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令和2年度:所信表明

記事ID:0004385 更新日:2021年3月1日更新 印刷ページ表示

令和2年度 所信表明

本日、佐渡市議会の本会議場において、特に発言をお許しいただいたことに厚くお礼申し上げます。

私にとって市長就任後、初めての定例会でありますので、今後の佐渡市政を運営するに当たりまして、所信の一端を申し述べさせていただき、市議会議員各位と市民の皆さまのご理解とご協力をお願い申し上げたいと思います。

先の佐渡市長選挙において、市民の皆さまから温かいご支援をいただき、市政運営を担わせていただくこととなりました。今、この議場に立ち、改めて、「歴史と文化が薫り、自然と人が共生できる美しい島 佐渡」を未来に継承し、発展させなければならない重責を強く感じるとともに、一歩ずつ前にしっかりと進めていくという決意を新たにしているところでございます。

私は生まれも育ちも佐渡島でございます。旧相川町役場に奉職し、佐渡市合併後も佐渡市職員として、農業、総合政策、総務、病院、教育委員会と多くの部署で仕事をさせていただきました。在職中は多くの市民の皆さまや佐渡市役所の先輩や同僚などに大変お世話になりましたが、皆さま方からのご指導、ご鞭撻により36年間仕事をさせていただいたことにあらためて感謝申し上げます。

私自身が佐渡を元気にする仕事に取り組みたいという思いを強くしたのは、やはりトキの野生復帰と佐渡米の再生への取組であります。放鳥を前に、自然下での生息環境の整備の遅れと佐渡米の販売不振、その二つの大きな課題への挑戦がトキ認証米でした。生物多様性条約締約国会議の国内開催など国家プロジェクトと共鳴し、トキの野生復帰と佐渡米のブランド化が順調に進んだ結果、佐渡が日本で初めて世界農業遺産に認定されました。多くの市民や国内外の皆さまのお力により、佐渡が日本のモデルとなり得たことで、島は光り輝きました。もう一度その輝きを取り戻したいと考えております。

今、佐渡市は人口減少、経済の縮小に歯止めがかからない状態であることに加え、新型コロナウイルスという見えない脅威により、いまだかつてない地域経済の疲弊と、先の見えない不安に苛まれている状態です。まずは新型コロナウイルスに立ち向かい、新しい生活様式を軌道に乗せなければなりません。島に新型コロナウイルスを入れない、もし感染者が発生しても、新潟県と連携した押さえ込みの対策や医療体制の確保を徹底することにより、市民の皆さまの安全を確保していきます。

また、佐渡にお越しいただける皆さまにおいても、新しい生活様式に基づくガイドラインなどに沿った対応をお願い申し上げるとともに、安心してお越しいただける島の構築に精一杯取り組んでまいります。

そのため、本年度は市民の皆さまの暮らしを守る安全・安心の構築と併せて、国、新潟県の事業や交付金の最大限の活用、佐渡市予算の組み替えなどにより効果的な対策の実現を進め、佐渡を元気にする経済の再生を確実に進めてまいります。

まずは、通常の生活を取り戻すことを最優先とし、経済の再生と雇用の確保を進めることが、私自身が考える子どもからお年寄りまで安心して笑顔で暮らし続けることができる島、賑やかで元気な島づくりの第一歩であると考えております。

また、新型コロナウイルス感染症に対応した新しい社会づくりは、東京一極集中の本社機能の分散化、働き方の見直しによる地方や家庭での勤務体制の確立など、賃金や便利さが優先される都会生活から、自然環境や文化に囲まれた田舎生活への意識の変化など、都市から地方へ目が向く大きな変革をもたらすことが予想されます。

その現状を注視し、都市から人や企業を受け入れる大きな流れを手繰り寄せるため、迅速な情報収集などにより、スピーディに対策や政策立案ができるような弾力的な組織を構築しなければなりません。そのためには、職員の士気と意欲を高め、市役所を活気ある組織とすべく、研修、人事、評価などの見直しをしっかり行うことにより、市民サービスの向上と政策立案、事業遂行が迅速にできる職員育成と組織改革を図ってまいります。

これらの実現に向け、私が掲げた6つのキーワードを中心に所見を述べさせていただきます。

1 市民の意見を市政に反映する島づくり

今、佐渡市が抱える様々な課題の克服に向けては、市民の皆さまとの議論を大切に、時には島外の方々からの意見も参考にしながら、市民、市議会、行政が同じ目標を定め、ワンチームで取組を進めていかなければなりません。特に、佐渡市合併後17年目を迎えた今、合併時に大きな課題であった周辺部の衰退の現実を今一度見直し、地域の特色に合わせた再生への取組を進めなければなりません。

