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本院の整備事業は、現病院での喫緊の課題である津波災害対策をはじめとする安全性を確保することはもちろんのこと、利用者・職員の利便性の確保、機能的な建設計画の策定が可能となる敷地面積を確保できる立地など、各条件を満たした敷地を選定する必要があり、次のとおり整理し検証しました。
上記の選定方針を踏まえ、両津地区の中心である両津支所から自動車で概ね10分の移動距離内で一定程度の空地面積を有する敷地として、下図に挙げる9か所の敷地について比較検討を行いました。
上記9か所の建設候補地について、選定方針に従い分析評価した結果、新病院整備を行うための敷地面積が確保できること、現行の利用状況を踏まえ用地取得が容易であること、人口密集地に近く、利用者・職員の利便性が保たれることなどを考慮し、「ア 両津梅津多目的広場周辺」、「イ 両津文化会館及びその周辺」、「オ 湊都市再開発用地」の3か所に絞り込み、さらに詳細な比較検討を行ないました。
建設候補地の比較検討を行なった結果、次の点を評価し、「両津文化会館及びその周辺」を建設予定地として選定しました。
移転新築方式とともに、現地建て替えの可能性についても検討を行ないました。
病院機能を継続しながら、現在の敷地内での建て替えは、物理的、技術的には必要とされる病院機能を敷地内に配置することは可能です。しかし、病院機能を生かし、診療を継続しながらの「居ながら工事」となるため、段階的な施工による事業費の増加や工期の増大が見込まれること、工事に伴う震動や騒音が患者の療養環境に与える悪影響、外来や検査などの各種機能を結ぶ動線の分断による機能低下など、様々な影響が出ることが心配されます。
また、現在地は津波の浸水が想定されていることから、たとえ厳しい条件や多くの制約を乗り越え、複雑な工程による建て替えを行ったとしても、将来にわたり地域の医療を支えることが求められている本院として、津波災害警戒区域に立地する病院の課題を解消できないことから、現地の建て替えは建設用地を他に確保することができない場合のみ、採用できる方式であると判断しました。