けた環境への取組が、「エコアイランド佐渡」として、循環型社会のイメージ向上につながっている。

そこで、トキをはじめとする生きものが共生する環境づくりに向けた様々な取組を販売ブランド力の向上につなげるため、「佐渡市生きもの共生環境経済戦略」を策定する。その際、消費者にわかりやすい仕組みづくりが必要であるため、トキをシンボルとして、「山〜川〜田〜生き物〜海」の循環型社会の構築を「付加価値」として、佐渡の農林水産物等の販売につながる仕組みづくりを行うこととする。

注釈
COP10
生物多様性条約第10回締約国会議
(イ)更なる環境イメージアップ

エコアイランド推進のため環境施策や太陽光等の自然エネルギーの活用、電気自動車等低公害車の普及促進、原生林の保存と活用等の環境関連事業は、生きもの共生環境経済戦略の一環として取り組むこととする。

また、ビオトープ作りや企業の森等、本市の環境への取組をアピールし、企業との交流を通して企業誘致に結び付けるなど、島外資本の活用を図ることとする。

注釈
企業の森
企業などに環境貢献活動や地域との交流活動の一環として、森林環境保全に様々な形で取り組んでもらう事業の総称。

(3)生産から販売までを連携させる産業構造改革

本市では多くの原材料や製品を島外からの移入に依存しており、島内の産業間取引が十分形成されていないのが現状である。このため、生産・加工・流通・販売に係るあらゆる産業を連携させる産業構造改革が必要であり、そのための仕組みづくりを市が中心となって行うこととする。

注釈
  • 市内総需要に占める島外からの輸移入比率32.7%(県29.7%)。(「平成19年3月離島地域における地域産業の再生に関する研究」より)

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2. 観光等交流人口の拡大

佐渡は、トキ、金銀山など新潟県内でも屈指の豊富な観光資源を有する「強み」がある。その強みをしっかりと活かし、多くの人に佐渡に来てもらい、産業の活性化につなげていくことが重要である。

(1)観光の振興

観光の振興のためには、多様化する顧客ニーズを分析し、それに対応するための観光資源の活用や誘客策を進める必要がある。あわせて、観光関連消費の生産波及効果を高めるため、産業間連携を構築することが必要である。

注釈
  • 観光消費の生産波及効果1.334倍(240.8億円→321.3億円)。「平成19年3月離島地域における地域産業の再生に関する研究」より)

1. 多様化する顧客ニーズへの対応

(ア)顧客ニーズ別戦略

旅行形態が団体旅行から個人やグループ旅行へと多様化している。そのため、顧客のニーズをしっかりと分析し、ニーズ別の戦略を構築することとする。そして、この戦略に基づき、「満足度の高い旅」を提供することにより、リピート率の向上や宿泊日数の増加を図ることとする。

(イ)「おもてなし」の向上

リピート率の向上や宿泊日数の増加のためには、顧客ニーズ別の戦略とともに、観光客に佐渡を楽しんでもらう「おもてなし」の向上が必要である。何よりも市民全体で「おもてなし」の心で迎える意識啓発と、観光サービス業関係者を対象に、観光協会が中心となって意識改革を図ることとする。

旅行の満足度を向上させるため、地域のボランティアガイドを養成するなど、多様な顧客ニーズに対応する仕組みづくりを進めることとする。あわせて、きめ細やかな観光情報の案内機能等、観光客の利便性と快適性の向上に必要な施設の充実を図ることとする。

2. 観光資源の整理と活用

(ア)観光資源の発掘・整理・活用

佐渡は豊富な観光資源を有しているにもかかわらず、「その魅力に気が付いていない」や「それぞれがバラバラである」など、観光地としての魅力向上に十分活かしきれていない。そのため、観光資源の発掘・整理を行った上で、それぞれを点で終わらせるのではなく、環境や歴史・文化などにより物語性を付加し、線的・面的に連携させ活用を図ることとする。

