○佐渡市火災調査事務処理要綱

平成16年4月28日

消防本部訓令第25号

(趣旨)

第1条 この訓令は、佐渡市火災調査規程(平成16年佐渡市消防本部訓令第20号。以下「規程」という。)に基づく火災調査(以下「調査」という。)の事務処理に関し必要な事項を定めるものとする。

(現場保存)

第2条 実況見分を行う以前に物を移動し、又は破壊する必要がある場合は、写真撮影を行い、若しくは記録、見取図等により原状を明らかにしておくものとする。

2 現場保存をする区域(以下「保存区域」という。)は、必要最小限の範囲にとどめるものとする。

3 保存区域に立札等を掲出して立入りを禁止し、又は制限する場合は、必要な範囲を警察官と協議決定して、火元関係者(以下「関係者」という。)に通知するものとする。

4 保存区域内に関係者又は電気、ガス、水道等の関係者を立入らせる場合は、消防職員を立合わせるものとする。

(見分の始期)

第3条 実況見分の始期は、原則として鎮火した時点からとする。ただし、夜間における火災について見分する場合は、警察官と協議して状況に応じてその始期を定めるものとする。

(書類作成上の留意事項)

第4条 各書類の記入項目の内容基準は、火災報告取扱要領(平成6年消防総発第100号消防庁長官通知。以下「報告要領」という。)及び報告要領の解説に記載されている項目に該当するものは、これを準用して作成すること。なお、全体をわかりやすくするため項を分けて整理するように努めること。

2 文章は、当用漢字を使用し、現代かなづかいによること。ただし、専門用語で当用漢字になく、かな書きにすると意味が不明確となるものは、当用漢字以外の漢字を使用してもさしつかえない。なお、横書きの場合の単位の記載については、センチメートル、平方メートル、摂氏度等のように通常使用されているものは、cm、m2、℃等の記号を用いてもよい。ただし、質問調書のような口述形式の場合は、記号を用いない。

3 文字を加入、削除又は訂正する場合は、次の要領によること。

(1) 文字を加入する場合は加入箇所を明らかにし、その上部に加入する文字を記入して、その桁のとじめと反対側の欄外に「何字加入」と記入し押印する。

(2) 文字を削除する場合は、削除する文字に2本の横線を引き、その桁のとじめと反対側の欄外に「何字削除」と記入して押印する。

(3) 文字を訂正する場合は、訂正する文字に2本の横線を引き、その上部に正しい文字を記入して、その桁のとじめと反対側の欄外に「何字訂正」と記入し押印する。

(火災調査書)

第5条 火災調査書の記載事項は、報告要領の解説に基づき記入するものとし、他の書類と内容に整合性がなければならない。

2 各記載事項は、次のとおりとする。

(1) 火災番号 火災1件につき年ごとの消防本部一連番号及び消防署単位の枝番を付す。

枝番は次のとおりとする。

中央消防署(中)、両津消防署(両)、相川消防署(相)、南佐渡消防署(南)

(2) 覚知方法 覚知別及び時間については、最も早く覚知した署所の覚知別及び時間とする。

(3) 放水開始 火災現場で消防署(団)の消防隊が放水を開始した時間とする。

(4) 鎮火 現場の最高指揮者が再燃のおそれがないと認定した時刻とする。

(5) 出火場所 住所は略して記載しない。

(6) 出動延べ人員 消防活動に従事した吏員、団員の延べ人数とし、事後聞知の場合の火災調査人員は含まないものとする。

(7) 気象 出火場所を管轄する消防署の観測値を記入する。

(8) 損害 1件の火災により生じた焼損、水損等の損害の総計を記入する。

(9) 焼損面積 1件の火災により生じた焼損面積の総計を記入する。ただし、林野火災等の場合で火入れ者が焼きした面積は焼損面積から除くものとする。

(火災原因判定書)

第6条 火災原因判定書には、次に掲げる事項について記載すること。

(1) 火災の概要

 火災現場及び周囲の状況

 り災概要

 出火建物の建築年月、増・改築、修繕、用途変更、模様替え等の経過

 出火建物のり災世帯、り災人員、出火時の人的状況

 死傷者の性別、人数

(2) 出火建物の判定

 実況見分状況

 火災出動時の見分調書

 発見状況

 結論

(3) 出火箇所の判定

 実況見分状況

 火災出動時の見分調書

 発見状況

 結論

(4) 出火原因の判定

(5) その他

2 作成者は、原則として調査を指揮した上位の者とする。

(火災出動時における見分調書)

