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令和6年度:教育行政方針

4 質の高い教育をみんなに
記事ID:0058147 更新日:2024年3月1日更新 印刷ページ表示

本ページの目次

はじめに

令和6年第1回佐渡市議会定例会の開会に当たり、佐渡市教育委員会所管にかかる教育行政方針について申し述べさせていただきます。

関係各位並びに皆さまのご理解とご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

佐渡市の教育施策につきましては、「佐渡市教育大綱及び佐渡市教育振興基本計画」に基づき、様々な教育上の課題に対応してきました。

全国的に少子高齢化が進む中でも、佐渡市の少子化傾向は著しくであり、子ども同士による人間性を育む機会や学び合いの機会が少なくなってきました。今求められる学びの姿としては、探究的な学習や体験活動等を通じ、他者の多様な意見を尊重しながら合意形成を図っていく協働的な学びが重要です。このことから、小・中学生の豊かな人間性や社会性を育成する大事な時期に集団での学習活動等にしっかりと取り組める教育環境の充実を図るため、佐渡市小学校・中学校再編統合計画による再編統合を着実に進めるとともに、「社会に開かれた教育課程」の理念のもと、学校と家庭・地域が相互に連携・協働し、社会が一体となって子どもたちを育んでいく必要があります。

学力の面では、子どもが学ぶことの意義を実感して意欲をもって学ぶことが大切であり、各学校における授業改善に向けた取組を支援してきたところです。学習意欲の更なる向上のためには、ICTを最大限に活用し、子ども一人一人の特性や学習進度、興味・関心・キャリア形成の方向性等に応じた個別最適な学びを一層推進し、併せて大学や各種教育機関との連携を深めていく必要があります。また、急速に変化し、予測困難な社会において、答えのない問いにどう立ち向かうのかが問われています。目の前の事象から課題を見いだし、主体的に考え、対話や協働を通じて新たな価値や納得解を生み出すなど、よりよく生きていくために必要な資質・能力を育んでいけるよう取り組んでいきます。

安全・安心な学びの環境づくりへの取組においては、全国的に不登校が増加している中、佐渡市ではタブレット端末を活用した「心の健康チェック」を行い早期発見に努めるとともに、関係部署や機関と連携して相談業務や必要な指導を行っています。今後とも一人一人の心の居場所づくりを支援し、寄り添った指導に生かせるよう取り組んでいきます。

スポーツ・文化活動では、佐渡の小・中学生をはじめ多くの方々の活躍が続いています。スポーツでは、全国大会で優勝した定時制高校バスケットボールをはじめ、野球、バレーボール、陸上競技、空手、剣道など、文化活動ではリコーダーや、郷土芸能、将棋、新聞など、全国の大舞台での活躍は目覚ましいものがあります。教育委員会としても引き続き環境整備等の支援を行うとともに、令和5年度からスタートした「佐渡市地域クラブ活動」の一層の推進をはじめ、子どもたち一人一人が自分のよさや可能性を認識できる機会の充実を図っていきます。また、生涯にわたってアクティブに学び続ける環境を整えるため、市民の学習の場の整備にも取り組んでいきます。

それでは、令和6年度の教育行政施策につきまして、佐渡市教育振興基本計画の6つの柱を中心にその概要をご説明いたします。

基本目標1 学ぶ意欲を高め確かな学力等を育成する教育の推進

確かな学力の育成については、令和6年度は指導主事による学校訪問を強化し、「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善に向けた指導・助言や各種研修を実施するとともに、学校評価を始めとする学校運営全般の支援と学力向上や生徒指導上の諸問題等の解決に向けた伴走支援を、年間を通して実施していきます。更に、教員業務支援員(スクール・サポート・スタッフ)の拡充により、教員の業務負担の軽減を図り、児童・生徒と向き合い接する時間や授業研究のための時間を十分に確保し、きめ細やかな指導につなげていきます。学校の端末活用には、ネットワークトラブル対応や教職員向けのICT活用研修などを実施していきます。

