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平成28年度:各会計決算及び各基金の運用状況審査意見書
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まとめ
佐渡市の平成28年度一般会計及び特別会計の歳入合計額は677億6,453万9千円、歳出合計は656億3,400万5千円となっており、歳入歳出差引収支(形式収支)は、21億3,053万4千円で、翌年度へ繰り越すべき財源を除いた実質収支は、16億1,701万円の黒字となっている。また、前年度の実質収支を差し引き、当年度の財政調整基金の積立金と取崩金を加味した実質単年度収支は、6億7,676万2千円の黒字となっている。
歳入は、前年度と比較すると44億2,170万7千円減少しており、その主な要因は、市債や地方交付税などの減である。歳入の約半分を占める地方交付税は、合併特例の激変緩和措置により平成31年度まで引き続き減少が見込まれる。また、自主財源における収入未済額は10億5,468万2千円であり、前年度と比較すると1,499万8千円減少しており、その主な要因は、不納欠損処分7,601万3千円を計上したことによるものである。
市税等の自主財源を確保していくため、収入未済額の回収については、各徴収担当課が早期に適正な対処をするとともに、新たな滞納の防止に向けた取り組みを強化されたい。また、不納欠損処分については、安易に執行することなく、厳正な調査と手続きにより適正に対処されたい。
歳出は、前年度と比較すると41億9,177万3千円減少しており、その主な要因は、両津学校給食センター建設事業や消防緊急無線デジタル整備事業などの完了に伴う普通建設事業費の減である。
市債の平成28年度末現在高は、592億8,676万7千円となっており、前年度末と比較すると18億4,191万3千円減少し、佐渡市財政計画で示す平成28年度末市債残高の612億1,600万円を下回っている。今後も、交付税算入率の高い起債に絞り計画的に借り入れることで市債残高と実質公債費比率の抑制を図られたい。
基金の平成28年度末現在高は、248億5,274万7千円となっており、前年度と比較すると3億2,406万4千円増加している。佐渡市財政計画では、地方交付税の合併特例期間終了に備えて、これまで積み立ててきた財政調整基金や減債基金等の残高について、標準財政規模の一定水準を確保するよう積み立てを行うとしており、佐渡市財政計画で示す213億7,100万円を大きく上回っている。
少子高齢化による人口減少が進み生産性の低下や税収の減少が懸念されるなか、財政規模は縮減傾向にあり地方交付税等の依存財源の減少に伴う歳出規模の縮小が避けられない状況にあることから、市民の理解と協力を得て更なる行政改革に取り組み、効果的、効率的な行政運営を望むものである。
また、平成29年3月に見直された「佐渡市将来ビジョン」に掲げる「持続可能な循環型社会の実現に向けた経済活性化戦略」を着実に進め、地域経済縮小による影響への緩和を図るとともに、市内で資金が循環する仕組みの早期構築に努められたい。
次に不適正な予算執行及び改善を求める事務処理について意見を述べる。
- 財産に関する調書の公有財産と物品について、財産台帳との整合性が取れていないもの、財産の取得報告漏れ等により調書に載らないものが多数見受けられた。財産の管理については、以前から決算審査で指摘し、前年度においては、原因の分析と適正な管理を早急に行うよう求めたが、取り組みの形跡が見えず、誠に遺憾である。
市民の大切な財産である公有財産の管理は、行政の責務であることを強く認識し、早急な対応を求める。 - 事務の執行において、財務規則に拠らない収入処理や事務処理の遅延による収入未済額の発生など、関係法令や処理方法の認識不足による不適正な事務処理が見られた。法令等に従った適正な行政事務が行われるよう、職員の資質向上と内部統制の充実を図られたい。
一般会計
一般会計の歳入は461億3,804万8千円、歳出は446億3,318万3千円で、歳入歳出差引額(形式収支)は15億486万5千円の黒字となっている。形式収支から翌年度へ繰り越すべき財源4億8,952万4千円を差し引いた実質収支は、10億1,534万1千円の黒字となっている。
歳入総額のうち主なものは、地方交付税、市債、市税、県支出金などである。特に地方交付税は222億8,648万円で歳入全体の48.3%を占めている。
市債発行額は52億1,650万9千円で、歳入全体における割合は11.3%、前年度と比較すると14億2,538万1千円の減となっている。これは合併特例債の発行額が22億5,720万円で、前年度より11億6,950万円減少したことが主な要因である。地方債現在高は、前年度より18億4,191万3千円減少し、592億8,676万7千円となっている。
