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平成30年度:行政監査結果(不祥事再発防止対策の対応と職員の勤務時間等に関する対応について)

記事ID:0001659 更新日:2022年6月6日更新 印刷ページ表示

本ページの目次


佐監公表第4号

地方自治法第199条第2項の規定に基づき行政監査を実施したので、同条第9項の規定により、その結果を公表します。

平成31年3月25日

佐渡市監査委員、渡部直樹
佐渡市監査委員、岩崎隆寿

(「崎」は、正式には「たつさき」です。)

監査の種類

地方自治法第199条第2項の規定による行政監査

監査の対象

  1. 不祥事再発防止対策の対応について
  2. 職員の勤務時間等に関する対応について
    1. 時間外勤務の運用について
    2. 週休日の振替等及び休日の代休指定について
    3. 年次有給休暇の取得について

なお、上記「1」及び「2」については、一般職員のみを対象とした。

監査の期間

平成30年5月10日から平成31年3月25日まで

監査の目的

佐渡市は、第3次佐渡市集中改革プランにおいて、職員の総労働時間の短縮や健康保持・増進、次世代育成支援、経費削減などの観点から、時間外勤務の縮減に取り組んでいる。また、一方で、佐渡市職員不祥事再発防止対策として、服務規律の徹底や管理職による時間外勤務の詳細を把握し事務配分を見直し、事務の平準化に取組み、再発防止や不正防止の施策を職員一丸となり推進するとしている。しかし、その後も度重なる職員の不祥事、事務処理の重大な誤りが続いている状況である。

このようなことから、不祥事防止対策の対応により内部統制の充実及びガバナンスの強化が図られ、不祥事が発生しない職場環境に改善されているか、また、職員が働きやすい職場環境の整備並びに総労働時間短縮に向けた事務の見直しがなされているかを目的に、監査を実施した。

監査の方法

不祥事再発防止対策の対応については、総務課に対してその取り組み状況について、ヒアリングを実施した。

時間外勤務時間の運用については、総務課にデータの提出を求めて集計及び分析したうえで、年360時間を超える長時間勤務職員が所属する課に対して書面による調査を行い、必要に応じてヒアリングを実施した。

週休日等の未取得及び年次有給休暇の取得日数は、全課にデータの提出を求めて集計及び分析したうえで、勤務時間管理者に対してアンケート方式により調査を行い、提出された結果を集約し、さらに書面調査及びヒアリングを実施した。

監査の結果

不祥事再発防止対策の対応について

不祥事再発防止対策の対応に対する指摘事項

  1. 不祥事再発防止対策等推進本部は、平成29年度から副市長、部長級職員で構成するガバナンス委員会に変更となったが、当該委員会の会議は平成29年10月を最後に行われていなかった。
  2. 事務の主任・副任体制の取り組みの徹底については、工事等について、担当者が設計から現場管理まで一連に行わないと非効率的であることから、事務の分割等が困難であるとの意見や、業務経験の長い職員の中には、副任に教えるより自分で業務を行った方が効率的との考え、業務の分担ができない者や、自らの主任業務が多く副任業務まで手が回らない等の理由により、主任・副任体制自体の取り組みを行っていない事務がある状況であり、全ての事務においてその取り組みを行うことができない現状であった。
  3. 管理職による時間外勤務の実態の把握及び事務配分の見直しについては、時間外勤務を命令する職員が実態を把握しているものの、主任・副任体制による事務体制が構築できず業務が一人の担当者に偏ったり、担当者任せによる不適切な事務処理が発生したり、人員不足による時間外勤務が続いたことにより体調が悪化し休職者が発生するなど、悪循環が発生している状況であり、事務配分の見直し等に取り組めない状況の部署もあった。
  4. 職員の長期在籍の解消のために、5年以上の長期在籍者について人事異動を行ってきた結果、業務に必要な有資格者や業務経験者の不足により、時間外勤務が増加した課が見られた。

不祥事再発防止対策の対応に対する意見

再発防止計画は、市政の実情に即していないものや、理想的な取り組みであり、実施することが困難なものも見受けられることから、形骸化している状況である。

ガバナンス委員会において、実態に即した再発防止計画の見直しを進め、不祥事再発防止の組織風土の構築を図られたい。

時間外勤務の運用等について

時間外勤務の状況

時間外勤務の状況及び時間数別職員の内訳は、次表のとおりである。

  平成28年度 平成29年度 前年対比
支給対象職員数(人) 1,146人 1,106人 △40人
年間合計時間数(時間) 64,897時間 79,752時間 14,855時間
1人平均年間時間数(時間) 56.6時間 72.1時間 15.5時間
時間数別職員数(人) 0〜180時間 1,064人 984人 △80人
181〜360時間 65人 96人 31人
長時間 361〜420時間 11人 15人 4人
421〜480時間 2人 4人 2人
481〜540時間 2人 4人 2人
541時間以上 2人 3人 1人
17人 26人 9人
  • 支給対象職員数は、管理職手当支給職員数を除く。
  • 年間合計時間数は、選挙関連及び週休日の振替等による時間数を除く。

