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平成23年3月28日(月曜日)、10時〜11時45分
金井コミュニティセンター2階大会議室
計17名
会長 皆さんおはようございます。年度末の忙しい時期に朝早くからご苦労様です。今日は第2回の審議会で議論していただいた景観づくり助成事業の案がまとまったので、その事業についてご意見をいただくことと、引き続きまして、西三川の重要文化的景観の指定、次に、その他としまして、景観計画に関連した屋外広告物の事務が佐渡市に移譲されることに伴いまして、これらのことで密度の濃い審議になると思いますが、よろしくお願いいたします。
事務局 本日、2名の委員が欠席ですが、規則で定めてあります、過半数を超えておりますので議事に移りたいと思います。
事務局より説明
会長 今の説明のとおり、いよいよ議会が通りまして、景観づくり助成事業が推進されるわけですが、内容の確認をお願いしたいと思います。ご意見はいかがでしょうか。
委員 0.3ヘクタール以上で10棟以上という10棟の基準はどのくらいの大きさから1棟になるのか。例えば車庫などは。
事務局 0.3ヘクタールで100メートルで100棟というと、なかなか補助対象になりにくくなるので、なるべく皆が取り組み易いように、100メートルほどで10件あるだろうという感覚で考えています。車庫についても建物ということで適用しております。ただし建物については助成は1回限りとします。
委員 予算の総額は。
事務局 平成23年度は300万円です。地区協定後の高率補助というところまでいかないと思うので、おそらく2、3箇所の地区協定の推進を予測しております。際立って鮮やかな色の建物の補修が出てきても、300万円以内で動けるのではないかと思っています。今年、来年の市民の活用状況等を見て予算の増額要求をしていきたいと考えています。
委員 周知する際に、素人の目線でも分かるように具体例等(生垣を直したいけれど、いくらぐらいかかるのか)一つぐらいあると分かり易いのでは。補助対象の何分の1や限度額がいくらなど、数字だけではなく分かり易いような周知の仕方をしていただきたい。
西三川のほうを認定していくのだという例を載せていただけると、自分達のところもこういう風にやろうかなと思えるので、そのような表現をしてほしい。
事務局 西三川のほうでも一緒に支援策と同時に出していきたいと感じているところです。しかし、景観のほうで何も動きが無いときに景観の内容を載せてもピンとこないので、タイミングとしては、西三川、支援策のタイミングを交えて、出来るだけ分かり易く感じられるように周知を図りたいと思います。
世界遺産推進課より説明
世界遺産推進課より説明
委員 見学会をお願いしたいが予定はあるのか。
世界遺産推進課 今年度、世界遺産連続講座の一環として笹川集落見学会を行いました。また、個別に観光協会などの団体から、西三川砂金山を見学したいという要請があり、職員がガイドとなって集落に事前の許可を頂き、何度か見学会を行っています。今後も定期的に行っていきたいのですが、地元では観光、ガイドについてはあまり積極的ではなく、あくまでも今の集落の景観を守っていこうという意見が強いです。見学会については、要請があればこちらで対処することが出来ます。また、真野の観光協会が昨年12月に現地の研修会を行い、国分寺や妙宣寺等を回るルートと真野御陵を回るルートに加え、笹川を回るルートをふれあいガイドのコースに加えたいという動きもあります。しかし集落の人は、あまり大勢の人が来ると困る、静かに暮らしていきたい、と考えており、直接車で乗り入れるのではなく、あらかじめ待ち合わせをして、マイクロバスなどで乗り合わせて現地へ入って、集落センターにバスをおき、歩いて2時間ほど回るというルートを模索しているところです。今後も随時見学会などをしていきたいと考えています。
事務局 審議会としては特に予定をしておりません。第一号という景観活動推進団体ということであれば、意見を受けながら次の審議会にあわせて企画することも可能です。
委員 西三川ゴールドパークがあるが文化的景観価値にはならないのでは。どういう位置付けにするのか。
世界遺産推進課 ゴールドパークと具体的に話し合いをしたわけではありませんが、砂金採り体験等の施設として、普及啓発の観点で活用していきたいと考えています。