また、令和5年度全国学力・学習状況調査において中学校段階で課題が残る結果であったことを踏まえ、小学校に続き、中学校においてもタブレット端末へのAIドリルの導入により、一人一人の学習進度、学習到達度等に応じた課題に取り組んだり、自ら学び直しや発展的な学習を行いやすくしたりすることで、個別最適な学びを進めていきます。加えて、授業支援ソフトを導入し、学級全体の意見を可視化することで活発な議論を促すなどの協働的な学びも一体的に充実していきます。また、大学生とオンラインでつながる放課後学習支援を行うことや地域の方々に講師をお願いし、授業以外でも学習できる機会として「土曜学習」や「地域未来塾」などの放課後塾を拡充していきます。さらに、特別支援教育についても、関係機関と連携しながら、一人一人の教育的ニーズを把握し、適切かつ必要な就学・指導の支援体制の整備に努めます。

心身をはぐくむ教育としては、令和5年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果では、佐渡市の児童・生徒は総合的には新潟県の平均以上でしたが、柔軟性などやや弱い部分がありました。各学校の課題を明らかにしたうえで「1学校1取組」を実施します。また、スポーツ活動を通じて子どもたちが安全・安心に活動できるようにジュニアスポーツクラブの指導者育成に取り組むとともに各種教室・講座の開設、令和5年度から始まった「佐渡市地域クラブ活動」の推進により、スポーツに親しむきっかけづくりを行います。更には、子どもたちが読書活動により、知識や情報を得ながら豊かな情操や想像力、思考力などを育めるよう学校図書の充実を図るとともに、読み聞かせやブックスタート等の事業に取り組みます。

道徳教育においては、引き続き国の事業等も活用して「考え、議論する道徳」に向けた実践研究を進め、よりよく生きるための基盤となる道徳性を育むとともに、いじめ見逃しゼロを目指します。また、佐渡人権展への参加による人権意識の育成や平和教育にも取り組みます。

基本目標2 郷土愛を軸にしたキャリア教育の推進

基本目標2 郷土愛を軸にしたキャリア教育の推進

佐渡市では、キャリア教育を通して、「明日の佐渡を創る人、世界と共に生きる人」を目指した人づくりを行っています。その実現のため、佐渡の自然・歴史・文化への理解を深める郷土学習である「佐渡学」を推進します。また、各事業所の課題解決に向けて考え、行動する「課題解決型職場体験活動」を推進するとともに、高校生や地域の大人との「対話の場」を創出し、自己の在り方や生き方を考える機会の充実を図っていきます。加えて、佐渡金銀山や佐渡おけさ、太鼓の体験学習などを支援します。

ジオパークについても、専門員による出前授業や、中学・高校生を対象に「Sadogeoclub(サドジオクラブ)」を継続し佐渡島の成り立ちと人々の生活や産業を学ぶ取組を推進し、郷土愛の醸成を図ります。

また、子どもたちが佐渡の文化を見て、知って、学べる機会となるよう、博物館において引き続きジュニア学芸員養成講座を実施します。さらに、「佐渡市地域クラブ活動」では、鬼太鼓や能、民謡などの種目を設置し、佐渡の歴史的な伝統文化に触れる機会の充実を図っていきます。

なお、幼児期終期から高等学校までのキャリア教育で得た学びや思いなどを記録し、キャリアパスポートとして学校間で引き継ぐことで、自らの学習状況やキャリア形成を見通したり、振り返ったりして自己評価を行うとともに自己実現につなげていきます。

併せて、郷土愛を醸成する上では、外国の人々や文化に関心をもつことも重要であることから、外国語指導助手(ALT)の増員やスポーツ国際交流員(Sea)の配置等、学校内外の様々な場において、外国語でコミュニケーションをとる機会の充実やスポーツを通じた国際理解を促進し、異文化を尊重して国際社会を生きるために必要な資質・能力の育成を図ります。

基本目標3 安全・安心な学校づくり

安心して学べる学校づくりとして、「佐渡市いじめ防止基本方針」に基づき、いじめの未然防止、早期発見、即時に親身で丁寧な対応に努めます。心の教室相談員、不登校訪問指導員の配置をはじめ、電話による相談対応など、児童・生徒が抱える悩みに寄り添った支援を行うとともに、臨床心理士による相談支援や年2回の「いじめ見逃しゼロ強調月間」、先に述べた「心の健康チェック」を毎月実施します。また、子ども一人一人に居場所があり、居心地のよい学級・学校づくりのための研修を実施し、いじめ防止や不登校の対応に取り組みます。

児童・生徒の通学支援については、遠距離通学の方に対するスクールバスの運行や通学定期券及び通学費補助金の交付により経済的負担を軽減します。また、要保護及び準要保護児童・生徒の保護者へは就学費用の一部を援助します。さらに、高校や大学等への修学の支援では、奨学金の貸与等を通じて教育の機会均等を図り、意欲ある青少年の自己実現を応援し、佐渡市の発展に役立てる有能な人材を育成します。

