本文
平成28年度:定期監査結果
佐監公表第3号
平成29年4月5日
地方自治法第199条第4項の規定に基づき定期監査を実施したので、同条第9項の規定により、その結果を報告します。
佐渡市監査委員、渡部直樹
佐渡市監査委員、猪股文彦
監査の期間
平成28年9月1日から平成29年4月5日まで
監査委員の氏名
- 渡部 直樹
- 猪股 文彦
監査の対象部署
地域振興課、相川支所、佐和田行政サービスセンター、学校教育課、消防本部、農業委員会事務局、総務課、両津病院、相川病院、財務課、世界遺産推進課、選挙管理委員会事務局
監査の項目
市の財務に関する事務全般の執行が、適正かつ効率的に行われているかどうかを主眼とし、対象部署ごとに監査項目を抽出した。
監査の方法
対象部署に監査資料の提出を求め、提出された資料により平成27年度及び28年度事業に関する事務が関係法令に基づき適正に執行されているか、また、効率的かつ効果的に執行されているかの審査を行うとともに、関係職員等から説明を聴取した。
監査の結果
是正を求める指摘事項については、次のとおりである。なお、軽微な事項については、口頭により関係課に改善を要望した。
指摘事項及び監査委員の意見
地域振興課
交流居住・定住促進対策事業
- 各種モニターツアーの企画運営委託契約において、禁止事項となっている再委託を行った事例があった。
- 定住体験住宅貸付事業において、実施要綱に基づいた賃貸借契約を締結していない事例があった。
- 若者定住家賃補助事業において、補助金交付要綱に規定する補助対象要件を証明する客観的な資料が添付されていない事例があった。
監査委員の意見
交流居住・定住促進対策事業は、各種モニターツアーや定住体験に係る住宅貸付・家賃補助等、交流や移住・定住を促進するために、実施要綱及び補助金交付要綱を定め多様な取組を実施しているが、関連法令の認識不足により業務管理が徹底されてない事例や要綱が実態にそぐわない事例が見受けられた。実態把握を早急に行い、必要に応じて実施要綱及び補助金交付要綱を見直すとともに、業務実施に当たっては関係機関との連携・協議を十分に行い、適正に履行されたい。
また、類似したモニターツアーを同日に開催していた事例があったが、参加者が分散し、十分な効果が得られない恐れがあるため、今後の企画においては開催日程についても考慮されたい。
相川支所・佐和田行政サービスセンター
元気な地域づくり支援事業
相川支所
- 市有財産に係る使用貸借契約により市が民間企業へ貸し付けている物件の修繕に必要な材料の購入費用を、契約内容に反し負担していた。
- 事業目的が明確でないまま、不特定多数の者に飲料を提供する経費を補助対象経費としていた。
佐和田行政サービスセンター
- 補助金交付決定日以後に支出した経費を補助対象経費とすべきところ、交付決定日前に支出した経費を含めて補助対象経費としている事例があった。
- 補助金交付申請の収支予算書に収益事業が含まれていたが、補助対象経費の算定に当たり当該収益事業に係る経費の確認を行わず、補助金額を確定している事例があった。
財産管理に関する事項
物品台帳の所管替え手続や記録誤りなど台帳整備の不備が見られ、決算書の財産に関する調書と一致しない事例があった。また、物品台帳に掲載されている物品の所在が把握されていない事例があった。
職員服務に関する事項
出勤簿、年次休暇簿、週休日の振替簿などの帳簿に押印漏れや記載誤りが多数見受けられた。
監査委員の意見
元気な地域づくり支援事業は、地域づくり活動の支援を目的とした補助金交付事業と、地域の緊急要望に対して支所・行政サービスセンターが行う修繕等の事業があり、実施要綱及び補助金交付要綱等で基準及び条件等を定めているにもかかわらず、不適正な支出又は補助金交付が散見されたことは適正な事務執行に欠ける。
相川支所における材料の購入費用を負担した事例は、市有財産に係る使用貸借契約において市は維持補修の責めは負わないとされていることを承知しながら、産業振興課が相川支所に対して負担を依頼したものである。これは市に損害を与える行為であり、厳重に注意する。