市の景観条例との絡みもありますが、今後修理・修景の要望があった場合には、景観に配慮したものとしてご協力頂ければと考えています。
委員 砂金採り体験はゴールドパークでするのか。
世界遺産推進課 試みとして、去年の8月に「親子で歩こう世界遺産」という企画を行いました。その中で島内の小学校の親子15名ほどが集まり、ゴールドパークで午前中砂金採りの練習を行い、午後は実際現地の川で体験し、3粒の砂金が採れました。砂金が採れるか採れないかということよりも、実際の川に入るということで、体験の大きな目玉となり、地域の活性化につながればと考えています。
委員 宿根木に比べたらかなり広いので、山や川があることによってやりにくさというものはないのか。
世界遺産推進課 範囲内すべて同じ基準にしたかったのですが、この場合、笹川以外の11の集落が入ってしまいます。すべての集落から同意を得るのは難しいので、今回は重要な構成要素が集中する笹川集落区域の基準は厳しくし、周りは既存の景観計画の景観形成基準で保護するということになりました。農地や山林については、あくまで現在の生活生業の継続が前提なので、大規模な圃場整備や樹木の伐採以外は、強い規制をかけないようにしました。
今後は、笹川の事例を参考に、景観保護を推進したいという要望があれば、周辺にも景観保護の網掛けを広げていくことを検討する余地はあります。
委員 用水路の景観等の関係で、新たな法面、擁壁の調整を行わないとあるが、災害がもし起きた場合に復旧する過程で止むを得ず擁壁等をつむ場合の対応は。
世界遺産推進課 災害が起きた際の応急措置については、特に規制はありません。その後の本復旧について計画があがった段階で、特に笹川集落区域内では、景観配慮などの協議をさせていただければと思っています。全く擁壁が駄目というわけではなく、緑化など景観配慮型の工法を検討しながら状況に合わせて検討していきたいと思います。
委員 佐渡市のホームページ等でもっとアピールできないのか。
イメージが湧きづらい。一般の方がパッと見てイメージが湧くよう魅力的な風景を積極的にアピールしていくなど工夫していただきたい。
世界遺産推進課 今後は散策マップやホームページの作成などを考えていますが、文化的景観自体、今の人々の生活生業の景観ということで、名勝地のような見た目がいい景観というものではないと思っています。笹川は、見た目は普通の農山村景観に見えますが、昔砂金を採った歴史の上に現在の人々が住んでおり、そういった目に見えないわかりにくいところを宣伝していければと考えています。
また、地元から、人がたくさん来て観光地的なものにしたくないという要望もあります。まだ全国で24件しかない文化財なので、活用や保護については、これからの検討課題だと思っています。
委員 地元の方は熱心で、景観的価値を守って行こうという意識を持っていることはわかった。しかし日常生活や生業から発生する景観の価値はそこに住んでいる人たちもよく分かっていないところがある。そのため、生活の中で何を保全するのかということの意識が住民それぞれで違い、それを共通認識として保全するのは非常に難しいのではないか。
イメージ写真などは建物だけを取り出して撮っているが、それ以外に生活の中で守られてきた景観という具体的に形に表せられない部分があり、生活のリズムの中で保たれている。具体的に言うと、神奈川県の真鶴町では生活の中で守られてきた景観を具体的に絵で示したり、そういう特徴を組み合わせた集会場を作ったりして、地域の価値がどういうものなのかを目で見れる形にしている。この地域も生活の中で特徴的なものがあり、それを写真や、デザイン的な絵や、ここの家はこのエリアの特徴的なものですと紹介するなど、地域の人がここはこれが特徴的ということをお互いに認識できるような工夫をすると長期的な景観が保たれるのではないか。
地域の人も今のままでは保全しようという意識はあるが、具体的に行動に移す際に戸惑うことがあるのではないかと思うのでもう少し考えて欲しい。
世界遺産推進課 地元の方からも、どういう風にしていけばいいのか分からない、目に見える形で示していただきたいという意見があります。
今回の基準は、現状維持が出来ればという程度のもので、カッチリこうしなければいけないというものではありません。