学校給食では、食物アレルギー対応や異物混入防止に取り組み、安全・安心な食の提供はもちろん、無農薬無化学肥料米や佐渡産品を積極的に取り入れます。更に、物価高騰分を市が補うすることにより、保護者負担を増やさず、これまでどおり栄養バランスの取れた給食を実施します。

また、児童・生徒の学校生活が安全なものとなるよう佐渡市学校施設長寿命化計画に基づく整備など施設の環境を整えるとともに、佐渡市小学校・中学校再編統合計画に基づき、学校再編統合協議会において統合協議を丁寧かつ慎重に進め、児童・生徒のより良い教育環境の実現を図ります。また、スクールガードリーダーの配置をはじめ、地域ぐるみで子どもを見守る体制づくりを進めます。通学路は、通学路交通安全プログラムにのっとり、新潟県佐渡地域振興局、佐渡警察、佐渡市建設課と連携して合同点検を実施し、優先度を検討しながら修繕等を進めます。このほか、警察や消防による防災教育、佐渡ジオパーク推進協議会と連携した自然災害に関する防災教室を行い、地震などの災害メカニズムの理解を深めていきます。

基本目標4 高等教育・研究機関等との連携の強化

大学や研究機関との連携では、教員の指導力向上を目指すため、新潟大学教職大学院と連携した講座の実施をはじめ、総合教育センターの研修講座において、各種教育の専門家の招聘や大学附属学校の研修会等へ教員を派遣して、教員が得た情報を共有し、教員同士の研鑽を重ねていきます。また、大学連携による学習支援として、小・中学校へ大学関係者等を招聘したり、オンラインで交流したりする教育活動を広げます。さらに、市民が佐渡を学べる機会として、連携協定を締結している新潟大学人文学部と協同で、「佐渡学セミナー」や「シンポジウム」を開催します。ジオパークでは、佐渡ジオパークの魅力を深めるため、関連する調査研究を実施する大学等と連携します。また、調査研究の成果を佐渡ジオパークフォーラムで市民にわかりやすく紹介するとともに、大学等からの講師派遣や意見交換を通してジオパーク学習やガイド養成に活かしていきます。

図書館においては、市民の課題解決に必要な資料や情報を提供するため、県内外の図書館とのネットワークを活かして、サービスの質の向上に努めます。また、子どもたちの学習活動や読書環境の充実を図るため、探究学習等で活用可能な図書の展示や学校へのブックリストの送付、訪問による読み聞かせ、図書の団体貸出など学校図書館との連携を進めます。

基本目標5 一人一人が学び続ける学習環境づくり

子どもや子育て世代に向けては、親子で学び合うことを目的とした親子参加型の教室や「子どもキャンプ」などの野外体験教室を行い、子どもたちの生きる力を育んでいきます。また、子どもたちのスポーツ・文化活動に対する支援として、市外での大会参加を支援する遠征費補助や全国大会等への参加者を奨励する激励金制度、さらには指導者不足を解消するために資格取得補助などを引き続き実施します。

中学校の休日の部活動地域移行では、令和5年度から月1回の佐渡市地域クラブ活動を開始しました。今年度は、月2回の活動に増やすとともに、佐渡ならではの魅力的な種目を多数取り入れることで、子どもたちのスポーツ・文化活動を支えていきます。

中高年世代に向けては、趣味などの興味・関心に目を向け、充実した人生の一助となる公民館講座の開設に取り組みます。この年代は、運動の機会が少ない傾向にあるため、ウオーキングやヨガ、ストレッチなど、取り組みやすい各種教室を開催し、運動に親しむとともに健康づくりの機会を創出します。その他、学びや仲間づくりなどの観点から、様々な教室や講座、講演会を開催し、市民の学習機会の充実を図ることにより、心豊かな生活を送るための支援を行います。

その際、健康寿命日本一に向けた取組として、引き続き高齢者の生きがいづくりを支援します。一般的に、年齢が高くなるにつれ、自宅から遠方に出向くことが難しくなる傾向にありますので、遠隔地で行われる講演会や学習会の各地区公民館等でのライブ配信システムの整備により、高齢者が参加しやすい環境の整備を図ります。参加すると佐渡産品等と交換できるポイントがもらえる「健康ポイント事業」を継続して実施し、高齢者にはポイントが多くもらえるなどのインセンティブを付与することにより、積極的な参加を促します。更には、社会教育施設の利用料金及び受講料の無償化、ラジオ体操普及啓発事業などの取組により、高齢者の活動を多方面から支援していきます。

