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平成30年度:教育行政方針

記事ID:0001394 更新日:2021年3月2日更新 印刷ページ表示

本ページの目次

はじめに

平成30年第1回佐渡市議会定例会の開会に当たり、佐渡市教育委員会所管に関する教育行政方針について申し上げます。

佐渡市の教育においては、核家族化など家族形態の変容、地域社会のつながりや支え合いによるコミュニティ機能の低下等に伴う家庭や地域の教育力の低下が指摘されています。また、確かな学力の育成、いじめ・不登校の問題、規範意識の醸成などに関するさまざまな課題が見られます。

そのような中、本市では、平成27年11月に「佐渡市教育大綱」を策定しました。そして、その実現に向けた教育施策を総合的・計画的に推進するための指針として平成29年4月に、「佐渡市教育振興基本計画」を策定しました。

「佐渡市教育振興基本計画」は、先に定めた「佐渡市教育大綱」の6つの基本目標を達成するため、延べ18の施策を掲げています。平成29年度は、その中から重点的に取り組む施策を決め、年度末までの達成目標を定め、取り組んでまいりました。

ここでは、その成果と課題を踏まえつつ、平成30年度の方針を報告させていただきます。

基本目標1 学ぶ意欲を高め確かな学力等を育成する教育の推進

基本目標1につきましては、「施策1 学ぶ意欲を高め確かな学力を育成する教育」と「施策2 豊かな心、倫理観、規範意識を育む道徳教育」の2点を重点に定め、取り組みました。

「施策1 学ぶ意欲を高め確かな学力を育成する教育」では、全国学力・学習状況調査や標準学力検査(NRT)で、目標値を設定し、その達成のため、各小中学校からの要請訪問や学校支援訪問を実施してきました。また、中学校数学と英語に対する「学力向上プロジェクト」の継続、佐渡市PTA連合会と連携した家庭学習に関する研修会・講演会の開催等に取り組みました。

その結果、全国学力・学習状況調査では、設定した数値目標の達成が、小学校では50%、中学校は25%でした。前年度に比べて全国平均との差も縮まり、改善が見られる結果となりましたが、目標に届かない教科・項目はまだ多くあり、その改善が課題です。

標準学力検査(NRT)については、まだ結果がまとまっていませんので、後日報告させていただきます。平成30年度は、目標値をさらに上方修正し、その達成を目指します。そのために、「学力向上プロジェクト」を引き続き実施し、数学並びに英語を中心とした授業力の向上と、全校体制での取組を推進します。加えて、今後、年次計画で、小中学校に電子黒板等のICT環境の整備を図ることとしました。導入された学校から、デジタル教材や資料を活用しながら、新学習指導要領で重視されている「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善を図ります。

また、家庭学習では、教職員研修会、保護者向け講演会の後、研修内容を実践するためのモデル校を募集し、その実践を紹介しながら各校への取組の拡大を促しました。その結果、平日1時間以上家庭学習に取り組む児童生徒が、小学校では69%、中学校では61%と、目標値を概ね達成することができました。しかし、依然として家庭学習の時間は十分とは言えません。今後もこの実践をさらに各学校に広め、取組の拡充を図ることで学習時間の増加に努めます。

「施策2 豊かな心、倫理観、規範意識を育む道徳教育」では、小中学校全ての学級での道徳の公開授業実施と、全ての学校での人権教育、同和教育の公開授業や指導案づくり等の実施を目標に、その達成を目指しました。結果は、道徳の公開授業は81%、人権教育、同和教育の取組は75%の達成でした。平成30年度は、小学校道徳の教科化が全面実施となります。中学校道徳も31年度の教科化に向けた準備が本格的に始まります。効果的な指導法や資料の活用方法などの研修のさらなる充実を図るとともに、保護者への積極的な公開を各学校に働き掛けます。また、平成30年7月には、佐渡市を会場に「新潟県同和教育研究集会」が開催されます。研究指定校を中心として、市内小中高等学校と連携して取組を進め、成果を共有することで、人権教育、同和教育の充実を図ります。

基本目標2 郷土愛を軸にしたキャリア教育の推進

基本目標2につきましては、「施策6 佐渡を知り、愛し、誇りとするキャリア教育」を重点に定め、佐渡学の実施、課題解決学習を取り入れた職場体験活動の実施、「キャリア教育グランドデザイン」に基づくキャリア教育の全学年実施を目指し、学習についての指導・支援、職場体験受け入れ企業の拡大と連携の強化、小学校6年生向け教材「みらい's(ず)ノート」の有効活用研修等に取り組みました。