そのためにも、市民の皆さまお一人おひとりのご意見や行動により、地域に賑やかさを取り戻していくことが、佐渡再生の第一歩になると信じておりますので、地域の的確な情報収集、意見交換などによる地域づくりの拠点として、支所、行政サービスセンター機能の拡充を図ってまいります。併せて、高齢化社会の拡大に対応し、地域に出向き、地域の声を聞く体制を作ってまいります。

2 産業振興と雇用の充実

佐渡に賑やかさを取り戻すための最大の課題である人口減少は、日本全体の問題であり、また容易に解決できるものではありません。単純に人口の数にこだわるのではなく、佐渡ならではの豊かさ、暮らしやすさの提供を基本とし、雇用の確保、若者住宅の確保などから、生産年齢人口の拡大を確実に進めていかなければなりません。

そのため、企業や農林水産業者、観光事業者などへの規模拡大や高い技術の習得、人材の確保、販路拡大などの支援を行うことで、経営体力の強化を図り、雇用の拡大ができる産業の育成を図るとともに、島内での起業や島外からの企業誘致など、積極的な拡大を図ってまいります。

その支援策として、特定有人国境離島地域社会維持推進交付金などの活用に加え、設備投資、研究開発、人材確保などを一定の規模で支援する新たな制度の創設を進めるとともに、企業誘致の支援策についても、大幅な拡大について検討を進めてまいります。

農林水産業については、持続可能な体制づくりと担い手の確保が急務であります。

農業においては、集落営農、大規模化、複合化など、地域の特色に合わせた体制づくりへの支援策を新潟県、農業協同組合などと連携し、モデル事業の構築を進めてまいります。

水産業については、佐渡の水産業の魅力を全国に向け発信するとともに、佐渡市水産業雇用促進センターを最大限に活用し、起業を目指す方への支援や漁業経営体への就業者の確保に向けて取り組んでまいります。

林業においても、機械化の導入による生産力の向上、コスト削減による経営体質の強化などと併せて、佐渡の自然の基礎でもある森林の整備、木質バイオマスなどによる再生エネルギーの拡大などを進めることで、就業者の確保に向けて取り組んでまいります。

また、地産地消の強化から、観光、食育などへの波及を図り、循環型経済、生物多様性保全などへの取組も進めてまいります。

観光については、佐渡の宝であるトキが舞う自然をはじめ、国内候補選定が目前の佐渡金銀山、既に認定を受けている世界農業遺産や佐渡ジオパークなど、佐渡を代表する観光資源のほか、歴史や文化、芸能なども、島内にちりばめられております。

佐渡にお越しになるお客様も、受け入れる佐渡市民も、安心できる新型コロナウイルス感染症予防対策を徹底し、歴史、文化、伝統が体感できる受け入れ体制の整備を進めてまいります。また島の自然を活用したスポーツツーリズム、島の生活とともに息づく文化財を活用した文化ツーリズムなどの積極的な展開も併せ、滞在型観光への転換を最重点目標とし、佐渡観光交流機構など関係機関と連携し進めてまいります。

私は、産業の振興と雇用の確保、さらに観光の活性化に必要なキーワードは「公共交通機関の利便性の向上と交通事業者の安定経営」と「販売戦略」であると考えております。

そのために必要なのは、佐渡空港の2,000メートル化や首都圏との直行便であると考えております。現在、既存の890メートルで就航を予定する新会社設立の動きもあると聞いておりますし、佐渡から首都圏への直行便の実現に向けて、今後も新潟県と足並みを揃えて進めてまいります。また空港2,000メートル化に向けても、地権者との交渉も引き続き真摯に取り組んでまいります。

また、販売戦略については、佐渡の企業、農林水産業、医療機関の皆さまと連携し、情報発信、販売促進、人材確保などにトップセールスとして私自身が積極的に行動し、佐渡がワンチームとなり佐渡を売り込むことにより、経済の活性化を促してまいります。

3 防災・減災で安全安心な島づくり

昨今の異常気象については、我々の想定を超えているとしか言えない状況で、離島である佐渡市にとって、地震の脅威、記録的な大雨の頻発などへの備えとして、防災体制の強化は急務です。地震への対応として、港湾・空港の整備は救援物資の確保、避難体制の整備に極めて重要なことです。また、国県道については、有事の際の緊急輸送道路に位置付けされているものの、大型緊急車両などがすれ違えない狭隘(きょうあい)な未整備区間があり、早期の解消が喫緊の課題と認識しております。今後も引き続き国や新潟県と連携し、全力で防災インフラの整備に取り組んでまいります。

また、佐渡市地域防災計画に基づく、地域防災力の向上に対する取組は徹底的に進めなければなりません。自助、共助、公助の役割を明確にし、高齢者支援などを含めた、常日頃からの地域における訓練などを市民の皆さまとともに進めてまいります。