(イ)観光施設の整備

観光資源の発掘・整理・活用の方針を定めた上で、必要な観光施設整備を行うこととする。

3. 誘客対策

観光地「佐渡」の知名度は高く、最近では世界遺産登録への取組やトキの放鳥等で全国的にも更に関心が高くなっている。これらを契機に、いかに佐渡旅行へのきっかけ作りができるかが誘客への課題となるため、関係団体等との連携による効果的な宣伝活動を行うこととする。

4. 観光と他の産業との連携

リピーターや宿泊数増加により、観光客の島内支出総額を高めるとともに、観光消費を他の産業の生産増加に波及する力(生産波及効果)を強める必要がある。そのためには、観光と他の産業を連携させることが重要である。ホテル等の食事や土産物において、佐渡産品を提供するなど連携のための仕組みづくりを市が中心となって行うこととする。

(2)交流人口の拡大

交流人口の拡大に向けては、交流の相手や目的を明確にし、その受け入れ体制を整備することとする。また、交流を定住につなげる取組を図ることとする。

1. ターゲットの明確化

(ア)大学、姉妹都市、ツーリズム交流等

大学、姉妹都市、ツーリズム交流など多様な交流形態がある。そのため、交流の相手や目的といったターゲットを明確にし、それぞれの交流を通じて市の活性化につなげることとする。

(イ)国際交流

アース・セレブレーションなどの国際交流イベントや、ホームステイなどの身近な交流をきっかけに外国人観光客を増やすことが必要である。そのため、外国への情報発信(ホームページの外国語表示)や受け入れ体制(語学研修)の整備を進めることとする。

2. 受け入れ施設の整備

学生の長期滞在やクラインガルテン(滞在型市民農園)等、滞在形態に合わせた受け入れ施設の整備を、市が所有する遊休施設の再活用により図ることとする。

3. 定住の促進

(ア)交流から定住への展開

交流体験者を定住につなげていくことが重要である。そのため、短期滞在から2地域居住、そして、定住へとつなげる仕組みづくりを行うこととする。

(イ)定住環境の整備

定住希望者にとっては、就業の場と住居の確保が必要である。そのため、農林水産業や観光の振興における産業間連携による幅広い就業機会の創出を図るとともに、空き家や既存市有施設の活用等、定住希望者のニーズに合った住居の提供を図ることとする。

一方で、介護・看護職等では、人材が不足している状況にあり、人材ニーズをしっかりと把握し、定住希望者との求人・求職のマッチングを図ることとする。

注釈
市内有効求人倍率(平成21年9月常用)
全体0.39、介護・看護職等5.92、建築・土木・情報処理技術者1.50。

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3. 交通インフラの整備

市民の安全・安心、産業振興のためには、交通インフラは重要であり、その整備は成長力強化の基盤となるものである。

(1)航空路の整備

本市は、本土との交通手段を海路のみに頼る現状にある。長い移動時間、冬季欠航による孤立等のハンディは、医師確保や企業進出、交流人口の拡大等に大きく影響している。これらの課題の克服と市民の利便性の向上、地域経済の活性化を図るため、航空路の整備が必要である。

1. 佐渡空港2,000メートル化の実現

現空港の滑走路延長890メートルでは、ジェット機等による大都市圏との航空ネットワークの形成は困難である。そのため、滑走路延長2,000メートル級の拡張整備を社会資本整備重点計画の期間内に事業化できるよう、県とともに取り組むこととする。

注釈
社会資本整備重点計画(平成21年3月31日閣議決定、計画期間平成20〜24年)
離島の空港整備の推進。

2. 佐渡〜羽田航空路等の開設

産業振興や交流人口の拡大等のため、国内線ハブ空港である羽田空港の再拡張に合わせ、県とともに発着枠の確保を目指し、航空ネットワークの形成を図ることとする。

(2)佐渡航路の充実

佐渡航路は、市民にとって生命線とも言える交通インフラである。人や物資の輸送機関として重要な役割を担っており、佐渡航路の充実を図る必要がある。

1. 航路全体の将来像の明確化

北陸新幹線の金沢延伸や高速道路無料化等、佐渡航路を取り巻く環境の変化に対応するため、航路全体の将来像を明確化することとする。その上で、国、県、対岸市及び航路事業者と連携し、航路活性化に取り組むこととする。