その結果、「佐渡学」を実施している学校は、小中学校とも昨年に引き続き100%となりました。今後もこの数値を維持・継続するとともに、発達段階に応じた学習内容の質的向上を図るよう、指導します。課題解決学習を取り入れた職場体験活動を実施する中学校は、平成27年度から計画的・段階的に取り組みを進め、平成29年度には13校中6校が実施し、達成率46%となりました。平成30年度にはさらに4校、31年度には残りの3校で実施することにより、平成31年度末で100%達成の予定です。

「キャリア教育グランドデザイン」に基づきキャリア教育を全学年で実施している学校は全体の94%となり、今年度の目標値を大きく上回りました。今後は、各学校のキャリア教育全体計画がグランドデザインに整合しているかの点検・見直しを指導することで、平成30年度中に100%の達成を目指します。

また、基本目標1でも説明しましたICTの導入に伴い、授業における効果的なICTの活用に関する内容を重点施策に掲げ、教職員の研修を中心とした取組を進めます。

基本目標3 安全・安心な学校づくり

この基本目標につきましては、「施策9 安心な学校をつくるための生徒指導体制」を重点とし、いじめの解消率100%と不登校発生率の減少を目指しました。

いじめの解消では、「佐渡市いじめ防止基本方針」に基づき、未然防止、早期発見、即時対応を図るための学校体制を支援するとともに、迅速な報告を求め、学校と教育委員会で連携して対応するよう努めました。その結果、解消率は86%と目標数値には届きませんでしたが、現在も指導を継続し、解消に向け粘り強く取り組んでいます。平成30年度もこの取組を続けるとともに、小さな事案であっても教育委員会への報告を求め、学校と教育委員会が連携を密にした取組をすることで、100%の解消に努めます。

不登校発生率減少では、平成28年度から全小中学校で共通に実施している「心の健康チェックアンケート」の活用と、新潟県が示す「子どもとともに1(ワン)・2(ツー)・3(スリー)運動」の実施を徹底することで、児童生徒の実態把握・状況把握に努めました。その結果、個々の児童生徒の把握と分析は進んだものの、発生率の減少にまでは至りませんでした。不登校の発生は年年増加傾向にあります。平成30年度は、特に小学校での未然防止と早期対応の取組の充実、関係機関、特に子ども若者課との連携を強化し、役割分担を明確にすることで、発生率の抑制、減少に努めます。

基本目標4 高等教育・研究機関との連携の強化

この基本目標では、「施策10 大学や研究機関を活用した教育」を重点とし、大学や研究機関並びにICTシステムの活用の充実を目指して取り組みました。

大学や研究機関の活用では、活用例を各種研修会で提案・紹介することで充実を図るよう努めました。その結果、学校の教育活動のほか、授業研究の外部講師等でも大学教授を積極的に招聘し、内容の充実を図る学校が増加しました。実施率は61%と目標の80%には達しませんでしたが、今後も引き続き有効な活用事例を紹介することで、目標の達成を目指します。

ICTシステムを活用した研修会の実施は5回という目標を達成することができました。上越教育大学だけでなく、県立教育センター研修にも活用の幅を広げて実施し、好評を得ています。平成30年度は目標値を7回に引き上げ、教育振興基本計画に記載されている平成31年度目標値の達成を目指します。

基本目標5 一人一人が学び続ける生涯学習の充実

この基本目標では、「施策12 公民館活用機会の拡大」「施策13 スポーツ実施率の向上」「施策14 図書館・図書室の資料とサービスの充実」「施策16 文化・芸術の振興」の4つを重点に、取組を進めました。

「施策12 公民館活用機会の拡大」については、公民館は地域住民にとって最も身近な学習拠点というだけでなく、交流の場として重要な役割を果たしていることを踏まえ、地区公民館を地域の活動拠点とし、「地区公民館事業活性化支援隊」や市民の協働による各種文化、スポーツ、レクリェーション活動を実施しました。これからも社会の要請に的確に対応した取組や、地域住民全体が気軽に集え、人間力の向上などを中心としたコミュニティのためのサービスの提供を進めていきます。