市税の収入未済額は、6億1,997万5千円で前年度と比較すると1,597万円(2.5%)の減となっている。その内訳は、市民税8,551万1千円(個人市民税7,925万2千円、法人市民税625万9千円)、固定資産税5億1,847万7千円、軽自動車税1,495万3千円及び入湯税103万4千円となっている。
市税の収入未済額と徴収率の推移
個人市民税 | 法人市民税 | 固定資産税 | 軽自動車税 | 入湯税 | 未済額 | 徴収率(%) | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
平成24年度 | 112,200千円 | 9,057千円 | 560,309千円 | 15,944千円 | 1,245千円 | 698,755千円 | 88.1% |
平成25年度 | 112,305千円 | 8,559千円 | 556,871千円 | 15,449千円 | 0 | 693,184千円 | 87.8% |
平成26年度 | 88,511千円 | 7,680千円 | 563,922千円 | 14,012千円 | 0 | 674,125千円 | 88.2% |
平成27年度 | 85,749千円 | 9,334千円 | 526,312千円 | 13,379千円 | 1,171千円 | 635,945千円 | 88.2% |
平成28年度 | 79,252千円 | 6,295千円 | 518,477千円 | 14,953千円 | 1,034千円 | 619,975千円 | 88.6% |
市税を除くその他自主財源の収入未済額は7,813万3千円となっており、前年度と比較すると941万9千円(13.7%)の増となっている。
その他自主財源の収入未済額の主なものは、保育料が1,646万7千円(収納率90.5%)、住宅使用料等が3,529万2千円(収納率85.0%)であり、この合計額5,175万9千円は、市税を除くその他自主財源の収入未済額全体の66.2%を占めている。
その他自主財源の収入未済額及び収納率の推移
保育料 | 住宅使用料等 | その他 | 収入未済額 | 収納率(%) | |
---|---|---|---|---|---|
平成24年度 | 18,258千円 | 60,226千円 | 9,970千円 | 88,454千円 | 98.6% |
平成25年度 | 21,816千円 | 49,613千円 | 10,802千円 | 82,231千円 | 98.7% |
平成26年度 | 20,018千円 | 39,075千円 | 30,387千円 | 89,480千円 | 99.0% |
平成27年度 | 17,778千円 | 34,617千円 | 16,319千円 | 68,714千円 | 98.7% |
平成28年度 | 16,467千円 | 35,292千円 | 26,374千円 | 78,133千円 | 98.5% |
歳出については、支出済額は446億3,318万3千円で、前年度と比較すると30億6,046万2千円(6.4%)の減となり、予算執行率は91.6%となっている。これは、公債費の減少や、両津学校給食センター建設事業、消防救急無線デジタル化整備事業、相川小学校体育館改築事業などの完了による普通建設事業費の減、特別会計に対する繰出金等が減となったことが主な要因である。
構成比率で上位を占めているものは、民生費23.8%、公債費16.8%、総務費15.7%、土木費9.5%となっている。
特別会計
10特別会計の歳入総額は216億2,649万円、歳出総額は210億82万1千円で歳入歳出差引額(形式収支)は6億2,566万9千円の黒字決算である。そこから翌年度繰越財源を除き、前年度の実質収支を差し引いた単年度収支は1億5,781万円の赤字、実質的黒字要素である財政調整基金積立金と実質的赤字要素である基金繰入金などを加味した実質単年度収支は、1,268万9千円となっている。
なお、一般会計から特別会計への繰出金は39億7,534万5千円、特別会計から一般会計への繰出金は1億2,332万2千円となっている。
国民健康保険特別会計
前年度と比較すると歳入総額は、繰越金の増があったものの、国庫支出金及び共同事業交付金などの減により3億4,694万3千円(4.2%)の減となっている。歳出総額は、共同事業拠出金が増となったが、保険給付費、後期高齢者支援金等及び諸支出金などの減により、前年度と比較すると3億1,005万9千円(3.9%)の減となっている。
保険税の収入未済額は2億8,706万7千円で、前年度と比較すると865万1千円(2.9%)の減となっている。徴収率は81.3%で、前年度より0.9ポイント下降している。
