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選定種別 | 保存技術 |
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選定年月日 | 平成12年3月24日 |
所在地 | 佐渡市沢根五十里 |
技術保持者 | 本間弘 |
佐和田地区沢根五十里の職人たちが保存継承する茅葺技術である。佐渡の茅葺屋根は風の強い佐渡特有の気候を考慮して長いカヤを使用し、葺場所によってはヨシやワラ、ムギワラなどを使用したことから、「クズ屋根」「カヤ屋根」とも呼ばれていた。この葺き替え作業は主に農閑期に行われ、10数軒の仲間で屋根葺組を組織し、各人がカヤ2疋(3.6メートルの縄で締めた2束)を持参して無償で手間を出し、8人ほどの職人が2〜3日の短期間で葺替えていた。
茅葺屋根の家並は日本の原風景とされ、かつては全国各地で見かけられた一般的な農村風景であったが、瓦葺・鉄板葺への変更や都市開発などにより年々減少し、現在では一部の地域でしか見ることのできない貴重な光景となった。佐渡もその例外ではなく、昭和10年(1935)の調査では、佐和田地区だけで496棟の茅葺屋根が確認されていたが、現在では佐渡全体を見渡しても各地区に数棟ずつしか残っておらず、今や葺替え技術とそれを保持する職人そのものが貴重な存在となっている。