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令和5年度:教育行政方針

4 質の高い教育をみんなに
記事ID:0035153 更新日:2023年2月28日更新 印刷ページ表示

本ページの目次

はじめに

令和5年第1回(2月)佐渡市議会定例会の開会に当たり、佐渡市教育委員会所管にかかる教育行政方針について申し述べさせていただきます。

関係各位並びに皆様のご理解とご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

佐渡市の教育施策につきましては、令和2年9月に「佐渡市教育大綱及び佐渡市教育振興基本計画」を策定し、様々な教育上の課題に対応してきました。

全国的に少子高齢化が進む中でも、佐渡市の少子化傾向は顕著であり、子ども同士による人間性を鍛える機会や学びの機会が少なくなってきました。今求められる学びの姿としては、探究的な学習や体験活動等を通じ、他者と異なる考え方を尊重する協働的な学びが重要です。このことから、小・中学生の豊かな人間性や社会性を育成する大事な時期に集団での学習等にしっかりと取り組めるよう、教育環境の充実を図るため、佐渡市小学校・中学校再編統合計画による再編統合をしっかりと進めるとともに、学校と地域が相互に連携・協働し、社会が一体となって教育の実現を図る必要があります。

学力の面では、子どもが学ぶことの意義に気づき、意欲をもって学ぶことが大切で、学校や家庭における取組を支援し推進してきたところです。学習意欲の更なる向上のためには、デジタル技術を活用したGIGAスクール構想を一層推進し、併せて大学や各種教育機関との連携を進めていく必要があります。また、急速に変化し、予測困難な社会において、子どもたちが課題解決型学習などを通して、自立的に生き、資質や能力を伸ばしていけるよう取り組んでいきます。

安全・安心な学びの環境づくりへの取組においては、全国的に不登校が増加している中、佐渡市では令和4年度からタブレット端末を活用した「心の健康チェック」を開始し、適切な相談業務と連携させて有効な指導を行っています。今後とも一人一人の心の居場所づくりを支援し、寄り添った指導に生かせるよう取り組んでいきます。

長引く新型コロナウイルスの影響により、多くの学びの機会が失われてきましたが、そのような状況でも、佐渡の小・中学生をはじめ多くの方々の活躍が続いています。スポーツでは、優勝した離島甲子園の野球をはじめ、バレーボール、陸上競技、柔道、空手など、文化活動ではリコーダー、将棋など、全国の大舞台での活躍は目覚ましいものがあり、大変嬉しく思っています。教育委員会としても引き続き人材育成と環境整備に取り組み、支援を行っていきます。また、これまでの経験を踏まえた新しい感染対策により、あらためて、学び続ける環境を整えるため、市民の学習の場の整備に取り組んでいきます。

それでは、令和5年度の教育行政施策につきまして、佐渡市教育振興基本計画の6つの柱を中心にその概要をご説明いたします。

基本目標1 学ぶ意欲を高め確かな学力等を育成する教育の推進

学力の育成については、令和5年度も指導主事が各学校を訪問し、「主体的・対話的で深い学び」の視点に立った授業研修を実施するとともに、学校評価を始めとする学校運営全般の支援と学力向上や生徒指導上の諸問題等の解決に向けた支援を年間通して行います。更に、校務支援システムの本稼働により、教員の校務における業務負担の軽減を図り、児童・生徒と向き合い接する時間を十分に確保し、きめ細やかな指導につなげていきます。学校の端末活用には、電話対応やネットワークトラブル対応、教職員ICT研修などのサポート体制を整備します。

また、小学生の学力向上の支援としては、タブレット端末へのAIドリルの導入により、一人一人の習熟度に応じた問題に段階的に取り組み、個別最適化された学習を進めていきます。加えて、低学年の児童から操作が容易な授業支援ソフトを導入し、タブレット端末を活用した協働的な学びを活性化させます。中学生への支援としては、大学生とオンラインでつながる放課後学習支援を行うことや地域の方々に講師をお願いし、学校以外で学習できる機会として「土曜学習」を拡充していきます。また、特別支援教育についても、関係機関と連携しながら、一人一人の教育的ニーズを把握し、適切かつ必要な就学・指導の支援体制の整備に努めます。