既に重要文化的景観に選定されている近江八幡市・宇治市などは、保存計画の中でイラストなどでイメージを示して景観誘導をしています。しかし、それでカチッと決めていいのか、色々な時代のものや要素が混在しているからいいのではないかという意見もあります。ですので、示し方は難しいと思っていますが、何かしらわかりやすく説明するものは必要だと考えています。
委員 黄色の笹川の指定の真ん中の赤い色はなにか。
世界遺産推進課 法名院塚といい、鎌倉時代承久の乱で佐渡に流された順徳上皇の第三皇子の墓といわれているところです。陵墓参考地として宮内庁の管轄になっており、今回の同意交渉にあたって問い合わせをしましたが、この部分については、文化財にならなくても宮内庁で保護をしているので特に網掛けは必要ないとのことでしたので今回は除外しました。大阪にも、世界遺産暫定一覧表に載っている仁徳天皇陵というものがありますが、宮内庁の同意が取れていません。ただ、世界遺産の登録の中で交渉の余地があるということで、今後範囲に入る可能性はあります。
委員 宿根木も文化庁のほうから認定を受けて20年になるが、笹川が景観の指定を受けると、観光客、一般の方がたくさん入って来て違う悩みが出てくるということで、西三川はそこ独自の自然を残していく、佐渡の中に西三川をいつまでも残していくように、金山を上手く利用した観光化をしない西三川というイメージで進めたほうがいいのではないか。人が沢山来ることはよいが、住む人は大変なので、地元の人と上手く連携していっていただきたい。
世界遺産推進課 今後、笹川を見て回る際のルール作りをしていきたいと思います。見学の際には窓口を設けて事前申し込みをして頂き、バスで乗り合わせて入ってもらい、歩いて現地を回るなどの方策を考えています。一方で、一般観光客として車で入って来る人もいるので、駐車場を作ってそこに停めて歩いて回ってもらい、私有地には無断で立ち入らないようなルール作りを進めて行きたいと思います。
観光客への周知は難しいとは思いますが、福島の大内宿は、集落内へ一般車両を入れないようにしています。佐渡でも、新大演習林の見学の際には入山制限をしており、地元や管理者との折り合いは重要で、そのあたりをうまくやることによって保存管理につなげていきたいと考えます。
その地域に住んでいる人がいないと、そこの文化は成り立っていかないので、文化的景観として地域の生活生業を保護していきたいと考えています。
委員 ここは手付かずだからいいのか、手を加えるのではなく、大事にすることが必要。逆の考えだと、もっと良い面があるならば、おそらく集落の人は田んぼなどを基盤整備すると思う。なぜこの地域の人がやらなかった、出来なかったのかわからないが、そういったところに価値があるのだから残していくように、あまり人が行ったり、手をつけないようにするにはどうしたらいいのか考える必要があるのでは。
世界遺産推進課 今は、残していかないといけないという方針ですが、自然発生的に地区の人が行っていること自体が残ってきたという要素も重要ではないかと思います。
農地や住宅など、あまり規制すると、今後長く続いていくことが難しくなるものもあり、可能なものはある程度規制緩和も必要と考えています。後継者不足の問題もあり、今の生活生業の維持のためにどうしても手をつけなくてはいけないことも出てくると考えています。
委員 受け継ぐ人が生活しないといけないから、今のままでは大変なこと。それをどうやって残していくのか、受け継ぐ側が生活して維持していけるように国などがある程度、力を貸さないと無理ではないか。
世界遺産推進課 幸い、この地域はだいぶ基盤整備が終わっており、小さい田んぼは少なく、機械が入っていけるような整備は終わっています。しかし、水田は日が当たらなく、水も冷たく、収量は1反歩当たり6〜7俵と少ないですが、そのかわりに米は美味しいです。集落の若い人たちも田んぼを預かったりして、「笹川の金山米」としてホームページで宣伝をしています。他にも、ウド・ゼンマイなどの山菜は、江戸時代の記録をみると、笹川の名産と書いてあります。ヨモギもお灸にするとよく効くとあり、金山と関係があるといわれています。それらを地域ブランドにして、地域活性化や後継者不足解消につながってくればいいと、まだまだ先のことですが、考えています。
委員 人口構成は。
