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令和5年度:随時監査結果(創業・事業拡大等支援事業)

記事ID:0059095 更新日:2024年4月1日更新 印刷ページ表示

本ページの目次


地方自治法第199条第5項の規定に基づき、随時監査を実施したので、同条第9項の規定により、その結果を公表します。


佐監公表第10号
令和6年3月29日
佐渡市監査委員 渡部 直樹
佐渡市監査委員 山田 伸之

監査の種類

地方自治法第199条第5項の規定による随時監査(創業・事業拡大等支援事業について)

監査の期間

令和5年7月3日から令和6年3月29日まで

監査委員の氏名

渡部 直樹
山田 伸之

監査の目的

創業・事業拡大等支援事業は、持続的な居住が可能となる環境の整備を図ることを目的として、雇用増を伴う創業又は事業拡大を行う民間事業者等に対してその事業資金の一部について予算の範囲内において補助金を交付するものとなっている。
そこで、補助金等の妥当性を判断するため、事務手続のみにとどまらず、事業終了後の成果確認や検証等が適正になされているかを重点的に監査し、より効果的な補助金等の執行に資することを目的とした。

監査の対象

令和2年度から令和4年度に実施した創業・事業拡大等支援事業のうち、次表の補助金及び委託料についての出納その他の事務

 

項  目

対象年度

所管課

 雇用機会拡充事業補助金

令和2年度~令和4年度

産業振興課

 採択事業者フォローアップ

 支援業務委託料

令和4年度

監査の着眼点

  1. 補助金の交付事務は法令等に基づき適正に行われているか。
  2. 補助事業の成果確認は適正に行われているか。
  3. 補助事業の効果を検証し、適切な改善が行われているか。
  4. 委託の相手方及び選定方法は適切か。
  5. 委託料の算定根拠は、合理的な基準に基づき行われているか。
  6. 委託内容の履行確認は適正に行われているか。また、履行期限は守られているか。

監査の方法

あらかじめ、指定様式による予備調査を行い、予備調査内容から監査対象を抽出し、所管課へ関係資料の提出を求め、書類調査を実施し、関係職員から説明を徴取した。

雇用機会拡充事業補助金及び採択事業者フォローアップ支援業務委託料の概要

 雇用機会拡充事業補助金の概要

  1. 補助金の目的
    佐渡市雇用機会拡充事業補助金交付要綱(平成29年告示第254号。以下「交付要綱」という。)により、特定有人国境離島地域である本市における持続的な居住が可能となる環境の整備を図ることを目的としている。

  2. 補助金の対象者
    補助金の対象者は、(1)市内において新たに事業を開始する者(創業)、(2)既に事業を営んでいる者で、生産能力の拡大、商品又はサービスの付加価値向上等を図るために雇用拡大、設備投資等を行う者(事業拡大)、(3)市内の産品、サービス等の販売を目的として本市以外の地域において創業する者(地域外創業)のいずれかに該当する者である。

  3. 交付対象事業
    補助金の交付の対象となる事業は、雇用創出効果が見込まれる創業又は事業拡大であり、雇用の要件は、事業計画期間中に1週間の所定労働時間が20時間以上の従業員を常用雇用し、計画期間終了後もその雇用を継続すること、とされている。

  4. 補助金の交付額
    補助金の額は、補助対象経費の4分の3以内の額で、補助対象経費及び補助額の上限額は、別表1のとおりである。また、この補助金は、国の特定有人国境離島地域社会維持推進交付金を財源とし、負担割合は、国が1/2、県・市が1/4、補助事業者が1/4となっている。

  5. 補助金交付による実績
    令和2年度から令和4年度における補助金交付額及び補助金交付による雇用者数の実績は、別表2のとおりである。

 採択事業者フォローアップ支援業務委託料の概要

  1. 業務委託の目的
    雇用増に直接寄与する創業又は事業拡大を行う民間事業者等に対して、早期の自立化を促す観点から、専門家による支援を実施し、島内の雇用機会の拡充、地域社会の維持を図ることを目的としている。

  2. 業務内容
    雇用増に直接寄与する創業又は事業拡大を行う民間事業者等に対して以下の業務を行うものである。
     (1) 事業計画の進捗状況を把握し、助言指導等の支援
     (2) 採択事業者同士の交流の場の創出
     (3) 個別相談に対する助言