2. 運賃低廉化等の利便性向上

航路全体の将来像の実現に向け、関係機関との役割分担を明確にした上で、国の様々な支援制度を活用し、運賃の低廉化等航路の利便性の向上を図ることとする。

(3)島内公共交通体系の整備

地域活性化、観光の二次交通の充実、環境負荷の軽減等のため、抜本的な島内公共交通体系の見直しが必要である。そのため、広く事業者が参入しやすい環境を作りながら、持続可能な島内公共交通体系の整備に取り組むこととする。

(4)道路の整備

道路は、市民生活や産業・経済等に欠くことのできない重要な交通インフラである。市全体を広域的視野に入れ、市街地や集落間、病院、港湾、空港、観光施設等へのアクセスも考慮しながら、広域防災、緊急医療にも対応した道路整備を、県と連携を図りながら進めることとする。

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4. 安全・安心な地域づくり

高齢化や人口減少等が進行する中、市民が安全・安心に暮らすことのできる地域づくりは、成長力強化の基盤となるものである。

(1)地域力の向上

過疎化や少子・高齢化により、伝統芸能の継承や集落運営が困難になるなど、地域コミュニティの弱体化が進んでいる。そのため、NPO等集落内外の様々な団体との連携・協働体制の仕組みづくりを行い、地域力の向上を図ることとする。

注釈
  • 65歳以上人口比が50%以上の集落の割合16.1%(714行政区のうち115行政区が該当、平成20年4月調査)。

(2)消防防災・救急体制の整備

災害等の発生に備え、消防団の機動力強化により広域的な活動環境を整えることとする。

自主防災組織を中心とした地域の防災体制を構築し、地域防災力の向上を図るとともに、緊急時における市民への一斉情報伝達システムを構築することとする。

市内全域で高度な医療行為を迅速かつ的確に行えるよう救急体制の整備を図ることとする。

(3)医療・福祉・介護体制の整備

高齢化が進む本市においては、医療・福祉分野における人材が不足している。そのため、民間活力を活用した多様なサービスを提供し、だれもが安心して暮らせる環境づくりが必要である。

1. 拠点づくりと人材確保

医療・福祉・介護が連携した拠点づくり(コンパクトシティ化)を推進することにより、安心して暮らせる環境整備と医療技術者等の人材の有効活用を図ることとする。

医療・福祉・介護の現場では、医師や看護師、介護福祉士等の確保が喫緊の課題となっている。そのため、島内外からの医療技術者等の確保に取り組むこととする。

2. 民間・地域活力の導入

多様なサービス提供の担い手として民間の持つ柔軟性・効率性を活用するため、NPO等民間事業者の育成支援や、参入しやすい環境等の整備を行うこととする。

高齢者や障がい者等が安心して生活できるように、「地域の茶の間」のような拠点づくりなど、地域が一体となって支え合う体制を整備することとする。

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5. 次世代を担う人材育成

市の活性化を図るために、人づくりは極めて重要であり、福祉、文化、産業等のあらゆる分野において、次世代を担う人材を育成することが必要である。

(1)子育ての支援

次代の担い手となる豊富な人材を確保するためには、仕事と子育ての両立支援等、親が安心して出産、子育てができる環境を社会全体で支える仕組みづくりに取り組むこととする。

(2)次世代の教育

佐渡らしさを併せ持つ豊かな人間性・社会性を備えた人材を育てるため、学校・家庭・地域による協働体制づくりを進めることとする。

郷土を知り、郷土を愛することができる教育が必要である。そのため、佐渡固有の自然・歴史・文化を学ぶ「佐渡学」の充実と、地域産業の学習の充実を図ることとする。

(3)佐渡活性化のための人材育成

本市の活性化に向けて、産業が連携するためには、産業横断的・客観的な視点を持った人材が不可欠である。そのため、島外からの人材交流、島外への企業研修等を通じて人材を育成していく仕組みづくりを行うこととする。

島外の企業、大学との包括連携協定により人材交流を進め、あらゆる分野での企画力、指導力のある人材を育成することとする。

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