補助金交付については、申請者に対し要綱に基づき事業の趣旨及び補助対象経費について十分に説明し、提出された申請書類等については厳正な審査を行うことにより、適正な補助金交付事務に努められたい。
財産管理に関する事項については、これまでの決算審査や定期監査において再三の指摘にもかかわらず、誤りが見られたことは遺憾である。所管財産等について、定期的に現状確認と台帳の照合を行い、財産の有効活用と適正管理に努められたい。
職員服務に関する事項については、管理指導を徹底されたい。
学校教育課
教職員住宅維持管理事業
- 教職員住宅条例及びコーポハウス条例に資格要件及び使用期間等が規定されておらず、基準が曖昧なまま入居を許可し使用させていた。また、住宅使用料徴収額を条例の規定と異なる算定方法により計算していた。
- 使用料徴収額の調整のため、入居実態と異なる日付で入居許可証を発行していた。また、既に申請し入居している実態を知りながら、入居許可の事務処理を怠っている事例があった。
- 浄化槽維持管理費の入居者負担金について、管理業者との当初契約額を減額しているにもかかわらず、入居者負担金については減額前の金額で徴収し、還付の手続を怠っていた。
児童・生徒による施設等破損の対応に関する事項
- 事故等による施設等の破損に係る修繕費の当事者負担について、負担基準の定めがなく、各学校での取扱いが異なっていた。
- 学校は、上記1.の事故等の状況や対応について、教育委員会への報告を行っていなかった。
佐渡市立学校の児童及び生徒の文化及び体育活動費補助金
市が補助申請者である市立学校へ補助金を交付し、学校が児童及び生徒へ補助金を支給する手続となっているが、学校側の補助申請の提出及び児童等への支給が遅れている事例があった。
監査委員の意見
教職員住宅条例及びコーポハウス条例が実態にそぐわないとして、規定にない日割りでの使用料の計算を行っている事例等が見られたことは、適正な事務執行に欠ける。条例が実態にそぐわない場合には、先ず条例改正を行うべきであり、担当課における弾力的な運営は避けるべきである。
浄化槽維持管理費の入居者負担については、還付の手続を怠ったことは、適正な事務執行に欠けることから、適切に処理されたい。
事故等による施設破損等の当事者負担については、負担基準を明確にするとともに実態把握に努められたい。また、学校は、事故等について速やかに教育委員会に報告されたい。
文化及び体育活動費補助金については、補助金交付要綱に申請時期の明確な定めがなく、補助金の申請から児童等への支給が速やかになされていない状況が見受けられることから、要綱の見直しを行う等して、児童等に補助金が速やかに支給されるよう整備されたい。
また、給食費の未収については、未納者から納付計画の提出を求める等学校と連携して取り組んではいるが、早期解消に努めるとともに、新たな未収が生じないよう防止に向けた取組を更に強化されたい。
消防本部
被服貸与に関する事項
- 職員貸与品の記録簿への記載誤りや記録漏れが多数見られた。また、職員支給品について、市町村合併前の支給品を引継いでいるにもかかわらず、記録簿に記載されてない事例があった。
- 消防団員の被服貸与について、記録簿の記載誤りや記録漏れが多数見られた。また、消防団員被服貸与規程には、貸与品目を「活動服一式」として規定されており詳細品目が明らかにされていなかった。
- 消防団員の被服・装備品数量調査における配備数と実数が一致していない事例があった。
監査委員の意見
被服等の支給品及び貸与品は、個々の状況等について把握し、正確に記録し管理する必要がある。記録方法等の見直しを行い、必要であれば被服等に関する規則及び規程を改正し適正に管理されたい。
総務課
職員の登退庁記録及び時間外勤務に関する事項
登退庁システムにより本庁職員の出退勤管理を行っているが、未打刻や時間外勤務の終了時刻と退勤時刻が異なる事例が多数見受けられた。
自主防災訓練奨励金