  3. 委託の相手方及び選定方法
    委託の相手方は公募型プロポーザルにより選定を行っている。令和4年4月11日に参加者を募集したところ、1社が応募した。5月23日に審査委員会が開催され、審査の結果、応募のあった1社が選定された。6月1日に当該事業者と19,965,000円で委託契約が締結されている。

  4. 委託内容の履行確認
    委託期間は令和4年6月1日から令和5年3月10日までであり、3月10日に履行届が提出され、3月13日に検査を実施している。委託内容の履行確認については、仕様に定めた成果確認を実施報告書で行っている。

監査の結果

監査の結果、補助金交付に係る事務について、一部に改善を要する事例が見られた。監査の指摘事項は次のとおりである。
なお、軽微な事項については、口頭により所管課へ改善を要望した。

補助金等の交付事務について

所管課の補助金等の交付事務において、次のとおり不適正な事務処理が見られた。

  1. 市税等の滞納がないことが要件にもかかわらず、事前協議書に添付すべき佐渡市の納税証明書の提出を求めていない事例が見られた。
  2. 事業拡大においては、市内に事業所を有することが要件となっているにもかかわらず、法人市民税設立・設置・異動等申告書を提出していない事業者に対し、補助金を支出している事例が見られた。

  3. 事業計画期間中に新たに常用雇用する従業員は、佐渡市に住所を有する必要があるが、その住所を書面により確認していない事例が見られた。

  4. 雇用通知書の勤務場所が新潟市となっている従業員について、佐渡市内での勤務の実態を書面により確認をせず、その人件費を補助対象経費として認めている事例が見られた。

  5. 生計を一にする三親等以内の親族の人件費は補助対象外とされているところ、書面により実態を確認せず、当該親族に対する人件費を補助対象経費として認めている事例が見られた。

  6. 雇用の確認について、雇用保険被保険者資格確認通知書の提出を任意とし、その他の書類で確認を行っている事例が見られた。

  7. 補助対象経費の費目の20%を超えて変更する場合は補助金変更承認申請書を提出させるべきところ、当該申請書を提出させずに実績報告を認めている事例が見られた。

  8. 補助金変更承認申請を提出する前に事業着手したものを申請後に事後承認し、承認前の事業経費を補助対象経費として認めている事例が見られた。

  9. 補助対象経費は、2月末日までに支払がされたものを対象とすべきところ、令和2年度のみ3月10日までに支払った人件費を補助対象経費として認めていた。

  10. 補助対象経費中に補助事業者の自社製品の調達又は関係会社からの調達分の経費が含まれ、補助事業者の利益となると認められる場合は、利益相当分を当該補助対象経費から除外するものとすると規定されているところ、明確な証拠書類により確認をしていない事例が見られた。

  11. 実績報告書に添付することとされている書類のうち、工事完了届、賃貸借契約書及び雇用契約書等の提出を求めていない事例が見られた。

要綱等の見直しについて

佐渡市補助金等交付規準(平成29年佐財第568号)においては、公平、明瞭な補助金行政として、極力要綱を見れば補助制度を把握できるように整備することや、漠然とした表記はしないことを求めているが、交付要綱等において不明瞭な部分が見られた。

雇用対象者について

雇用については、新たに1週間の所定労働時間が20時間以上の従業員を常用雇用することが交付要綱の要件であり、1週間の所定労働時間が20時間以上、かつ、31日以上雇用されることが見込まれる場合は雇用保険法により原則として雇用保険への加入が必須とされている。しかしながら、交付要綱、佐渡市雇用機会拡充事業補助金公募要領及び佐渡市雇用機会拡充事業補助金Q&A等の補助金にかかる規程においては、そのことが明確に規定されていない。事業者には雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(事業主通知用)の写し、健康保険、厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書の写しの提出を義務付けるべきである(社会保険加入の適用除外の場合は雇用保険の加入のみとする。)。また、雇用対象者の住所地を書面で確認するためにも、住民票の写しの提出を求めるべきである。

法人市民税の申告について

事業拡大における補助事業者は市内に事業所を有することが要件となっているが、法人事業者が法人市民税の申告をしていない事例があることから、事業拡大の場合においても創業と同様に開業届の提出を求めるべきである。

補助対象経費について

  1. 店舗等借入費
    島外において倉庫の借り上げを補助対象経費としている事例が見られたが、佐渡市内における創業や事業拡大を主たる目的としていることから、島外での店舗等借入費については対象外とすべきである。

