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世界農業遺産登録意見交換会「持続可能な環境再生と農業振興を考える」の記録

平成23年5月29日、開催

2011年7月28日、掲載

農林水産課 農業政策室 生物共生推進係(0259-63-5117)

本ページの目次

日時・会場・次第

日時
平成23年5月29日(日曜日)10時〜12時
会場
アミューズメント佐渡、大ホール
次第
  1. 開会あいさつ(佐渡市長、高野 宏一郎)
  2. 来賓あいさつ(農林水産省北陸農政局 局長、角田 豊氏)
  3. 第1部:基調講演
    1. GIAHS(ジアス):能登地域の取組みの紹介
    2. GIAHS(ジアス)推進の考え方
  4. 第2部:提案内容の紹介
  5. 第3部:意見交換
  6. 閉会

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内容要旨

第1部:基調講演

GIAHS(ジアス):能登地域の取組みの紹介

講師
金沢大学学長補佐 兼 環日本海域環境研究センター長、中村 浩二氏

能登は8つの自治体でジアス認定に取り組んでいる。能登は本土では最後までトキが生存していた地域で、佐渡とは似ているところが多数ある。

能登にはまだトキが定着していないが、将来定着してくれることを期待している。

能登は人口が21万人であるが、20年後は10万人になるという数字が出ている。

それをなんとか跳ね返して、農業、地域、里山の重要化を示していきたいし、ジアスがいいチャンスだと思う。

能登にはそれぞれの地域の特有の文化があり、里山、里海がつながっており、能登のジアスのタイトルは里海もついている。

学生と地域の方とのふれあいや2006年から里山自然学校もあり活動している。

国際的にも日本の里山里海が認められているので、ジアスでさらに広めていきたい。

過疎高齢化で里山の維持が問題になっている。どのようにしていくのかが大事になってくる。

新潟大学と金沢大学はあまり交流がなかったが、里山マイスターなどで急速に連携が進んでいる。

国内でも農業が進んでいるところはある。そういったところと連携していくことも大事である。

このジアス申請が能登と佐渡をつなげ、お互いに協力しあっていきたい。

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GIAHS(ジアス)推進の考え方

講師
農林水産省北陸農政局企画調整室長、渡辺 安宣氏

1月のフォーラム時には世界農業資産システムといっていたが今回ジアス(世界農業遺産)ということでシンプルな形で統一していきたいと考えている。

ジアスは2002年から途上国向けに始まった重要な農法、生物多様性、農業景観を持つ地域をFAOが認定するものである。

佐渡市が6月に認定されれば先進国としては初めて認定されるということになる。

ジアスの重要な試算は有形のものと無形のものと2つある。ユネスコの世界遺産は建物や自然が対象になっているのに対して、ジアスは現在も営まれている農業活動、生物多様性を重視していこうというものである。次世代に継承していくという点では世界遺産とジアスは同じと考えられる。

ジアスは地域が主役で、佐渡地域が主体的に行動していくことが原則である。

認定されたからといって今の活動に制限はない。

メリットは、地域で考えることであり、付加価値をつけてブランド化するとか観光面なども考えられるが、いかに活用していくことが大切である。

こういった関係者が集まって意見交換会などで勉強していることはFAOに対してもアピールになると思う。

世界各地での8箇所の認定されている例を見ると、グリーンツーリズムなど行ったり、特徴的な取り組みを行っている。

佐渡の関係者の方は一生懸命取り組んでいるという印象を受けているので、これからも取り組んでいっていただきたい。

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第2部:提案内容の紹介

テーマ
GIAHS(ジアス)認定登録についての提案」
提案者
佐渡市長、高野 宏一郎

(6月の北京でのプレゼンテーションの内容の紹介)

佐渡島は、3000万年前には中国大陸とつながっていたが、1800万年前佐渡は日本とともに大陸から分かれて移動をはじめ、300万年前から今の位置になった。

美しい日本海に浮いている佐渡は、景観で自然にあふれ、多くの観光客を招き入れている。

佐渡での稲作の始まりは、約2000年前からだとされている。

佐渡中央部を中心に行われていたが、佐渡の砂金発見から相川金山閉鉱まで長きにわたって金が採掘され、人口が増加するにつれて、谷間の湿地へと拡大していった。

金山からの富でゴールドラッシュとなった佐渡では急増した人口のため、新田開発が促され、山間深くまで棚田が開発された。水源の乏しい佐渡では1000を超えるため池により灌漑がなされたが、開墾のための土木技術や水利に鉱山の技術が使われた。水のくみ揚げには水上輪といわれるヨーロッパからのポンプの技術(アルキメデスポンプ)も使われた。