第7条 火災出動時における見分調書には次の事項について記載すること。

(1) 出動途上における見分状況

 覚知時の位置状況

 出動途上の火煙、異臭、異音、爆発等の状況とその確認時の位置

 道路状況

 部署の位置

(2) 現場到着時における見分状況

 下車後の行動

 建物等の延焼、焼き状況

 火災現場の特異な現象と確認時の位置

 関係者等の負傷、服装、行動の概要及び応答内容

 建物の戸、窓、シャッター等の開閉、施錠状況

(3) 防ぎょ中における見分状況

 延焼状況

 防ぎょ中に関係者等が発言した内容

 防ぎょ中における物件の移動、倒壊、損壊の状況

 その他火災原因判定に必要な事項

(4) 図面及び写真

2 作成者は、各隊の隊長が作成するものとし、調査上必要な事項を見分した隊員も作成するものとする。

3 作成にあたっては、「火元」、「出火場所」、「発火源」等の調査により判明する事実に係る用語を用いてはならない。また、現在進行形の文章とすること。

(実況見分調書)

第8条 実況見分調書には、次に掲げる事項について記載すること。

(1) 現場の位置及び付近の状況

(2) 現場の模様

 火災現場全域にわたる発掘前の現場状況

 り災建物の配置、構造、階層及び占有、管理、所有の状況

 り災建物全域にわたる焼損状況

(3) 焼き状況

(4) 見分内容を明らかにし、補足するために必要な図面及び写真

2 作成者は、現場を見分した者でなければならない。

(質問調書)

第9条 質問調書作成のための被質問者は、おおむね次の者とする。

(1) 出火箇所の所有者、管理者

(2) 出火前における出火箇所で作業、使用及び取り扱いをしていた者

(3) 出火建物の居住者、従業者

(4) 出火に直接関係する者

(5) 出火時に火災現場に在場した者

(6) 出火後における発見、通報、初期消火、避難救助等に直接関係した者

(7) その他火災原因の判定に必要と認められる者

2 作成者は、質問した者とする。

3 質問調書は、現場で作成することを原則とする。特に出火行為者や利害関係者の供述は、時間の経過とともに法律知識や周囲の者からの入れ知恵が働き、事実への意図的な粉飾が施されることを考慮し、記憶が鮮明な火災発生後の可能な限り早期に聴取し、供述者の署名を得るものとする。

4 質問の対象者は、利害や出火責任を負う当事者であることが多い。心情を配慮し第三者等を意識することのない場所を選定し、任意の供述が得られるようにしなければならない。

5 録取については、供述者の供述の趣旨を忠実に記録するものであるが一言一句のがさず全部を記載する速記とは違い、録取者において不必要と思われる言葉は省略し、又は判かりにくい供述は適宜要約して記載すること。また、重要となる箇所で方言、若者特有の表現、老人の言葉等で表現されたときは、その表現どおりに書いて括弧で意味を書くこと。

6 被質問者の伝聞にわたる供述で調査上必要と認めるものは、その事実を直接経験した者に質問して供述を得るようにしなければならない。

7 質問調書には、次の事項について記載すること。

(1) 出火前における出火建物等の管理、作業、使用及び取扱いの状況

(2) 出火時の供述者及び関係者の位置、出火の状況

(3) 出火後における発見、通報、初期消火、避難、救助等の状況

(4) 火災保険、生活状況、経営状況その他必要事項

8 規程第13条の署名は、末尾に求めること。ただし、供述者が署名を拒否した場合、又は署名することが不能の場合は、その旨記載しておくこと。

9 録取者は、録取責任を明確にしておく意味からも必ず署名押印しておくこと。形式は次のとおりとする。

上記のとおり、録取して読み聞かせたところ(閲覧させたところ)誤りのないことを申し立て署名した。(申し立てたが署名は拒否した。)

佐渡市消防長代理

所属

階級  氏名  (印)

(少年等に対する質問等)

第10条 18歳未満の少年又は障害者等(以下「少年等」という。)に対して質問する場合は、立会人をおいて行うものとする。ただし、次の場合には、これを適用しないことができる。