心身をはぐくむ教育としては、令和4年度の体力テストの結果が、佐渡市の児童・生徒は総合的には新潟県の平均以上でしたが、柔軟性などやや弱い部分がありました。各学校の課題を明らかにしたうえで「1学校1取組」を実施します。また、スポーツ活動を通じて子どもたちが安全・安心に活動できるようにジュニアスポーツクラブの育成に取り組むとともに各種教室・講座を開設し、スポーツに親しむきっかけづくりを行います。更には、子どもたちが読書活動により、知識や情報を得ながら豊かな情操や想像力、思考力などを育めるよう図書の充実を図るとともに、読み聞かせやブックスタート等の事業に取り組みます。

道徳教育においては、道徳授業に関する研修会を通して、「考え、議論する道徳」の実現を図り、いじめ見逃しゼロを目指します。また、佐渡人権展への参加による人権意識の育成や平和について考える学校への出前教室を計画し、平和教育にも取り組みます。

基本目標2 郷土愛を軸にしたキャリア教育の推進

佐渡市では、キャリア教育を通して、「明日の佐渡を創る人、世界と共に生きる人」を目指した人づくりを行っています。その実現のため、佐渡の自然・歴史・文化への理解を深める郷土学習である「佐渡学」を推進します。また、職場体験活動の充実を図るとともに佐渡金銀山入館料や太鼓体験学習入場料の補助、佐渡おけさの体験活動における講師招聘などを支援します。

ジオパークについても、専門員の出前授業やジオパークガイドによる現地案内を通して、佐渡の大地と生きものや人々の生活とのつながりを学ぶ取組を推進し、郷土愛の醸成を図ります。

また、佐渡市文化振興ビジョンに基づき、文化の保存継承を支援することで郷土に対する誇りや愛着を醸成するとともに、子どもたちが佐渡の文化を見て、知って、学べる機会となるよう、ジュニア学芸員養成講座を実施します。

なお、幼児期終期から高等学校までキャリア教育で得た知識や思いなどを記録し、キャリアパスポートとして引き継ぐことで自己肯定感の向上を図ります。中学生では、課題解決型職場体験において、事前学習で社会人としてのマナーを学び、事業所から出されたミッションの解決に向けて考え、行動する体験を実践していきます。また、国際理解教育として、外国語指導助手や小学校の英語専科教員の配置等、人材の確保に努め、外国語によるコミュニケーション能力の育成を図ります。

基本目標3 安全・安心な学校づくり

安心して学べる学校づくりとして、「佐渡市いじめ防止基本方針」に基づき、いじめの未然防止、早期発見、即時に親身で丁寧な対応に努めます。心の教育相談員、不登校訪問指導員、電話相談員を配置し、臨床心理士による巡回相談支援や年2回の「いじめ見逃し強調月間」、先に述べた「心の健康チェック」を毎月実施することにより、いじめ防止の対応に取り組みます。

児童・生徒の通学支援については、遠距離通学の方に対するスクールバスの運行や通学定期券及び通学費補助金の交付により経済的負担を軽減します。また、要保護及び準要保護児童・生徒の保護者へは就学費用の一部を援助します。文化・体育活動においては、大会参加に係る経費の一部を補助することにより児童・生徒の教養及び体育の向上を図ります。高校や大学等への修学の支援では、奨学金を適切に貸与することで、教育の機会均等などを図り、意欲ある青少年の自己実現を応援し、佐渡市の発展に資する有能な人材を育成します。

学校給食では、食物アレルギー対応や異物混入防止に取り組み、安全・安心な食の提供はもちろん、無農薬無化学肥料米や佐渡産品を積極的に取り入れます。更に、物価高騰分を市が補填することにより、これまでどおり栄養バランスの取れた給食を実施します。

