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翁・三番叟扁額
指定種別(員数) | 絵画(20面) |
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指定年月日 | 平成6年3月29日 |
所在地 | 佐渡市市野沢 |
所有者または管理者 | 実相寺 |
佐和田地区市野沢の実相寺に伝わる翁・三番叟と三十六歌仙人の扁額で、縦約42cm、横約29cm、桧材に胡粉下地を施した上に極彩色で丁寧に描かれている。
このうち、翁・三番叟は2面が現存し、それぞれ白色と黒色の尉面を着け、風をはらんで能楽を舞う姿が、効果的な彩色によって大らかに描かれている。裏面に「寛永元年九月三日 長谷川左近卅二歳筆」の墨書があり、寛永元年(1624)に長谷川等伯の三男左近により描かれたことがわかる。
一方、三十六歌仙は、残欠3面を含めて18面が現存する。各歌仙を左右2組に分け、各額面の幅一杯に拡がる上畳に座る歌仙各1人ずつが彩色で描かれ、上方の空間に歌仙名と歌一首が墨書されている。平兼盛、中務両額の裏面に見える「寛永元年十月二日 由次」の墨書から、翁・三番叟より1ヵ月遅れて描かれたことがわかり、その大きさや額装の様などから、一具として製作されたものと考えられる。翁・三番叟などとの筆致の違いから、左近本人ではなく、その周辺の画家の筆と推定されている。
いずれの扁額も左近ひいては長谷川派研究上、貴重な資料である。