国民健康保険税の収入未済額と徴収率の推移
収入未済額(千円) | 徴収率(%) | |
---|---|---|
平成24年度 | 319,047千円 | 79.9% |
平成25年度 | 316,898千円 | 80.4% |
平成26年度 | 302,813千円 | 81.5% |
平成27年度 | 295,718千円 | 82.2% |
平成28年度 | 287,067千円 | 81.3% |
後期高齢者医療特別会計
前年度と比較すると歳入総額は、一般会計繰入金の減があったものの、被保険者の所得の増加に伴い、保険料が1,886万9千円増加したため、960万1千円(1.4%)の増となっている。
歳出総額は広域連合納付金の増により、前年度と比較すると477万2千円(0.7%)の増となっている。
保険料の収入未済額は304万3千円で、前年度と比較すると22万2千円(7.9%)の増となっている。収納率は99.3%で、前年度と同率である。
後期高齢者医療保険料の収入未済額と収納率の推移
収入未済額(千円) | 収納率(%) | |
---|---|---|
平成24年度 | 4,624千円 | 98.9% |
平成25年度 | 4,628千円 | 98.8% |
平成26年度 | 3,515千円 | 99.2% |
平成27年度 | 2,821千円 | 99.3% |
平成28年度 | 3,043千円 | 99.3% |
介護保険特別会計
前年度と比較すると歳入総額は、国庫支出金及び県支出金は減となったものの、支払基金交付金や繰越金等の増により1億8,144万7千円(2.1%)の増となっている。歳出総額は総務費は減となっているものの、保険給付費、基金積立金及び諸支出金等の増により、前年度と比較すると3億1,221万5千円(3.8%)の増となっている。保険料の収入未済額は2,958万4千円で、前年度と比較すると63万8千円(2.2%)の増となっている。収納率は97.8%で、前年度より0.1ポイント下降している。
介護保険料の収入未済額と収納率の推移
収入未済額(千円) | 収納率(%) | |
---|---|---|
平成24年度 | 22,649千円 | 98.1% |
平成25年度 | 25,779千円 | 97.9% |
平成26年度 | 27,362千円 | 97.8% |
平成27年度 | 28,946千円 | 97.9% |
平成28年度 | 29,584千円 | 97.8% |
下水道特別会計
前年度と比較すると、歳入総額は2億8,869万7千円(8.6%)の減、歳出総額は2億4,141万6千円(7.4%)の減となっている。これは、下水道建設事業の繰越に伴い、国庫支出金、市債などの収入の減少や下水道建設事業費が減少したことが影響している。
分担金及び負担金、使用料及び手数料を合わせた収入未済額は3,409万5千円で、前年度と比較すると169万3千円の減となっている。収納率は94.7%で前年度から0.1ポイント上昇している。
下水道特別会計における分担金及び負担金、使用料及び手数料の収入未済額及び収納率の推移
収入未済額(千円) | 収納率(%) | |
---|---|---|
平成24年度 | 40,572千円 | 93.8% |
平成25年度 | 37,853千円 | 94.4% |
平成26年度 | 36,841千円 | 94.4% |
平成27年度 | 35,788千円 | 94.6% |
平成28年度 | 34,095千円 | 94.7% |
歌代の里特別会計
前年度と比較すると、歳入総額は、繰越金は減少したものの、サービス収入及び繰入金の増により1,341万8千円(3.0%)の増となっている。
歳出総額は一般管理費の庁用器具購入費の増により1,206万円(2.7%)の増となっている。
すこやか両津特別会計
前年度と比較すると、歳入総額は、一般会計からの繰入金が増となったものの、入所者数の減によりサービス収入及び繰越金が減少したため、801万1千円(1.4%)の減となっている。
歳出総額は、人件費及び一般会計繰出金の減により3,376万6千円(5.9%)の減となっている。
サービス収入のうち自己負担金収入の収入未済額は241万9千円で102万2千円(73.1%)の増となっている。収納率は97.0%で、前年度と比較すると1.3ポイント下降している。
収入未済額(千円) | 収納率(%) | |
---|---|---|
平成24年度 | 1,604千円 | 97.9% |
平成25年度 | 1,927千円 | 97.9% |
平成26年度 | 2,478千円 | 97.2% |
平成27年度 | 1,398千円 | 98.3% |
平成28年度 | 2,419千円 | 97.0% |