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平成28年度:所信表明(市長室)

記事ID:0004355 更新日:2021年3月1日更新 印刷ページ表示

本ページの目次

平成28年度 所信表明

市民の皆さまからの温かいご支援をいただき、このたび、佐渡市長に就任させていただきました。

市長として、初めてとなる今定例会の開会に当たり、私の所信を申し述べる機会を与えていただきましたことに感謝します。

はじめに、4月14日に発生した熊本地震で被災された皆さまに謹んでお見舞い申し上げ、お亡くなりになられた方々のご冥福を心からお祈りしますとともに、被災地の一日も早い復興を願っております。

さて、国は急速な少子高齢化の進展に的確に対応するために「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定しました。これは東京への一極集中の是正、地方での雇用機会の創出等を進めており、各自治体の実情にあった自立性、将来性が高い優良な施策に対して支援をする仕組みとなっています。

佐渡市においても、毎年1,000人程度の人口減少に加えて、高齢化率が約40%に達するなど、過疎化だけではなく、地域経済にも大きな影響を与えています。

雇用についても、有効求人倍率は改善の傾向はあるものの、若者が働きやすい環境や、その受け皿作りが不足していると感じています。

農林水産業においては、特に後継者の育成が進んでいないことが課題ですし、観光産業においては、佐渡金銀山の世界遺産登録に向けても、本年の国内推薦を何としても受けるべく、最後まで精一杯の努力を続けていかなければなりません。その一方で、観光資源としての佐渡の自然、食、文化が活かしきれていないという課題も解消していかなければなりません。

このような現状を打破していくには、雇用の創出や、お金を生む公共投資などによる内需の喚起、交流人口の拡大による「外貨の獲得」を目指さなければなりません。

そのために「徹底した行財政改革」、「官民が連携しての地場産業の育成と拡大」、「観光資源の強化・創造による、また行きたい島作り」、「世代バランスの是正」の4つを柱として取り組んでまいります。

これらの取組を確実に進めるために、今年度は、今後の財政計画や佐渡市将来ビジョンの見直しを行います。

民間のビジネス感覚と柔軟な発想をもって従来型行政からの転換を図り、市民の皆さまとの対話も積極的に進めながら、佐渡再生を目指してまいります。

(1)行財政改革

自治体にとって、主役は市民であり、市民の目線に立った行政運営を徹底しなければなりません。そのためには行政サイドの意識改革と前例主義からの脱皮が不可欠であり、多種多様なニーズや課題にスピード感をもって対応するための機構改革を進めてまいります。

1点目として、庁舎建設について市民の目線に立った検証と検討を行います。

庁舎に期待される役割や、本庁・支所等の将来にわたる活用計画など庁舎建設に係るいくつかの問題を検証する必要があると考えます。

まず、本庁舎・支所等の整備事業においては、建設費が本庁舎で約30億円、支所等で約60億円と概算されており、庁舎全体として90億円を超える費用対効果の検証が必要と考えております。既に整備を開始している支所等についての変更は難しいと考えておりますが、これからの発注となる本庁舎建設費については、華美な設計となっていないかなど、建設費の削減が可能かを検証します。

あわせて本庁舎の耐用年数が経過する19年後の佐渡市の人口や職員数も考慮して、支所・行政サービスセンターを含む事務庁舎全体のスペースの有効活用の検討などの検証を行います。

また、現行の分庁方式は不経済であり、無駄なコストが生じていると言われておりますが、事務効率の改善により市民サービスを低下させることなくコスト削減が可能かどうかについても精査してみたいと考えております。

また、借地をすべて返還した場合、本庁舎周辺の駐車場、災害対応用空地が不足し、庁舎機能に不備が生じてしまうという課題も解消しきれていない部分があります。

8月までにこれらの検証を完了し、9月議会には庁舎建設について、私の最終的な判断を報告させていただきます。

2点目として、活気のある行政組織の実現と迅速かつ的確な意思決定ができる体制づくりに取り組みます。

そのために、トップダウンによる行政運営ではなく、職員自らが考えた意見を広く吸い上げるボトムアップ方式への転換を図り、職員間や各課間で活発な議論が展開できる風通しの良い職場づくりを目指します。

また、多種多様なニーズや課題にスピード感をもって対応できる行政を実現するための機構改革を行います。そのために副市長2人制を導入し、管轄部門を分担しながら迅速かつ的確な情報の把握と共有ができる組織を実現し、縦割り行政からの脱却も進めてまいります。

3点目として、市民の声が届く行政を目指します。

「市民はお客様」の視点から、市民からの意見や要望等を迅速かつ的確に把握し、きめ細やかに対応することができる体制を構築します。

各支所やサービスセンターを情報収集の拠点とし、地域ごとに市民からの意見や要望等を迅速かつ的確に集約するための具体策の検討を進めており、この秋にも実践に移す計画です。集約した意見や要望等については、関係部署が連動して速やかに対応できる体制を実現していきます。

4点目として、ガラス張りの行政運営に努めます。

「市民は株主」であるとの意識を徹底し、公共施設のランニングコスト等も含め、より一層の情報公開に取り組みます。

特に今年1月に刑事告発にいたった補助金不正受給問題については、市民から説明不足との声が多く寄せられておりますので、外部監査制度を活用し、説明責任を果たしたいと考えております。

5点目として、職員の意識改革を断行します。

前例を踏襲するのではなく、常に現状に疑問を呈しながら新たな工夫をこらす意識をもって業務に臨む意識付けを図ります。

既に大多数の職員から業務改善案を提出してもらいましたが、ペーパーレス化によるコスト削減案や、各種手続きの簡略化による市民サービスの向上案などが上がってきております。これらの改善によって、より質の高い行政サービスの実現を目指します。