また、児童・生徒の学校生活が安全なものとなるよう学校施設の環境整備に取り組み、学校施設の長寿命化計画に基づく学校施設の更新等を着実に推進するとともに、佐渡市小学校・中学校再編統合計画に基づき、学校再編統合協議会において統合協議を丁寧かつ慎重に進め、児童・生徒のより良い教育環境の実現を図ります。また、スクールガードリーダーの配置をはじめ、地域ぐるみで幼児・児童・生徒を見守る体制づくりを進めます。通学路は、通学路交通安全プログラムにのっとり、警察・新潟県、佐渡市建設課と連携して合同点検を実施し、必要に応じて修繕等に取り組みます。このほか、警察や消防による防災教育のほか、ジオパーク推進協議会と連携し災害のメカニズムの理解を深めていきます。

基本目標4 高等教育・研究機関等との連携の強化

大学や研究機関との連携では、教員の指導力向上を目指すため、総合教育センターの研修講座において、各種教育の専門家の招聘や大学附属学校の研修会等へ教員を派遣して、教員が得た情報を共有し、教員同士の研鑽を重ねていきます。また、大学連携による学習支援として、小・中学校へ大学関係者等を招聘したり、オンラインで交流したり教育活動を広げます。また、市民が佐渡を学べる機会として、連携協定を締結する新潟大学人文学部と協同で、「佐渡学セミナー」や「シンポジウム」を開催します。ジオパークでは、佐渡ジオパークに関する調査研究に取り組む大学等と連携し、佐渡ジオパークの魅力を高める取組を推進するとともに、大学等からの講師派遣や意見交換を通してジオパーク学習やガイド養成の質の向上に努めます。

図書館においては、市民の課題解決に必要な資料や情報を提供するため、県内外の図書館とのネットワークを活かして、サービスの質の向上に努めます。また、子どもたちの読書環境の充実を図るため、訪問での読み聞かせや学校へのブックリストの送付、図書の団体貸出など学校図書館との連携を進めます。

基本目標5 一人一人が学び続ける学習環境づくり

各世代への取組として、小・中学生については、各地区で親子の触れ合いを目的とした親子参加型の教室を開催するとともに、子どもの生きる力を育むため、子どもキャンプを開催します。また、全国大会等への参加者を応援する激励金制度や、市外の大会・講習会等への参加を支援する遠征費補助、指導者の資格取得を支援する資格取得補助などの活用を図ります。更には、学校部活動の日数縮小が進められる中、子どものスポーツや文化活動に親しむ機会の減少が心配されるため、市内のスポーツ団体や文化団体と連携し、地域全体で子どもを支える取組を強化することにより、その活動を支援します。

働き盛りの方には、趣味や興味のあることに目を向け、充実した人生の一助となる公民館講座の開設に取り組みます。また、この年代は、運動の機会が少ない傾向にあるため、ウオーキングやヨガ、ストレッチなど、取り組みやすい各種教室を開催し、運動に親しむ機会を創出します。その他、学びや仲間づくりなどの観点から、様々な教室や講座、講演会を開催し、市民の学習機会の充実を図ることにより、心豊かな生活を送るための支援を行います。

地域の活性化という面からも、新型コロナウイルスの影響により、公民館分館の活動が衰退・停滞していましたが、徐々に以前の生活を取り戻す動きが出てきていますので、分館活動を更に活発にし、地域を活性化させるため、その活動の支援を積極的に行います。

学びの場の環境整備として、学校では、遠隔授業や交流授業をより充実させます。各地区公民館においても、講演会や学習会は国中(くになか)エリアで開催されることが多いことから、遠隔地において講演会等の映像を視聴できるようライブ配信が可能なシステムを順次導入し、誰もが生涯にわたり学べる環境整備を図ります。

また、図書館は地域の学びの拠点として、市民が読書に親しみ、それぞれのライフステージにおいて学習できるよう、図書の充実やレファレンスサービスの周知に努めるとともに、学校図書館、ボランティア団体等と連携するなど、市民との協働による図書館運営を推進します。