佐渡市自主防災訓練奨励金交付要綱に規定する奨励金の対象は「1組織につき年1回1訓練」だが、同一組織内の複数の地区に交付している事例や、一部地区のみに交付している事例があった。
監査委員の意見
出退勤の管理については、過去において時間外勤務手当の不正受給事件があったにもかかわらず、各課における徹底した管理がされていない。当該不正受給事件の発生により佐渡市職員不祥事再発防止対策検証会議から提言を受け策定した、具体的な再発防止対策を遵守するよう各課に指導し、定期的に確認されたい。
奨励金は、訓練活動を実施した組織に対し交付するものであるが、地区単位の訓練活動に対する交付については、明確に規定されていない。実態を詳細に把握した上で、必要に応じ要綱の見直しをされたい。
世界遺産推進課
史跡保存活用委託業務
高任粗砕場地盤調査・解析業務委託について、契約により定められている工程表及び主任者の届出書の提出がないまま業務管理が行われていた。
宿根木伝統的建造物群保存地区補助金
- 補助金交付要綱に規定がないにもかかわらず、補助金交付額を万円未満切捨てとしていた。
- 外観保存のための屋根、壁、建具等の修理に要する費用を補助対象経費としているが、補助金申請額に対象外経費が含まれているにもかかわらず補助金の交付を決定している事例があった。
- 補助金実績報告書に添付すべき収支精算書の根拠資料である領収書が未添付であるにもかかわらず、補助金額を確定し交付している事例があった。
監査委員の意見
委託業務の管理においては、契約に基づき受託者へ関係書類の提出を求め、適正な管理に努められたい。
宿根木伝統的建造物群保存地区補助金については、補助金交付額を万円未満切捨てとする根拠がないことから、要綱に基づいた適正な金額を交付すべきである。また、補助金交付申請書及び実績報告書の審査が適切に行われなかったことは、適正な事務執行に欠ける。申請者に対しては要綱に基づき申請手続及び補助対象経費について十分に説明し、提出された申請書類等について厳正な審査を行うことにより、適正な補助金交付事務に努められたい。
選挙管理委員会事務局
選挙にかかる予算執行
公営ポスター掲示板設置撤去業務委託について、委託契約書の仕様書に提出書類として明らかにされている工事着手届、工事完了届及び撤去完了写真の提出がない事例が多数見受けられた。
監査委員の意見
委託契約業務の進捗管理や履行確認に必要な書類の提出がないまま完了検査を行っており、適正な事務執行に欠ける。委託業務の執行においては、市財務規則に基づき業務の履行状況を確認できる書類を受託者に提出させた上で、適正な検査を行われたい。
平成28年度定期監査日程表
平成28年10月
地域振興課
- 交流居住・定住促進対策事業
相川支所、佐和田行政サービスセンター
- 元気な地域づくり支援事業
- 現金取扱及び財産管理
- 職員服務
平成28年11月
学校教育課
- 教職員住宅維持管理事業
- 学校給食費徴収
- 児童・生徒による施設等破損の対応
- 佐渡市立学校の児童及び生徒の文化及び体育活動費補助金
消防本部
- 消火栓等止水弁点検
- 消防団員装備配備事業
- 職員の被服貸与
農業委員会事務局
- 遊休農地調査
- 農地相談用務
- 農業委員の研修旅行
平成29年1月
総務課
- 職員の登退庁記録及び時間外勤務
- 支所長・行政サービスセンター長会議
- 総務事務センター
- 自主防災組織
- 防災備蓄品
- 年末調整後の再調整
両津病院、相川病院
- 院内危機管理
平成29年2月
財務課
- 新庁舎建設整備工事
- 支所・行政サービスセンター庁舎整備
- 公用車の事故
- 入札状況
世界遺産推進課
- 佐渡金銀山誘導サイン製作・設置業務
- 世界遺産登録のための推薦書作成業務
- 佐渡金銀山ガイダンス施設整備事業
- 史跡保存活用委託業務
- 宿根木地区の景観保存に係る工事及び補助金
選挙管理委員会事務局
- 平成28年度に執行された選挙(佐渡市長選挙、佐渡市議会議員一般選挙、新潟県知事選挙及び参議院議員通常選挙)の予算執行