時間外勤務の運用等に対する指摘事項

  1. 長時間勤務職員は、平成28年度7課17人から29年度10課26人へ増加している。その主な要因は、豪雨災害の復旧事業の発生、長期在籍者の人事異動による業務処理能力の低下、工事等を行う技師等の専門職に業務が集中したことによるものであり、事務の平準化の取り組みの成果が見られない。
  2. 管理職員の中には、勤務時間内に完了できない業務を時間外に行うことについて、職員個人の資質によるものと捉え、時間外勤務手当を支給しない方針の者や、実際に退勤した時間から換算すると、時間外勤務手当の支給時間数が大幅に少ない職員が存在しているにもかかわらず、看過している者もいた。
  3. 平成29年度の時間外勤務手当において、支給対象外職員である管理職に対して支給した事例があった。
    なお、その原因は、当該管理職が時間外手当システムの入力の際、時間外勤務者の選択を誤ったことによるものであり、さらに月末に行う時間外勤務命令簿とシステムデータの突合を当該管理職が怠ったこと、総務課の確認でも見落されたことにより、誤支給を防ぐことができなかった。

時間外勤務の運用等に対する意見

  1. 災害対応による時間外勤務の増加は、突発的なことから必要なものと考える。しかし、人事異動後や専門職に集中する時間外勤務は、毎年度繰り返される事象であることから、的確な人事配置並びにさらなる事務の平準化に取り組まれたい。
  2. 職員が時間外勤務命令を受けず時間外に勤務することは、服務規程に反することとなる。また、勤務時間管理者は、職員の出退勤時間を注視し、時間外勤務の管理を適切に行うとともに、時間外勤務をしなければならない場合には、その状況を十分把握したうえで、時間外勤務命令を行うよう徹底されたい。なお、時間外勤務が偏った場合には、一時的に他の職員に業務を分散すること等により、事務の平準化に努められたい。
  3. 事務処理手順に沿った執行を管理監督すべき管理職による不適正な時間外勤務手当の支給が発生したことは、誠に遺憾である。速やかに誤支給額を返還させるとともに、支給不足となっている職員に対して手当を追給されたい。

週休日の振替等及び休日の代休指定について

週休日の振替等について

週休日の振替等の未取得状況

週休日の振替等が規則のとおり取得されていない状況は、次表のとおりである。

年度
(平成)
全職員数 取得されていない日数等
職員数 日数及び時間数
28 1,197人 261人 850日と2,277時間
29 1,168人 269人 895日と2,824時間
  • 全職員数は各年度4月1日現在の職員数である。
週休日の振替等に対する指摘事項

週休日の振替等が規則の期間内に取得されていない理由として、土日開催の事業の準備や平日の会議等により取得することが困難であることや、休暇を取得すると業務が溜まるため取得できない状況であることが挙げられ、管理職は取得を勧めるだけで、振替休日を取得できるような職場環境の改善に取り組めていない状況であった。

また、管理職は、勤務時間条例等により週休日の勤務命令時に振替日を定めるべきところこれを行わず、また、規則のとおり振替日が取得できない場合は、時間外勤務手当を支給すべきであったが、その対応が取られていないものが見受けられた。

休日の代休指定について

休日の代休指定の未取得状況

休日の代休指定が規則のとおり取得されていない状況は、次表のとおりである。

年度
(平成)
全職員数 取得されていない日数等
職員数 日数及び時間数
28 1,197人 71人 101日
29 1,168人 59人 84日
  • 全職員数は各年度4月1日現在の職員数である。
休日の代休指定に対する指摘事項

休日の代休指定が規則のとおり運用されていない理由は、週休日の振替等と同様であった。

また、管理職は、勤務時間条例等により休日に勤務を行わせる職員に、あらかじめ代休指定か休日勤務手当の支給のいずれかを選択させて、代休指定を希望した職員には、勤務命令時に代休日を指定することとなっていたが、行っていないものが見受けられた。

週休日の振替等及び休日の代休指定に対する意見

週休日の振替や休日の代休指定については、職員の健康保持と時間外勤務手当等人件費の縮減を図るため、週休日及び代休日を取得することを原則に運用されてきた。

しかしながら、週休日及び代休日を取得することができない場合には、時間外勤務手当等を支給する条例となっているにもかかわらず、当該手当等を支払わないで週休日及び代休日を振替期間外で取得を認め、長年にわたりこのようなことが行われてきたことは、誠に遺憾である。

