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平成31年度:教育行政方針

記事ID:0001395 更新日:2021年3月2日更新 印刷ページ表示

本ページの目次

はじめに

平成31年第1回佐渡市議会定例会の開会に当たり、佐渡市教育委員会所管に関する教育行政方針について申し上げます。

佐渡市の教育については、平成27年11月に『佐渡市教育大綱』を、その実現に向けた教育施策を総合的・計画的に推進するための指針として平成29年4月に『佐渡市教育振興基本計画』を、それぞれ策定しました。

『佐渡市教育振興基本計画』は、先に定めた『佐渡市教育大綱』の6つの基本目標を達成するため、延べ18の施策を掲げ、取組を進めてきました。

平成31年度は『佐渡市教育大綱』の終期となることから、『教育振興基本計画』に掲げた施策についても、評価目標値の達成を目指して取り組んでまいります。そのことを踏まえ、平成31年度の方針を報告させていただきます。

基本目標1 学ぶ意欲を高め確かな学力等を育成する教育の推進

「施策1 学ぶ意欲を高め確かな学力を育成する教育」では、全国学力・学習状況調査や標準学力検査(NRT)で、全国平均以上を目指し、その達成のため、各小中学校への訪問指導や支援を行いました。また、中学校の数学と英語に対する「学力向上プロジェクト」を継続して実施しました。さらに、ICT機器を活用した授業改善の取組も始めました。

その結果、全国学力・学習状況調査では、小学校の国語Aで全国平均を上回りました。中学校では全国平均まで到達しませんでしたが、前年度に大きく向上した数値を維持することができました。

新潟県が、独自に、毎月実施している「Web診断問題」の成績は県平均に達していますので、今後は、その分析も生かして授業改善を図ります。また、電子黒板等のICT環境の整備校を拡充し、デジタル教材や資料を活用しながら「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善を図ります。

もう一つの目標である家庭学習習慣の確立では、家庭学習モデル校の実践紹介による各校への啓発を図ってきました。その結果、平日1時間以上家庭学習する児童生徒の割合が、目標値に近づいています。

今後は、モデル校をはじめ、成果を上げている学校の取組を広めながら、家庭学習の時間の増加と内容の充実に努めます。

「施策2 豊かな心、倫理観、規範意識を育む道徳教育」では、小中学校すべての学級での道徳の公開授業実施と、すべての学校での人権教育、同和教育の公開授業や指導案づくり等の実施を目指しました。また、道徳の教科化に向け、効果的な指導法や資料活用方法などの研修の充実を図りました。

人権教育、同和教育では、昨年7月に佐渡市で行われた「新潟県同和教育研究集会」での研究指定校を中心とした取組により、市内小中高等学校で成果を共有することができました。その結果、道徳と人権教育、同和教育の授業を公開する学校の割合が向上しました。

今後、道徳では、中学校の教科化を受け、指導者研修のさらなる充実を図るとともに、保護者への積極的な公開を教育委員会としても支援していきます。また、今年度は道徳教育、人権教育、同和教育とも指定研究を受ける学校がありますので、研究指定校を中心に成果の共有に努めます。

基本目標2 郷土愛を軸にしたキャリア教育の推進

「施策6 佐渡を知り、愛し、誇りとするキャリア教育」では、佐渡学、課題解決学習を取り入れた職場体験活動の実施、及び『キャリア教育グランドデザイン』に基づくキャリア教育の全学年実施を目指しました。その達成のため、課題解決型職場体験モデル校の成果を共有し、各学校で生かせるよう支援しました。

その結果、「佐渡学」、グランドデザインに基づいたキャリア教育とも、市内すべての学校が実践しました。課題解決学習を取り入れた職場体験活動を実施している中学校も、計画どおり増えています。

今後は、実施率などの量的向上だけでなく、内容面での質的向上を目指して支援していきます。

「施策7 世界に羽ばたく人材を育成する教育」では、ICTの効果的な活用に関する研修の実施を目指し、その達成のため、モデル校にICT機器を整備し、活用を図りました。

