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平成30年度:定期監査結果
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佐監公表第5号
地方自治法第199条第4項の規定に基づき定期監査を実施したので、同条第9項の規定により、その結果を公表します。
平成31年3月25日
佐渡市監査委員、渡部直樹
佐渡市監査委員、岩崎隆寿
(「崎」は、正式には「たつさき」です。)
監査の対象
総務部税務課
産業観光部地域振興課
監査の範囲
- 市民税、固定資産税及び軽自動車税に関する事務のうち次のもの
- 平成29年度及び30年度課税免除及び減免に関する事務
- 平成28年度及び29年度不納欠損処分に関する事務
- 平成29年度及び30年度 「佐渡市企業設置奨励条例」第6条に規定する固定資産税の課税免除に関する事務
監査の期間
平成30年10月10日から平成31年3月25日まで
監査の目的及び方法
市の歳入に関する事務の執行が、適正かつ効率的に行われているか、対象部署に資料の提出を求め、必要に応じ関係職員から説明を聴取した。
税務課の所掌事務及び係ごとの職員数の推移
所掌事務
市民税係
- 市民税の賦課に関すること。
- 個人県民税の賦課に関すること。
- 軽自動車税に関すること。
- 市たばこ税に関すること。
- 入湯税に関すること。
- 鉱産税の賦課に関すること。
- 各種証明に関すること。
固定資産税係
- 固定資産税の賦課に関すること。
- 特別土地保有税の賦課に関すること。
- 国有資産等所在市町村交付金に関すること。
- 地籍図及び地籍簿の管理、閲覧及び写しの交付に関すること。
- その他固定資産税に関すること。
収納係
- 市税及び保険料の収納に関すること。
- 市税及び保険料の滞納処分に関すること。
- 市税及び保険料の減免及び欠損処分に関すること。
- 納税証明に関すること。
- 口座振替に関すること。
- その他市税及び保険料の徴収に関すること。
※収納係の「1」「2」「3」「6」に記載されている「及び保険料」は、平成30年度から追加した事務。
職員数の推移
年度(平成) | 26平成 | 27平成 | 28平成 | 29平成 | 30平成 |
---|---|---|---|---|---|
市民税係 | 5名 | 5名 | 5名 | 5名 | 5名 |
固定資産税係 | 6名 | 5名 | 5名 | 5名 | 5名 |
収納係 | 7名 | 6名 | 6名 | 6名 | 7名 |
計 | 18名 | 16名 | 16名 | 16名 | 17名 |
※平成30年4月1日現在の全職員数は、課長、課長補佐及び臨時職員2名を含めた21名である。
監査の結果
是正を求める事項は、次のとおりである。
なお、「佐渡市企業設置奨励条例」第6条に規定する固定資産税の課税免除に関する事務については、おおむね適正に執行されていると認められた。
- 法人市民税、固定資産税及び身体障害者の軽自動車税の減免申請事務において、減免を受けようとする事由を証明する書類の添付がされていないにもかかわらず、2年目以降であることを理由に減免を認めていた。
また、減免申請書に添付すべき証明書が不足しているにもかかわらず、申請者に対して提出を求めず、職権により確認することで減免を認めていた。 - 佐渡市税条例第71条第1項第2号に規定する「公益のために直接専用する固定資産(有料で使用するものを除く)」の減免において、旧市町村で合併前から行っていたとした事由や市の政策の方針に合致するとした事由により公益の定義を拡大解釈し、減免を認めていた。
また、佐渡市固定資産税減免取扱要領において、同号の「特に必要があると認めた公益のために直接専用する固定資産」については、免除割合をその都度別途決裁の上決定するとされていたが、申請者毎に免除割合の算定をせず、一律に全額免除していた。 - 固定資産税の未申告者に対して、地方税法に規定する調査により課税対象を把握できるにもかかわらず、過去5年以上行っていなかった。
- 不納欠損処分に関する事務において、相続人や換価できる資産を有する滞納者に対して、調査が十分に行われず、時効による不納欠損処分を行っていた。
監査委員の意見
佐渡市は厳しい財政状況のもと、平成22年度から平成31年度の佐渡市財政計画を平成21年12月に作成し、具体的な取組として「自主財源の確保や負担の公平の観点から、市税等の収納体制の充実強化を図り、徴収率100%を目指します。」とし、また、平成29年3月に変更した佐渡市将来ビジョンの行政改革の具体的方策でも自主財源の確保として「市税等の滞納解消や収納率の向上を図るために、新たな収納方法の検討を行い、導入を目指す。」と明示している。
本件定期監査は、自主財源の根幹となる市税の執行について、収納体制の充実強化のみならず、適正公平な減免処分と不納欠損処分の決定がなされているかを観点に、事務執行について監査を行った。
その結果、市税の減免の適用は、条例及び固定資産税減免取扱要領等に沿った事務執行を行っていたとは言い難い結果であり、さらに、賦課課税方式である固定資産税の調査が、過去5年以上行われていないことが明らかになったことは、誠に遺憾である。これは、条例等において規定されているにもかかわらず、合併前の各市町村の取扱いをそのまま認めたものや、前例踏襲により問題意識が欠如した事務執行によるものと判断するが、この問題は、税務課のみならず市役所全体の問題であると考える。
収納体制の充実強化については、滞納者の実情を早期に調査し、差押処分等による滞納の抑止に努めてきたことは評価できる。引き続き、研修等により収納職員のスキル向上を図るとともに、収納処分に係る費用対効果が低い債権の対応については、不納欠損処分の判断基準を明確にしたうえで、事務の効率化が図れるか検討されたい。ただし、悪質な滞納者に対しては、厳正な対応を望むものである。
税務課の人員配置についてであるが、佐渡市は自主財源の確保や負担の公平を目標に掲げているものの、市税の事務を執行する職員数が合併後から適正な人員配置であったか疑問である。その理由として、上記の監査結果により明らかであること、さらに、税務課に対して行ったヒアリングにおいて当職が感じたからである。
したがって、税務課に対して適正な人員配置並びに予算配分を行うことにより職員の人材育成に努め、適正公平な賦課及び収納事務の執行と、自主財源の確保に努められたい。