規則に定める期間内に週休日及び代休日を取得できない場合には、賃金の未払いとなることから、条例に沿った事務処理を速やかに行うとともに、再発防止に向けた改善策を早急に講ずるべきである。

年次有給休暇の取得状況について

一般職員の年次有給休暇の取得状況

年度
(平成)
職員数 職員1人当たり平均
繰越日数 付与日数 総付与日数 取得日数 取得率
28 1,102人 19日 20日 39日 10.5日 26.6%
29 1,083人 19日 20日 39日 10.7日 27.1%
  • 対象職員は、各年の全ての期間在職した職員から育児休業、休職、組合専従及び 派遣職員を除いた職員を対象とした。
  • 年次有給休暇の繰越日数の平均値は、小数点以下を四捨五入し表示した。
  • 年次有給休暇は、1時間単位で取得可能のため取得日数は、小数点第1位まで表示した。

臨時職員の年次有給休暇の取得状況

年度
(平成)
職員数 職員1人当たり平均
繰越日数 付与日数 総付与日数 取得日数 取得率
28 470人 7日 15日 22日 12.7日 57.6%
29 469人 7日 15日 22日 12.6日 57.4%
  • 対象職員は、所定の勤務時間が1日7時間30分で、かつ、各年度の全ての期間在職した職員を対象とした。
  • 年次有給休暇の繰越日数の平均値は、小数点以下を四捨五入し表示した。
  • 年次有給休暇は、1時間単位で取得可能のため取得日数は、小数点第1位まで表示した。

年次有給休暇の取得状況に対する指摘事項

臨時職員の年次有給休暇の繰越日数について、国家公務員と同等に規定された地方公務員法の20日を超えた日数を付与し取得させていた事例が見受けられた。

年次有給休暇の取得状況に対する意見

働き方改革の一環として、年次有給休暇の取得を促進させていくことが必要とされ佐渡市においても特定事業主行動計画により数値目標が掲げられているが、週休日及び代休日が取得されていない実態が明らかになったことにより、同計画の年次有給休暇は、数値目標を達成するための運用となっていると思われても仕方のない状況である。

週休日及び代休日の取得を優先的に行い、さらに有給休暇を取得しやすい職場環境の整備を図り、数値目標を達成できるような職場環境づくりに努め、真の働き方改革に向けた取り組みを佐渡市全体で図られたい。

臨時職員への年次有給休暇の繰越の取扱いについては、速やかに見直しを行うことを求める。

むすび

今回の行政監査は、監査結果のとおり厳しい結果となった。

不祥事再発防止対策の対応については、再発防止計画の実施が先送りされているのが現状であり、今後どのように対処していくのか、ガバナンス委員会の役割が重要となることから、活発な委員会運営に努めてもらいたい。

職員の勤務時間等に関する対応については、政府が平成28年に働き方改革の取り組みを提唱し、長時間労働が健康の確保だけでなく、仕事と家庭生活との両立を困難にし、少子化の原因や、女性のキャリア形成を阻む原因、男性の家庭参加を阻む原因であるとし、長時間労働を是正すれば、ワークライフバランスが改善し、単位時間当たりの労働生産性向上につながることとなると、その意義を示している。

佐渡市は厳しい財政状況のもと、平成22年度から31年度の佐渡市財政計画を平成21年12月に作成し、具体的な取組として「人件費は、職員定員の適正化と職員給与等の見直しを行うことにより、人員削減と人件費の抑制を図る」とし「見直しに当たっては、予算から見た適正な総額を考慮しながら削減を進める」としているが、今回の行政監査の結果により、財政計画ありきの人件費の削減を行っていることで、働き方改革と逆行する長時間労働や有給休暇どころか週休日の振替や休日の代休指定も満足に取得できない職場環境に陥っていることが明らかとなった。

そして、予算の縮減と職員数の減少が比例していないことが、職員の業務量が増加する主な要因であり、その結果として、体調を崩す職員や事務執行の誤りが増加し、さらに職場環境に不満を持つ職員が増加することにより、不祥事発生へとなりかねない状況を招いていると思慮する。

トライアスロンなど市を挙げたイベントは、職員が従事することで運営が成り立っており、職員は、イベントに従事することにより、担当業務が滞る等の負担になり、その結果として、命令を受けない時間外勤務を行ったり、規定のとおりに週休日の振替等を行えなかったりする状況である。

市民ニーズの多様化と少子高齢化により行政への期待が増加する中、職員一人ひとりが、公務員としての役割及び責務を常に認識し、業務のやりがいとモチベーションが保持できる組織風土と職場環境となるよう改善を期待するものである。