併せて、音声図書の活用を図ることで、高齢者や障がい者の読書活動を支援します。

博物館や資料館は、展示や調査研究等を実施するための資料の収集・保管を通じて、機能の維持と向上を図るとともに、世界文化遺産登録に向けた施設整備や資料の整理・体系化に基づくレファレンス機能等の強化に向けた博物館ビジョンの策定を引き続き進めることで、子どもから大人まで全ての人が文化に触れ、佐渡を学ぶことができる環境を整えていきます。

文化振興の面では、佐渡市文化振興ビジョンに基づき、貴重な文化の保存継承を進め、郷土の学習に活用していく体制を整えてまいります。

ジオパークでは市民講座、親子体験、地域説明会などを引き続き行うとともに、日本認定10周年を祝した記念事業を行い、市内外の方々が佐渡の自然や文化に触れ、楽しく参加し学ぶことができるような取組を進めます。

なお、令和5年度においては、特に高齢者の生きがい対策に取り組みます。一般的に、年齢が高くなるにつれ、自宅から遠方に出向くことが難しくなる傾向にありますので、遠隔地で行われる講演会や学習会のライブ配信システムの整備により、高齢者の学習の機会の充実を図ります。教室や講座については、更に楽しみながら事業に参加してもらえる環境を整備するため、市長部局と連携し、参加するとポイントがもらえ、佐渡産品等と交換できる「健康ポイント事業」を実施します。また、高齢者にはポイントが多くもらえるなどのインセンティブを付与することにより、事業への積極的な参加を促します。更には、社会教育施設の利用料金及び受講料の無償化、ラジオ体操普及啓発事業などの取組により、高齢者の活動を多方面から支援していきます。

基本目標6 家庭・地域の教育力の充実

子どもの健やかな成長を支援するためには、学校はもとより、家庭や地域の協力が不可欠です。学校では、学校運営協議会において、地域と学校が目標や課題を共有し、連携・協働のもと、子どもたちの健全育成や学校運営の改善に取り組みます。地域の方や保護者から登校時の見守りをはじめ、放課後子ども教室や「土曜学習」、PTAと地域との合同運動会や合同文化祭など学校行事に参画いただく活動を充実させていきます。また、少子化が進む中、中学生の多様なニーズに合ったスポーツ・文化活動の環境整備が求められており、今進めている休日の中学校の部活動の地域移行には、地域の方の理解と協力が不可欠です。地域クラブの活動の整備に向けて、教育委員会と学校及び各種団体の連携した協議を進め、体制づくりを行います。更に、公民館で開催する教室や講座、図書館・図書室の各種イベントに地域の方から参加・協力いただくため「人材バンク」の充実を図り、その人が活躍できる仕組みづくりも進めていきます。

なお、子どもの家庭における学習時間の確保、学習習慣の確立を図るために、学校と家庭が連携し、特にタブレット端末を使用したデジタルドリル教材の有効活用を進めていきます。

おわりに

今、私たちは、より予測困難で不確実な時代・社会を生きています。

そのような環境において、学校や家庭、地域との連携を図りながら、子どもたちに新たな時代を生きるために必要な資質・能力を確実に育成していくことが私たちの責務と考えています。教育への意識を高く持ち、確かな学力の向上や豊かな人間性の育成のため、きめ細かな指導を行っていきます。

また、情報化社会の進展、価値観の多様化に伴い、市民からの学習要望が多種多様になっていますので、多くの市民が生涯にわたり学び活躍できる教育環境の実現に向けて取り組んでいきます。

そして、佐渡市教育大綱の基本理念にあります「明日の佐渡を創る人、世界と共に生きる人の育成」のもと、一人一人の自己実現を目指した教育を力強く推進し、全ての人が、それぞれの分野で成長し、輝き続ける力を育んでいくために、佐渡市教育振興基本計画に掲げる6つの柱を中心とする施策を着実に進めていきます。

本市の教育の充実・発展のため、各取組に対する議員並びに市民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げ、令和5年度の教育行政方針といたします。

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