また、図書館は地域の学びの拠点として、市民が読書に親しみ、それぞれのライフステージにおいて学習できるよう、図書の充実やレファレンスサービスの向上に努めるとともに、学校図書館、ボランティア団体等と連携するなど、市民との協働による図書館運営を推進します。

併せて、音声図書の活用を図ることで、高齢者や障がい者の読書活動を支援します。

博物館や資料館は、資料の整理や調査研究・展示を行い、佐渡植物園で薬草等の貴重種の展示を新たに計画するなど、博物館機能の維持と向上を図るとともに、世界文化遺産登録に向けた施設整備や博物館ビジョンの策定を引き続き進めることで、子どもから大人まですべての人が文化に触れ、佐渡を学ぶことができる環境を整えていきます。

文化振興の面では、佐渡市文化振興ビジョンに基づき、貴重な無形文化の保存継承などを柱とした文化振興施策について、佐渡文化財団等の文化関係機関と連携して取り組み、郷土の学習に活用していく体制を整えてまいります。

ジオパークでは、島の成り立ちや地域の魅力を紹介する地域説明会、専門員やジオパークガイドの案内で現地を巡る市民講座を開催するほか、海を楽しむ事業も新たに実施し、市民が佐渡特有の自然や歴史、文化や人々の暮らしに触れ、佐渡をまるごと学び楽しむことができる取組を進めます。

基本目標6 家庭・地域の教育力の充実

子どもの健やかな成長を支援するためには、学校はもとより、家庭や地域の協力が不可欠です。学校では、学校運営協議会において、地域と学校が目標や課題を共有し、連携・協働のもと、子どもたちの健全育成や学校運営の改善に取り組みます。教育委員会では、協議会での熟議の充実を図るための研修や訪問支援などを行っていきます。地域の方や保護者による登校時の見守りをはじめ、「放課後子ども教室」や「土曜学習」、地域との合同運動会や合同文化祭など、地域の特色や課題等に応じた活動の充実を図っていきます。また、少子化が進む中、中学生の多様なニーズに合ったスポーツ・文化活動の環境整備が求められており、今進めている中学校の休日の部活動地域移行には、地域の方の理解と協力が不可欠です。「佐渡市地域クラブ活動」を推進するにあたっては、教育委員会と学校及び各種団体との連携を密にしながら、佐渡ならではの魅力ある種目の設置や指導者の確保等に努めていきます。更に、公民館で開催する教室や講座、図書館・図書室の各種イベントに地域の方から参加・協力いただくため「人材バンク」の充実を図り、その人が活躍できる仕組みづくりも進めていきます。

また、子どもの家庭における学習時間の確保、学習習慣の確立は喫緊の課題です。学校と家庭が連携し、特にタブレット端末を使用したAIドリル等のデジタル教材の有効活用、地域人材や大学生等を活用した「土曜学習」や「地域未来塾」等の取組を更に進め、学校や授業以外での学ぶ機会の充実を図っていきます。

おわりに

世の中の動きがますます加速し、予測が困難で、変化の激しい先行き不透明な時代が到来しています。

そのような環境において、学校や家庭、地域との連携を図りながら、子どもたちに新たな時代を生きるために必要な資質・能力を確実に育成していくことが私たちの責務と考えています。教育への意識を高くもち、確かな学力の向上や豊かな人間性の育成のため、きめ細かな指導を行っていきます。

また、情報化社会の進展、価値観の多様化に伴い、市民からの学習要望が多種多様になっていますので、多くの市民が生涯にわたって学び続け、活躍できる教育環境の実現に向けて取り組んでいきます。

そして、佐渡市教育大綱の基本理念にあります「明日の佐渡を創る人、世界と共に生きる人の育成」のもと、一人一人の自己実現を目指した教育を力強く推進し、すべての人が、それぞれの分野で成長し、輝き続ける力を育んでいくために、佐渡市教育振興基本計画に掲げる6つの柱を中心とする施策を着実に進めていきます。

本市の教育の充実・発展のため、各取組に対する議員並びに市民の皆さまのご理解とご協力をお願い申し上げ、令和6年度の教育行政方針といたします。

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