  2. 人件費
    新たに雇用する場合は、佐渡市に住民票のある者が1名以上いれば、佐渡市に住民票がない者の人件費も補助対象経費として認めているが、佐渡市内における創業や事業拡大を主たる目的としていることから、佐渡市に住所を移したことを確認した上で、佐渡市内の事業所の雇用にかかる人件費を補助対象経費とすべきである。

  3. その他の経費
    補助対象経費中に補助事業者の自社製品の調達又は関係会社からの調達分の経費が含まれ、補助事業者の利益となると認められる場合については、内閣府総合海洋政策推進事務局有人国境離島政策推進室からの令和5年3月28日付け事務連絡通知により、自社製品の調達等についての論点、実態、対応方針が示されたことから、対応を厳密に行うとともに、佐渡市の交付要綱等にも明示をすべきである。

監査委員の意見

  1. 補助金等の交付事務について
    監査の結果で述べたとおり、補助金等の交付事務のチェック等において不適正な事務処理が見られた。これは、補助事業者からの実績報告の提出から補助金の支払に至るまでの間が1か月程度と短期間であるのが一因であると考えられる。相当の分量を限られた人員で確認することに支障があることも理解は示すが、このような不適正な事務処理が散見されたことは誠に遺憾である。実績報告の内容を適正に審査することができるよう、しかるべき体制を整えられたい。
    また、平成26年4月1日財務課長事務連絡「佐渡市補助金等交付規則に係る「補助金等交付チェックリスト」の運用開始について(通知)」により、補助金の執行に当たっては補助金等交付チェックリストにより所管課長の確認を受けることになっているが、そのチェックが形骸化していると言わざるを得ない。交付要綱の規定から明らかに逸脱している事案については、補助金の返還を求めるべきである。
  2. 要綱等の見直しについて
    交付要綱は、国の特定有人国境離島地域社会維持推進交付金交付要綱(平成29年府海事第120号)及び特定有人国境離島地域社会維持推進交付金事業実施要領(平成29年府海事第124号)に準じて制定されているが、国の要綱・要領は最低限の条件であり、佐渡市の経済や雇用を拡大させるためには、監査の結果で述べたとおり厳格な条件を交付要綱に盛り込むことが佐渡市にとって有益であると思料する。
    また、交付要綱第12条において最長で5年間の計画期間を認めるとしているが、複数年度に渡る補助金の交付については、事業実態を勘案し、厳格に運用し、真に必要と認められるものに限定すべきである。

  3. 補助金の交付目的について
    特定有人国境離島地域社会維持推進交付金事業実施要領には、雇用機会拡充事業の趣旨が次のように記述されている。
    「本事業は、特定有人国境離島地域における雇用増に直接寄与する創業又は事業拡大を行う民間事業者等に対してその事業資金の一部を補助することにより、特定有人国境離島地域における雇用機会の拡充を行い、定住、定着、移住の促進を図ろうとするものである。」
    しかしながら、本監査を実施した中では、定住、定着、移住につながるのか疑問を感じる事例も見受けられた。島内への転入を増やし、島外への転出を減少させ、社会増となることが本事業の目的である。この目的に沿うように補助対象事業者を採択するように要望する。特に、複数年の事業計画を実施する事業者に対しては、その事業が社会増につながるのかを念頭において複数年採択の判断がなされることを求める。そして、佐渡で確実に生活ができるような事業と雇用の確保につながることを切望する。

 

別表1 補助対象経費及び補助額の上限額

 

区  分

補助対象経費

の上限額

補助額

の上限額

創  業

600万円

450万円

事業拡大

1,600万円

1,200万円

事業拡大(設備費及び改修費を経費に計上しない場合)

1,200万円

900万円

 

別表2 補助金交付額及び雇用者数

 

年 度

区 分

補助対象

事業者数

補助金額(円)

雇用者数

令和2年度

創  業

4

15,273,000

8

事業拡大

40

312,407,000

63

地域外創業

0

0

0

44

327,680,000

71

令和3年度

創  業

9

32,678,000

14

事業拡大

61

518,845,000

103

地域外創業

0

0

0

70

551,523,000

117

令和4年度

創  業

7

27,560,000

10

事業拡大

54

463,318,000

81

地域外創業

0

0

0

61

490,878,000

91