(1) 年齢、心情その他諸般の事情を考慮して支障がないと判断される場合

(2) 立会人をおくことにより真実の供述が得られないと判断される場合

2 立会人は原則として親権者(親、家族、親戚等)とする。ただし、このため真実の供述が得られないと認められる場合は、少年等が希望する者(親権者以外の親族、教師、雇主等)を立会わせるものとする。

3 新聞その他の報道機関に少年等の氏名を告げ、又は推知されるような方法を用いてはならない。

4 規程第13条の署名は、立会人に求めるものとする。ただし、立会人を置かなかった場合は、少年等から署名を求めてはならない。

(図面及び写真)

第11条 規程第19条に規定する写真及び図面は、次の要領により作成する。ただし、火災の内容に応じて適宜併合又は省略してもよい。なお、地形、道路等の略図を作成するときは北が上になるようにすること。

(1) 被災建物(物件)の位置及び付近図

(2) 被災建物(物件)の平面図、立面図

(3) 出火箇所、発火源及び着火物の詳細図

(4) その他必要と思われる図面

(5) 被災建物(物件)の焼き状況を明らかにした写真

(6) 出火原因判定に関連する部分については、特に詳細に撮影すること。

(7) その他必要と思われる写真

2 図面は、正しく縮尺し単位を記載すること。

3 写真には、方向、場所及び物等必要な説明以外の意見、解説等は記載しない。

(り災申告書)

第12条 署長は、り災した者からり災申告書(様式第1号)の提出を求めておかなければならない。

(り災証明書)

第13条 規程第18条による申請者は、り災建物(物件)の所有者、管理者、所有者及び同居親族、担保権者、保険受取人、その他署長が適当と認める者とする。

2 証明できる事項は、り災年月日、り災場所及びり災物件とし、発生原因、損害の程度及び損害額については証明しない。

3 り災証明書の様式が、その提出先において特に定めがある場合は規程第18条の申請書とみなし、正本及び副本各1通を提出させ、正本に証明行為をする。ただし、発生原因、損害の程度及び損害額については記載しない。

4 証明書の発行に際しては、申請者本人であることの証明書の提示を求めること。

(消防長への即報)

第14条 署長は、管轄区域の火災、災害及びその他の事故について、火災・災害等即報要領(昭和59年消防災第267号消防庁長官)に該当すると判明した場合は、同即報要領による報告様式を用いて消防長へ即報するものとする。

(県及び国への即報)

第15条 火災・災害等即報要領(昭和59年消防災第267号消防庁長官)に該当する火災、災害及びその他の事故は、県及び国へ報告しなければならない。

(消防長への報告)

第16条 署長は、管轄区域の火災の種別、件数を月毎に集計し、翌月の1日までに消防長へ報告するものとする。

2 署長は、火災覚知の日から起算して次のとおり火災調査を完了し、報告要領に基づき消防長へ報告するものとする。

(1) 建物火災の半焼以上の火災については40日以内

(2) その他のものについては20日以内

(消防庁長官が行う火災原因調査)

第17条 消防長は、多数の死者が発生するなど社会的影響が極めて大きい火災、燃焼の性状が特殊である火災であって、通常の火災原因調査ではその原因究明が困難と考えられるものが発生した場合等には、消防法第35条の3の2に規定する消防庁長官の火災原因調査を速やかに要請するものとする。

2 消防庁長官に火災原因調査を求める場合、まず口頭により消防庁防火安全室を経由して要請し、その後、「火災原因調査の要請について」(様式第2号)を用いて消防庁防火安全室を経由して要請しなければならない。

3 消防長は、消防法第35条の3の2の規定に基づき、消防庁長官が火災原因調査を実施することとなった場合には、新潟県警察本部に対して通知(様式第3号)し、警察機関、その他の関係機関と密接な連絡をとり相互に協力して調査をすすめるものとする。

(委任)

第18条 この訓令の実施に関し必要な事項は、消防長が別に定める。

(施行期日)

1 この訓令は、平成16年4月28日から施行する。

(経過措置)

2 この訓令の施行の日の前日までに、合併前の南佐渡消防事務組合火災調査事務処理要綱(昭和55年南佐渡消防事務組合訓令第6号)の規定によりなされた手続その他の行為は、この訓令の相当規定によりなされた手続その他の行為とみなす。

(令和3年3月29日消本訓令第1号)

この訓令は、令和3年4月1日から施行する。

(令3消本訓令1・全改)

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佐渡市火災調査事務処理要綱

平成16年4月28日 消防本部訓令第25号

(令和3年4月1日施行)