また、薪炭やわら製品など換金商品の需要増による農外収入が増えた。

時代が変っても農地は小規模ゆえ効率的な土地改良が進まず、土側溝やため池などには多くの生き物が住みついていた。

耕作にあたって農家は農薬の使用も控え、豊かな生物多様性が守られたことが、トキを日本で最後まで佐渡に生き残らせた理由となった。

また、金山や能、鬼太鼓、車田植など伝統文化・芸能も多く残っている。

トキは日本を代表する環境を象徴する存在であり、佐渡で生き続けた鳥だったが、近代化の流れは農業にも大きな影響を与え始めた。

トキの野生復帰活動も契機となり、生物多様性の象徴としてトキを守ることで生物多様性豊かな水田を増やし、かつ環境付加価値向上により農家収入を高めることによって伝統の農地を保護しようと考え、佐渡市が認証する朱鷺認証米制度によりトキのエサ場になる水田を増やすことに成功した。

今後はこれらの施策をさらに進め、伝統の水田を守り、次の世代へ引き継いでいきたいと考えている。

そのために、生物多様性保全に視点をおいた地域づくりを推進する必要があり、農家のみならず、未来を担う子供たちも動員して、生物が増えているかの調査を実施している。

この認証米は、ブランド米の新潟県の中でも最もよく売れるコメとなった。

また、一方で、棚田オーナー制度で、昔の生物量維持や景観の保全に努めている。

同時に、イメージだけではなく、ドジョウなどの生物やトキの生息数の状況を科学的に把握するため、生物多様性版GISによる、評価システムの構築に向けた取り組みを新潟大学の協力の下に進めている。

「洞爺湖サミット」のメインダイニングに飾られた原生林の写真や映画にも登場したことのある北小浦の「コブダイ」もいる。

佐渡は生物多様性のバランスを保ち持続可能な島を目指し、がんばっていきたい。

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第3部:意見交換

コーディネーター
  • 環境省佐渡自然保護官事務所 首席保護官、長田 啓氏
パネリスト
  • 金沢大学学長補佐、中村 浩二氏
  • 北陸農政局長、角田 豊氏
  • 朱鷺と暮らす郷づくり推進協議会長、江口 誠治氏
  • 佐渡市長、高野 宏一郎
角田氏

農林水産省としても過疎、高齢化という非常に大きな問題で、農産、漁産地域の再生を重要課題として取り組んでいる。その中でも離島や中山間地域等の条件不利地域の活性化の為、どう振興していけばいいのかということが、非常に難しい課題である。いろいろな取り組みを総合的に進めながら、里山、里海という地域資源を出来るだけ有効に活用して、持続的な農業と地域の活性化を進めて行きたいと思う。

消費者が求める物は、「安心」「安全」な農産物である。そうした消費者ニーズに答えるような農業を目指していく、そういう意味では佐渡市で取り組んでいる「朱鷺と暮らす郷認証米制度」はそのニーズに合致した取り組みであると思う。この仕組みを加速的に進めそれをブランド化し付加価値の高いものにし、農家の収入の向上にも繋げていけるのではないか。

また重要な課題としては、担い手(後継者)問題である。地域での人材確保が難しいようであれば、農業法人や生産法人といった多地域からの加入や、大学、企業との連携等も一つの仕組みとして考えて行かなければならないと思っている。その際に、このジアス認定はかなり大きなブランド力になると思う。ジアスに認定されるということは日本のみならず世界から佐渡地域の農業への取り組みが認められるということである。このジアス認定を農業政策推進の大きなツールとして活用をしてもらいたいと思う。

長田氏

里山とは、人が継続的に手を入れていくことでそこの資源を長く利用していくことが出来き、豊かな生物も暮らしていける環境である。

去年秋の、生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)の中でも里山というのは大きなテーマだった。里山という言葉は世界でも「SATOYAMA」と表記され、世界の共通語になったと思う。

トキは里山の鳥といわれている。トキは不器用な鳥で、川で泳いでいる魚などを取るのは苦手で、田んぼのような浅いところで動きの遅いドジョウなどを取っている。最初は浅い湿地や湧き水などが出ている場所を餌場としていたのが、農業という仕組みの中で、湿地などが田んぼという形に変わって行き、トキが生き残ってきたのではないかと思う。

ジアスは農業の世界遺産と言われている。世界遺産というのは他にはないものでオンリーワンである。佐渡のオンリーワンを考えた時に、このジアス申請の「朱鷺と暮らす郷づくり」のタイトル通りトキが象徴になり、そこにあるものを残していくだけではなく、これから地域が一体となって活動をしていき、その活動そのものが遺産になっていくように、遺産となるシステムをどう維持していくか、行政の指示に従うだけではなく、地域の方々が自らジアスのシステムを利用しながら未来を描いていくことが重要だと思う。

江口氏

トキは、私たちがいままで取り組んできた「トキとの共生」「生きものを育む農法」で我々生産者の環境への意識、自分たちの農業への価値などを再認識した存在である。

しかし、生産者は農業を経済(自分たちの生業)として位置付けて行かなくてはいけない、避けては通れない部分である。

今回のジアス申請は、農業を続けていくことに対しての支援、評価という意味で、今までの「朱鷺と暮らす郷」という「生きものを育む農法」の推進だけでなく、地域の経済をどう組み立てていくか、システムとしてどう取り組んでいくか、どう変革をしていくか、というこれから農業を営んでいく生産者が農業を続けていく為の、支援・評価の仕組みが今回の申請で可能となるのではないか。

自分たちの取り組んでいる農業がこの後、担い手の問題、生活をしていくための生産品の販売の問題など、いろいろな課題を抱えている中で、ジアス認定を地域としてどうシステム化をし、どう取り組んでいくのか、このあとの認定を踏まえてみんなで考えていき、農業関連団体全員で意識しあい取り組んでいきたいと思う。

一般参加者

ジアス登録で佐渡、能登との同時登録であるが、関心が分散してしまうのではないのか? 他の地域でも我々が目指している取組が進んでいくのではないか?

