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指定種別(員数) | 絵画(1幅) |
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指定年月日 | 平成16年3月1日 |
所在地 | 佐渡市中興乙 |
所有者または管理者 | 個人蔵 |
薄墨により中世の環濠(かんごう)屋敷が描かれた絵図である。屋敷の外側の土塁と堀に30本ほどの樹木、南側の土塁の中央部に正門、北側に裏門、内部に向唐破風の中門があり、その西隣に寄棟造で草葺屋根の母屋と板葺屋根の中門がある。中門造の住居は鎌倉時代からの武家住宅の形態であるが、絵図の建物が戦国時代のものと思われることから、武家造の形態が後世に引き継がれてきたものと推察され、村殿が百姓出身でありながら地頭の代官として武家待遇を受けていたことがうかがえる。
また、この絵図に描かれた屋敷の所在地は「城の内」の地名を残し、現在もわずかに塀跡などを残すことから、絵図は戦国時代の藤津村の館跡を示す重要な資料と考えられている。現在の佐渡の民家には絵図にある中門造がないことから、中世末の佐渡の土豪層の屋敷形態を伝える資料としても重要である。
なお、絵図の中に「本地、清水者、□昔明応年中大早魃の時 云々」と書かれた文面があることから、描かれている屋敷の年代は明応年間(1492〜1501)以降と推測される。