世界遺産推進課 現在31軒で、人口は130人弱くらいですが、後継者がいる家も多いです。この集落のみで小学校の分校があり、平成22年の閉校時点では4人でしたが、昭和30年代には35人もの児童数がいた時期もありました。この集落の伝統として、長男は嫁をとって帰ってくるものだということが根付いていて、江戸時代半ばに45軒だった家のうち、現在31軒が残っています。明治5年に砂金山が閉山しても、10数軒しか減っていないのはすごいことだと思います。しかし、現状としては、少子高齢化で少しずつ過疎化が進んでいることもあり、この集落を何とかしていきたいと住民が思っている中で、文化的景観の制度とうまくタイアップすることができればと思います。
事務局より説明
委員 条例で禁止されていることはあるのか。
事務局 禁止物件というものは、
佐渡市全体としては、許可制となっています。禁止地域というものはありません。許可を出してそれが通ればいいという状況です。自分の敷地は、自分の事業の壁に看板を出すものついては、一定の大きさ内であれば許可を出さなくてよいです。しかし、基準以上のものであれば県に届出、許可の申請をし、許可等確認を頂いてから設置することになります。国道沿いの2、30メートル離れたところ以内に、大きな看板を出すところは禁止、違反物件になるのではないかと独自に調べた中では感じています。
委員 佐渡市の場合は、景観計画もあり、景色のいいところなので、一定程度高さ、大きさ、色合いを統一して表示することが、いいイメージづくりができるのではないかと思う。景観という観点の中から考えた際に、看板、屋外広告がいかに景観の条例の中に位置付けられるかどうかが重要。いかに他のものが整えられても、この屋外広告物などが整備されないと景観をしている意味が薄くなる。例えば、那須では、電柱まで色を塗ってある。飛騨高山でも看板の色が茶色もしくはグリーンの濃い色になっている。外国のヨーロッパでは各企業のメッセージのロゴマークも茶色に変えられている。そういうことをしていただくことが景観も含めて重要な要素になり得るのではないかと考える。
委員 商店街や商業地域は仕方ないだろうが、国道から少し入った田んぼのところなどに赤い看板などがある。看板も建造物などと同じようにある程度強制や補助を出したりすることで、この先10年というわけではなく、早急に変えられないのか。
委員 70ページのこのような方針でいくのか。
事務局 景観計画でいくと、この方針は考え方として述べています。今後、予想されるのはこの審議会で議論していくか、別組織でやるべきか、審議会の下に委員会を作りながら、何名か代表者を選定して、この組織として進めていくのかということも含めて、意見をお聞きしたいです。
委員 広告物はないが、鉄骨が残っているところがあるが、その撤去は。
事務局 島外から来てやっていったものは、県の取り締まりようが無く、業者がどこか不明になってしまいます。
事務局 地域整備部では、今年度、違反広告物の状況、許可物件の調査では、主に国道沿線、南線沿線を中心に調査をして3月に調査結果が出ています。この調査結果を市で引き継いでその後どうするのかという事になりますが、県の条例のまま運用するのであれば、違反は違反となります。どこから先に手を付けていくのかということも重要な案件です。同時に独自の広告物条例を作りながら違反の物も改善、支援も含めていくことが想定されますので、独自の条例の動きを見て、対応策も考えていくべきだと考えます。しかし、実際、柱だけが残っていたり、景観を阻害しているものについても、何かの対応策を組み合わせながら独自条例と変更していくような形も必要ではないかと考えています。なので早急に手を加えることが難しいと想定しています。
撤去はして、整備しているが、全部というわけにはいかないと考えます。
委員 佐渡市にお願いしたいのだが、マンセル記号と書いてあるが、これがどのような色か役員の中に分かる人が少ないと思う。なのでマンセル記号を抜粋したもので、いい範囲のものと、駄目なものを各委員に配布し、現地に持っていき、これはこうだから駄目だということの参考にしたらどうか。
この番号はこの色だと分かるものでないといけないのでは。
こんな小さいものを見て判断するのは無理では。
コピーでもいいので、現地にもって行った方が皆分かるのでは。
事務局 景観計画には、最後のほうのページに載せており、市民向けのパンフレットの最後のほうのページにマンセルの考え方を表示しております。必要であれば、色見本を何冊か準備し、委員に貸し出しをして預けておく形も検討します。コピーであれば変わらないので会長と相談して作らさせていただきます。
閉会(11時45分)