課題となっている本庁舎については、既存の庁舎を活用しながら、防災時に拠点となりうる庁舎整備が必要と考えております。併せて、本庁舎1階の窓口機能についても市民の皆さまから安心してお越しいただけるよう、市民の皆さまや議会からもご意見をいただき対応してまいります。

4 子どもから高齢者まで市民が夢や希望のもてる島づくり

人口減少の大きな要因は少子化と高齢化であります。この2つの課題を克服するためには、人口減少のスピードを緩やかなものとしつつ、そこに暮らす子どもから高齢者までが活き活きと楽しく、希望がもてる環境を作る必要があると考えています。

そのためにも、子育て支援の充実や日本一を目指す健康寿命の延伸、社会教育活動やスポーツ・文化への体験など、子どもから高齢者まで学び続けることのできる生涯学習などを拡充してまいります。

子育て支援については、移住定住支援策や若者定住支援策と組み合わせた施策の実施や、第三子目以降への支援制度の創設、雨天荒天時の屋内での子どもの遊戯場所の確保、子どものスポーツ、文化活動への支援に取り組んでまいります。また、企業と連携した育児休暇の取得推進など、働きながら子育てができる環境整備に向けて、意見交換を進めてまいります。

健康寿命日本一の実現に向けては、農林水産業などの人手が不足している産業で元気な高齢者が活躍できるよう、農業協同組合、漁業協同組合などと連携し、体力にあわせて働くことのできる仕組みづくりを検討するとともに、相談体制の強化に向けた保健師の増員、社会教育事業の充実、観光、文化、歴史、自然などの豊かな佐渡の環境を活かした学びの場の提供など、地域で活躍できる高齢者の活動の支援を強化いたします。

5 医療・介護・福祉が充実した島づくり

高齢化率が高く、離島である佐渡においては、医療・介護・福祉が連携し、地域医療を守っていくことが重要であり、特に両津病院の新築、特別養護老人ホームの整備など、必要規模での建築に向けた整備と計画策定を進めてまいります。併せて、老人ホームについては民営化も視野に入れ、早急に検討してまいります。

また、人口減少に加え、新型コロナウイルス感染症の影響により医療機関の経営も厳しい状態となっております。人材の確保や遠隔医療の体制整備などの方針と併せて、佐渡市医療構想の見直しなども含めた、地域医療の将来像の検討を進めてまいります。

6 教育と文化の島づくり

佐渡の宝である子ども達が、将来に希望をいだき、郷土を愛し、誇り高く進んでもらうことが、佐渡に賑やかさを取り戻す根本的な対策であり、そのための教育がとても重要であると考えております。幼少期から佐渡を知る取組としてキャリア教育を実践することで、ふるさと佐渡を誇りとし、島のハンディを乗り越えながら、世界に羽ばたくことのできる子どもを育成する教育に全力で取り組み、成長後は佐渡に戻る人、戻れなくても佐渡を支援していただける人、支援できなくても佐渡を想い発信していただける人など、佐渡出身の子どもたちが関係人口を巻き込み、佐渡を支える人材となる教育を進めてまいります。

また、子どもから大人まで「佐渡学」を学ぶ生涯学習を、文化、歴史、芸能などの佐渡の豊かな資源と世界遺産を目指す佐渡金銀山、世界農業遺産、佐渡ジオパークなどと組み合わせ、すべての市民が佐渡を誇りに思い、守り続ける一歩を踏み出すことができる体制を構築していくとともに、図書館、博物館などの方針についても市民の皆さまのご意見を反映した計画策定を進めてまいります。

前に進める市政へ

以上、私の市政運営に関する基本的な考え方と、市政を前に進めるための6本の柱について、述べさせていただきました。

他の重要施策として、SDGsを柱とした持続可能な島づくりに向けた戦略の策定、佐渡市の目指すべき将来像や行財政計画、定員適正化計画など、行政指針が明確となる佐渡市の最上位計画の策定、風力、ソーラー、バイオマスエネルギーに水素を組み合わせた再生エネルギーのベストミックスの島づくり、トキの野生復帰や世界農業遺産などの活用による発信力の向上や地域間交流と関係人口の増加対策など、様々な戦略の構築とスピード感を持った実践を行わなければなりません。

しかし、これは私一人の力ではできうるものではありません。市民の皆さまと共に、国や新潟県、他の自治体、関係団体、企業、大学など島内外の方々との連携を図り、職員の「佐渡を前に動かす」という熱い思いが一体となり共振する「ワンチーム佐渡」により実現したいと考えております。

賑やかな島を取り戻し、希望に満ち溢れた島を未来に継承するため、一日一日を一念岩をも通す、この思いで職務に邁進してまいりますので、議員の皆さまにおかれましては、市政運営への特段のご理解とご支援、ご指導を賜りますようお願い申し上げ、市長就任に当たっての所信とさせていただきます。

ご清聴ありがとうございました。

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