中村氏

佐渡と能登はお互いの共通点も多くあるが、相違点も多数あるのでお互いの良いところを見習いながら、お互いの地域をより良くして行かなくてはいけない。佐渡と能登だけでジアスを持っているだけでは駄目だと思う。全国には沢山の農業システムがあり、これから全国へ広げていき前向きな考えを持っていかなくてはいけないと思う。

市長

誰に対して発信していくのか?農業収入を考えた時、お米、付加価値だけを売っていくだけではなく、農業の持つ多面的な価値を消費者に訴えていくことがこれから必要とされていると思う。

佐渡は兼業農家が大多数である。もちろん専業農家さんもいるので一概には言えないが、農産物だけでなく、他にどのような収入を得れば、後継者を佐渡に定着させることができるのか、その為の仕組みを考えて行かなくてはいけないと思う。その時、我々は農業の持つ多面的な価値を消費者に訴えていけるような考え方が必要と考える。

佐渡市で取り組んできたことは、佐渡の環境ブランド力の向上である。佐渡にトキがいるということもあり、生物多様性等、佐渡の環境をどう良くしていくか、そして消費者が佐渡で癒される、消費者への価値(佐渡の景観など)を考えて、そういう環境を確保するのが大事だと思う。

その為の取り組みとして、島民による島内一斉清掃やレジ袋有料化など、あらゆる環境に対する仕組みを早期に導入を進めてきた。

最終的には、消費者が求めるものを佐渡で用意していく、佐渡へ来ることが消費者の喜びとなるように、その喜びがブランド力になるように佐渡市では取り組んで行きたいと思う。この仕組みの土台作りは用意するが、この仕組みをどう利用してくかは地域のみなさまと一緒になり進めて行きたいと思う。

角田氏

棚田は面積的には多くない。日本全国の水田が約460万ヘクタール、その中で棚田に該当する面積は25万ヘクタールと少ないが、その持つ価値というのは大きいと思う。棚田は地滑り地帯に作られており、国土保全に果たす極めて重要な部分であり、棚田をきちんと維持することによって地滑りが防止されるという効果がある。それから景観が非常に優れている。棚田の景観を求めて写真を撮りに来る方も非常に多く、そのように多面的な価値がある。

棚田を含め中山間地域の保全は非常に重要だが、条件が非常に不利でもある。農林水産省としてもこの条件不利地域に対しての支援(中山間地域直接支払)を行ってきている。今年度も支援をさらに強化していく。

長田氏

トキ保護と棚田の関係については、トキが最後に残った地域は小佐渡山中の棚田を含めたエリアだった。放鳥した後はそういう場所を利用するのではないかと予想をしたが、実際にはもちろんそういう場所も利用するが、平場に来ることが多い。しかし棚田の重要性は非常に高く、これからトキが放鳥されて定着をして行けば、棚田が重要な餌場として利用されると思われる。

棚田は生産性としては非常に不利な条件を多く持っているが、佐渡の棚田の景観の美しさや本州の棚田とは違い、鹿、猪等の被害がないという点、棚田周辺の資源の利用(木質ペレット等)など、何があって、何がないかを考えた時に、棚田だから全部の条件が不利という考えではなく、逆に棚田だったらここを活かしていくというものを見つけていくことが大事だと思う。

江口氏

現場としての棚田について、今年度23年度米については、畑野の丸山地区の棚田、里山ということで、すでに取引先との交渉も終わった。今後は、情報交換、交流をどのようにしていくかというところまで進んでいる。佐渡の農業の土地利用の仕組みはどうなっていくのか? そこから生まれてくる農産物は、どう付加価値が付いていくのか? ということをみんなが考えることがブランド力に繋がっていくと思う。

環境を経済的に佐渡の住民や農業者がどのような形でジアスを取り組みに活用していけるのかを考えていきたいと思う。

中村氏

日本の里山、中山間地域、棚田、は非常に大事である。これを残していく点で今回、佐渡と能登がジアス認定され、さらに我々だけでなく、国内サイト(ジアス認定地域)を広げて行き、国際サイトとの交流を深めて行き、そこからチャンスが生まれていくのではないか。まずは佐渡と能登の交流を行っていきたいと思う。

今回の主人公は誰かというとまずは、農業をしている人である。農業をされている方々が主体となり、ボトムアップで提案をしてくことが大事である。そして若者である。どのように若者をジアスや里山の運動に繋げていけるのかが大事である。そしてもう一つは都市の方である。沢山いる都市の方に分かりやすく提案できる仕組みがジアスではないかと思う。

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