今後、ICT機器の整備を計画的に進めながら、効果的な活用を目指し、実践的な研修を実施していきます。

基本目標3 安全・安心な学校づくり

「施策9 安心な学校をつくるための生徒指導体制」では、いじめの解消率100%を目指しました。その達成のため、『佐渡市いじめ防止基本方針』に基づき、未然防止、早期発見、即時対応を図るための学校体制を支援するとともに、迅速な報告を求め、学校と教育委員会が連携して対応するよう努めました。

その結果、いじめの解消率については前年度より向上しました。今後も、小さな事案であっても教育委員会への報告を求め、学校と教育委員会が連絡を密に取りながら、必要に応じて関係機関とも連携し、解消に向け粘り強く取り組んでいきます。

もう一つの目標である不登校発生率の減少については、平成28年度から全小中学校で共通に実施している「心の健康チェックアンケート」の活用と、新潟県が示す「子どもとともに1(ワン)・2(ツー)・3(スリー)運動」の実施を徹底することで、児童生徒の実態把握・状況把握に努めました。また、不登校の多い学校を支援校に定め、積極的に学校訪問を行いました。

その結果、小学校では不登校を減少させることができました。中学校では目標値を達成することができませんでしたが、一部に登校日数の増加など、改善も見られました。

今後、学校と家庭、及び関係機関、特に子ども若者相談センターとの連携を強化し、発生率の抑制に努めます。

基本目標4 高等教育・研究機関との連携の強化

「施策10 大学や研究機関を活用した教育」では、大学や研究機関並びにICTシステムの活用の充実を目指しました。その達成のため、佐渡市の「先進校視察・外部講師等招聘」事業や大学の遠隔研修システムの活用を促進してきました。

その結果、教職員が大学の附属学校等で、最先端の教育活動や授業を視察することができました。また、遠隔研修システムの活用で、島外にある大学と連携し、研修することができました。

今後、効果的な活用をしている学校の実践例の紹介や、隣接校同士で共同研修ができる体制の支援などを行うことで、高等教育・研究機関との連携強化を図ります。また、ICTを活用し、遠隔地の学校と共同授業を行うなど、佐渡から発信できる子どもの育成を目指します。

基本目標5 一人一人が学び続ける社会教育の充実

人口減少が進む当市において、活力ある市民の活動を進めるうえでも、一人一人が学び続ける社会教育の充実が重要です。そのためにも、新潟県が策定を予定している「新潟県教育振興基本計画」を基に、「佐渡市生涯学習推進計画」の策定を目指します。また、スポーツの振興により、青少年の教育、若者の出会い・交流を進めるとともに、高齢者の交流の場としても役割を果たし、健康寿命の延伸など社会的な課題解決にも取り組みます。

個別目標として「施策12 公民館活用機会の拡大」については、地域住民にとっての学習拠点、交流の場と位置付け、取組を進めてきましたが、講座、各種イベントの参加人数に減少傾向がみられることから、地区公民館の連携講座の開催により、講座の集中化、魅力度の向上に努めます。

「施策13 スポーツ実施率の向上」については、平成30年度は離島甲子園優勝やバドミントン全国大会優勝など、喜ばしい出来事が続きました。より一層のスポーツ振興のためにも、老朽化が進む施設の対策と効率的な利用を進め、スポーツの場の安定的な提供に努めます。

また、子どもから高齢者までの競技力や体力の向上と、健康寿命の延伸を目標とし、市民のスポーツ実施率60%の達成を目指します。その効果的な推進のために、平成31年度中に第2期佐渡市スポーツ推進計画を策定します。

「施策14 図書館・図書室の資料とサービスの充実」については、平成29年度から、5つの図書室にも専任職員の配置と、土曜日・日曜日の開館を実施し、平成30年度からは全館で祝日の開館も進め、利便性向上を図ってきました。また、佐渡市の目指す図書館像を明確にし、市民や地域から愛される図書館とするための「佐渡市立図書館ビジョン」を策定しているところです。

