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トキの生態
トキは学名「ニッポニア・ニッポン」と呼ばれ、ペリカン目トキ科のなかの一属一種に分類される鳥です。大空を舞う姿は、「とき色」と呼ばれる風切羽や尾羽のオレンジがかったピンク色が美しく、見る人を感動させます。また、繁殖期には頭から背中にかけて黒くなる色の変化が見られるのも特徴です。四季折々のトキの生態を田んぼでの採餌の様子と共にご紹介します。
トキの歴史と行動
トキはかつて、ほぼ日本全土で普通に見られる鳥でした。明治頃、多数が狩猟され、肉や羽は重宝されました。
また、農薬の使用、生息地の改変・消失・開発などの環境破壊が起こり、1952年「特別天然記念物」に1960年「国際保護鳥」に指定されるが、その頃にはすでに20羽前後にまで減少していました。
1981年野生のトキを保護し人工飼育が始まり2003年まで続けられたが成功せず、日本産トキは絶滅してしまったが、1999年中国から贈呈されたトキの人工繁殖が成功し、現在では毎年数十羽の元気なヒナが育っている。2008年には、佐渡の大空へ10羽のトキが放鳥され、それから毎年放鳥は続いています。
トキの春夏秋冬
- 繁殖期(1月~6月)
頭から背中にかけて羽の色を黒くする。ペアで巣の中心に行動することが多い。なわばり形成。 - 非繁殖期(7月~12月)
羽が生え変わり頭から背中にかけて白くなる。同じねぐらや餌場を使い、群れを形成。 - 冬の餌場
田んぼの江や水路など、水の流れがあり雪が溶けている場所 - 春の餌場
田んぼやあぜ。人が多くなる田植え頃からは調整水田や休耕田 - 夏の餌場
稲が高くなる頃は、調整水田や休耕田、田んぼのあぜや草地を利用 - 秋の餌場
稲刈り後の耕していない田んぼや、水が部分的にたまっている田んぼ
トキの餌
ドジョウ・カエル・ミミズなどが好物。
イナゴ・トンボなどの昆虫、タニシなどの貝類など水生生物を幅広く採食する。木の実などの植物の採食記録はない。
トキの羽色の変化
トキは首のあたりの皮膚が黒く、繁殖期が近づくとこの皮膚が厚くなり粉状になって剥がれ落ちます。それを水浴びの後こすりつけるため、頭から背中にかけて黒くなります。
この様な羽色の変化は鳥の中でトキだけです。羽色が黒くなると繁殖可能を示すとともに、抱卵時の保護色とも考えられています。
トキの見分け方
トキに似ている鳥としては全身が白い、いわゆるサギ類がいます。それぞれの特徴を覚えていただくと、見間違いが少なくなります。