「施策13 スポーツ実施率の向上」では、国は平成34年3月までに、成人のスポーツ実施率を週1回以上が65%程度となることを目指しています。市でもその目標に向けて、子どもから高齢者までの多世代がスポーツに親しむ環境づくりを図るとともに、平成30年度はモデル地区を一地区選定し、地域住民が自主的・主体的に運営等に参画する総合型地域コミュニティクラブの設立を目指します。

「施策14 図書館・図書室の資料とサービスの充実」については、平成29年度から5つの図書室にも専任職員の配置と土曜・日曜日の開館を実施しました。その結果、図書室の来館者は昨年の1.22倍に増加しており、これからも図書館が誰にとっても身近な存在であり、それぞれのライフステージにおいて学習ができるよう、サービスの充実に努めていきます。

「施策16 文化・芸術の振興」については、佐渡の多様な伝統文化を保存継承するとともに芸術・文化の高揚を図り、市民生活の向上と文化発展に寄与することを目的に、本年7月に一般財団法人「佐渡文化財団」を設立します。また、市の文化施設を活用し、佐渡の貴重な文化を島内外の人びとに広く発信することにより、文化の保存と継承、市民の郷土愛の醸成につなげていきます。

平成30年度は、これに加えて、施策15に掲げたジオパークの推進、施策17に掲げた、家庭や地域の教育力向上にも力を入れて取り組みます。

ジオパークの推進については、昨年11月に行われた4年に一度の日本ジオパーク委員会の再審査において、「条件付き再認定」となったことから、示された課題の整理と、その解決を図り、2年後の再認定に向けて取り組んでいきます。ジオパークは「教育」・「保全」・「地域振興」の3つの柱を循環させて持続可能な社会づくりを目指す、ユネスコの正式プログラムです。平成30年度は、これまで以上に、各世代における普及・教育活動、ジオガイドの育成、地域における活用など、世界農業遺産や世界文化遺産の登録活動と連動しながら事業の推進に努めます。

学校・家庭・地域の連携促進では、近年、子どもを取り巻く環境が大きく変化するとともに、家庭や地域の教育力が低下しており、未来を担う子どもたちを健やかに育むためには、学校、家庭及び地域住民等がそれぞれの役割と責任を自覚しつつ、地域全体で教育に取り組む体制づくりを目指す必要があります。このことから、平成30年度は、地域コーディネーターの配置を、昨年より13校多い小学校17校、中学校9校の計26校で行う計画としております。

基本目標6 家庭教育・地域教育充実のための取組の推進

この基本目標では、「施策17 家庭や地域の教育力向上のための取組」を重点に掲げ、家庭学習習慣の確立を目指して取り組みました。基本目標1でも説明しましたが、平成29年度は保護者向けの家庭学習に関する講座を開催するとともに、各学校にPTAと連携した啓発活動を要請しました。

その結果、PTAで家庭教育啓発活動を実施している割合が81%となりました。目標の90%には届きませんでしたが、平成30年度は、すでに実践している学校の取組を紹介したり、中学校区で連携した取組を奨励したりすることで、取組校の増加に努めます。

児童生徒のテレビ等の視聴時間、ゲームやスマートフォンの使用時間についても目標値を定めて取り組みましたが、小中学校とも十分な成果を上げるまでには至っていません。今後も、各校の家庭学習強調週間など保護者と連携した取組を粘り強く継続し、目標の達成を目指します。

さらに、平成30年度から、コミュニティースクール導入に向けた取組を計画的・段階的に進めていきます。基本目標5でも説明しましたように、まずは、地域コーディネーターの学校配置数を増やすため、人材発掘と育成に努めます。並行して、モデル校の設置数を段階的に拡大していきたいと考えています。

おわりに

本市の教育の充実・発展のためには、「佐渡市教育大綱」の理念に基づき、学校、家庭、地域が連携し、課題を共有するとともに、「佐渡市教育振興基本計画」に掲げる施策を着実に実施していくことが重要です。

教育振興基本計画の施策実施につきましては、平成30年度も重点を定め、平成31年度目標値の達成に向け、取り組んでまいります。

また、新教育委員会制度へ移行し2年目を迎えるにあたり、多様化する教育行政の課題に的確に対応していくため、教育委員会事務局組織の見直しを行います。

本市の教育の充実・発展のための各取組に対する議員並びに市民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げまして、平成30年度の教育行政方針といたします。

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