今年度は、図書館、図書室の来館者数の目標15万人の達成に向け、図書館ビジョンで策定する事業計画を進めていきます。

「施策15 博物館・資料館及び佐渡が誇る資産を活用した学習の推進」については、既存の博物館機能の役割を明確化し、佐渡の歴史、民俗、芸術等をわかりやすく展示するため、まずは、収蔵展示施設の整備、活用に取り組みます。

ジオパークの推進については、現在、再認定審査の準備を進めているところです。まずは、佐渡の玄関口でもある佐渡島開発総合センターを拠点施設として、情報発信機能を強化すると共に、イベント、市民講座、研究等が一体的に行うことができる体制を構築します。

また、再認定審査で、おおむね1年以内で解決すべき課題と指摘された、日本ジオパーク、世界文化遺産登録を目指す佐渡金銀山、世界農業遺産との理解促進や関連性については、「自然、人、文化の成り立ち」という観点から明確化を図るとともに、小中学校への講師派遣、観光団体、農協、漁協など多様な団体と連携し、情報発信、意識の醸成などを継続的に進めます。併せて、佐渡汽船等と一層連携することで、佐渡ジオパークの視認性の向上を図り、再認定となるよう取り組みます。

「施策16 文化・芸術の振興」については、国も平成30年度に文化財保護法を一部改正し、地域における文化財の総合的な保存・活用に一定の方向性を示したところです。佐渡市においては、奉行所を活用した鈍翁茶会や民謡の祝祭などは文化イベントとして、高い評価を得つつあるのが現状です。また、平成31年度は、能を中心とした文化イベントとして国民文化祭が開催される予定です。

これらの大きなイベントを観光やインバウンドの強化につなげ、文化の活性化を通した地域振興を図るとともに、様々な文化活動への市民の参加を促進し、佐渡の貴重な伝統文化の継承も進めていきます。

今後も、佐渡観光交流機構や佐渡文化財団との連携により、効果的な事業の展開を図ります。

基本目標6 家庭教育・地域教育充実のための取組の推進

「施策17 家庭や地域の教育力向上のための取組」では、児童生徒の健全育成、家庭学習習慣の確立を目指し、PTAと連携した啓発活動を各学校で取り組めるよう支援してきました。その結果、PTAで家庭教育啓発活動を実施している割合が向上しました。

児童生徒のテレビ等の視聴時間、ゲームやスマートフォンの使用時間については、前年までの数値から大きく改善しました。また、平日のテレビゲームやスマートフォン等の使用時間が1時間以下の児童生徒の割合についても、少しずつですが増えています。

今後は、テレビだけでなくパソコンやスマートフォン等を使用した動画視聴も含め、家庭との連携や啓発活動を継続していきます。

もう一つの目標であるコミュニティ・スクールについては、現在4校に設置し、当初の計画より進んでいます。今後は、2020年度までに、全小中学校への導入を目指します。

また、国は学校を核とした地域力強化プランを策定し、学校と地域が相互にかかわり合い、学校を核とした地域社会の活性化を目指しています。そのためにも、学校・家庭・地域の連携促進事業では、それぞれの役割と責任を自覚しつつ、地域全体で特色を生かした教育に取り組む体制づくりを目指す必要があります。

このことから、平成31年度は、地域コーディネーターを、すべての小中学校に配置し、コミュニティ・スクールとの連携を強化し、それぞれの学校が地域の特色を生かした柔軟な事業が展開できるよう支援していきます。また、社会教育課内に学校地域連携係を設置し、組織体制の強化も進めていきます。

おわりに

本市の教育の充実・発展のためには、『佐渡市教育大綱』の理念に基づき、学校、家庭、地域が連携し、課題を共有するとともに、『佐渡市教育振興基本計画』に掲げる施策を着実に実施していくことが重要です。

冒頭にも述べましたように、教育振興基本計画の施策実施につきましては、評価として掲げた平成31年度目標値の達成に向け、取り組んでまいります。そして、その達成状況を見極めながら、次期教育大綱並びに教育振興基本計画の策定を進めます。

本市の教育の充実・発展のための各取組に対する議員並びに市民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げまして、平成31年度の教育行政方針といたします。

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