(2)農林水産業の再生計画の策定と活性化

農林水産業の活性化は、一朝一夕で解決できる問題ではありません。しかしながら、経営が成り立ち、雇用を生むことができる受け皿作りや、担い手の育成などは喫緊の課題であり、速やかに取り組まなければなりません。

補助金で支援する農政ではなく、市がJAなどの農業団体や農家と一体となって連携する取組が必要です。そのために農林水産業の再生に向けたビジョンを策定し、活性化に努めてまいります。

1点目として農業とエネルギーのベストミックスによる環境型農業モデルを構築します。

自然エネルギーを農業に活用した環境ブランドの確立と綿密なマーケティングによるターゲットを絞った販売戦略により施設園芸などを強化し、複合型農業モデルを策定し、自立できる農業の促進、農業経営体の安定を図ることで、U・Iターンを含めた雇用の創出につなげてまいります。

2点目として、担い手の育成と地産地消を推進します。

米を補完するおけさ柿、ルレクチェなどの販売力の向上とともに、地産地消の柱となる野菜などの園芸作物の生産拡大、ハウス栽培の復活など島内でお金が循環できる仕組みづくりにより、農業経営の安定化を図りながら、農商工連携を進めることで、地場産業の裾野の拡大に取り組みます。

また、担い手の育成に向けて、単なる補助金行政から脱皮し、JAなどの農業団体や市など、官民あわせた連携の中で、担い手育成の中長期ビジョンの策定や、新たな法人の設立、法人の大規模化などを支援する枠組みを検討してまいります。

3点目として、農商工連携と6次産業化による加工施設の設置と雇用創出を進めます。

佐渡で活躍する農林水産業者と商工業者が連携し、豊かな自然の恵みから生み出された産品の付加価値を高める加工施設の設置計画の検討などから、農商工連携と6次産業化を促進し、所得確保と雇用拡大を図ってまいります。

(3)佐渡金銀山世界遺産登録と受入態勢整備

佐渡への誘客を強力に推し進めていくために、佐渡金銀山の世界遺産登録を引き続き目指してまいります。

それに並行しながら、世界遺産登録後、観光客に何度も訪れてもらうためには、受入態勢の整備を進めていくことも必要です。

1点目として、現状の観光スキームを見直し、地域の多様な関係者が連携し、科学的なアプローチを取り入れた観光地域づくりを行う舵取り役である佐渡版DMOの構築に取り組みます。DMOとは明確なコンセプトに基づいた観光地域づくりを実現するための戦略を策定し実践する法人です。

従来の観光関係事業者中心の振興策ではなく、顧客ニーズの分析や地域経営の視点に立って、1次産業や文化・スポーツ、地域など多様な関係者と一体となって旅行者を受け入れる自立的で継続的な観光地域づくりが求められています。

1次産業の生産と加工、誘客を一体化したシステムづくりや、佐渡の海、山、平野、文化等、すべてが観光資源になるという前提に立った体験型観光資源の整備を進めます。

そのため、産業構造や人口動態、人の流れなどに関する国のデータを積極的に活用するとともに、観光地域づくりに必要な独自の情報収集と分析を行い、データに基づいたターゲット戦略の策定や効率的で効果的な事業展開とするために計画、実行、評価、改善を行う、いわゆるPDCAサイクルの確立などを検討するチームを立ち上げ、佐渡版DMOの形成を目指します。

2点目として、さらなる観光客の増に向けて外国人誘客を強化します。

Wi-Fiの整備や、世界的3資産を語れるガイドと地域限定通訳案内士の育成、外航クルーズ船の誘致、バス車内の英語アナウンス、消費税免税店の導入推進などに加え、公衆トイレの洋式化、看板の多言語化、民泊の検討などの受入態勢を整備します。

3点目として、交通の整備です。

佐渡航路は唯一の生命線であり、航路の安定的な運航と低廉化は島民生活の向上や交流人口拡大にとって不可欠なものです。

本年4月には特定国境離島振興に係る特別措置法が成立しました。国は今後、その予算化の作業に入りますが、旅客、貨物の航路運賃の低廉化が実現されるよう強く働きかけてまいります。

また、佐渡汽船の自助努力による経営安定を求めるとともに、国、県、対岸市等と共に航路の活性化協議に力を注ぎます。

佐渡空路については、県と連携し、佐渡―新潟間の定期便の早期再開に向けた取組を進めるとともに、2,000メートル化など様々な課題に真摯に取り組んでまいりたいと考えております。

以上、今後の市政運営についての所信を述べさせていただきました。

当然ながら、本日申し上げた施策以外にも、福祉、教育、医療などの重要な施策を進めていく必要があります。

喫緊の課題もあれば、長期的な戦略を組み立てながら、しっかりとレールを敷いていかなければならない課題など、多種多様であることは認識しておりますし、一つ一つ吟味しながら、確実に推し進めてまいります。

また、施策の具体化については、基本的には今後順次詰めていくことになりますが、それらを実のあるもの、より効果的な施策にするためには、幅広く市民の皆さまの意見を聞かせていただかなくてはなりません。

「市民はお客様」であり、「市民は株主」であるという意識を職員に徹底させながら、様々な課題に挑んでまいります。

私には、行政経験はありませんが、これまで民間企業で培ってきた経験と視点をもって、佐渡市の再生に向けて精一杯、取り組んでまいりたいと思います。

何とぞ、市民の皆さま、市議会議員の皆さまの深いご理解とお力添えを賜りますようお願い申し上げて、私の所信表明とさせていただきます。

ご清聴ありがとうございました。

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