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令和4年度 施政方針

記事ID:0035251 更新日:2022年3月30日更新 印刷ページ表示

目次

はじめに

  1. 市民の意見を市政に反映する島づくり
  2. 産業振興と雇用が充実した島づくり
  3. 防災・減災で安全安心な島づくり
  4. 子どもから高齢者まで市民が夢や希望のもてる島づくり
  5. 医療・介護・福祉が充実した島づくり
  6. 教育と文化の島づくり

おわりに

 

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令和4年度 佐渡市施政方針 [PDFファイル/415KB]

 

はじめに

市長

 

 令和4年度当初予算案及び諸議案のご審議をお願いするに当たり、新年度の市政運営について私の所信の一端を申し述べさせていただきます。
 議員各位並びに市民の皆様のご理解とご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
 新型コロナウイルス感染症への対応は、私が市長に就任してからの約2年の間、ワクチン接種や感染予防の徹底を図りながら、安全安心な暮らしの確保として、子育て、生活困窮、高齢者世帯等への支援に加え、雇用の確保・事業継続のための支援、新しい生活様式やテイクアウト支援等の感染防止対策、プレミアム商品券や島民・県民限定の宿泊プラン等の経済対策を、地域の状況を見極めながら、取り組んでまいりました。
 一方、感染力が強いとされる新たな変異株の出現等により、世界各国及び国内でも感染者が急増し、未だ社会へ大きな影響を与えています。市民の皆様にはご不便をおかけしますが、引き続き予防対策、特にマスクの着用と換気の徹底等、新しい生活様式の実践を改めてお願い申し上げます。
 さて、令和4年度からは、市民の皆様をはじめ、島内外の多くの方々からご参画いただき策定された新たな総合計画に基づき、人口減少に伴う賑わいの喪失(そうしつ)、経済の喪失、地域の喪失を本市の最重要課題と捉えた上で、引き続き、子育て支援や起業・移住定住の推進、健康寿命日本一に取り組むとともに、脱炭素社会・資源循環型社会・自然共生社会を柱とし、そこに佐渡ならではの歴史、文化や環境に経済と日常の暮らしが共鳴(きょうめい)する持続可能な島づくりを進めてまいります。
 その実現に向けて新年度は、ローカルSDGsとも言われる地域循環共生圏、そしてSDGs未来都市に挑戦する「リスタート元年」と位置づけ、小さく、コンパクトで持続可能な日本の自立・分散型社会のモデル地域を目指し、多様な主体との協働により、様々な社会的課題の解決と新たな地域づくりを進めてまいります。

 

道遊の割戸


 また、昨年末の文化審議会世界文化遺産部会において、国内候補に選定された「佐渡島(さど)の金山」が令和3年度の日本国代表として、ユネスコの世界文化遺産に推薦されました。これは佐渡金銀山が世界に誇る日本の文化として認められたものであります。26年にも及ぶ長期間の取組にご尽力をいただきました市民、県民、郷土会、経済界等、多くの皆様方に感謝を申し上げるとともに、この価値の磨き上げ、推薦までのご指導、ご支援をいただきました岸田総理大臣をはじめ、政府及び各府省庁の皆様、国、県、市の議員の皆様、新潟県に併せて感謝申し上げます。今後は新たなスタートとして、文化的価値の証明と適切な保存体制を構築し、佐渡金銀山の普遍的な価値の証明と未来への継承、文化を活用した魅力あふれる地域づくりの取組を進め、国内外への発信や受入体勢の整備を進めてまいります。

 

菊地投手


 更には昨年から、大相撲の朝乃若関の躍進(やくしん)や初のプロ野球選手となる菊地投手など、佐渡の若者の活躍による明るい話題が続いています。

 

羽茂高校

 

野球や相撲をはじめ、バレーボール、バスケットボールなどのスポーツ界に加え、将棋や郷土芸能等の文化面でも全国の大舞台での活躍は、これまでの個人の努力とご家族や指導者、関係者の方々の多くの支えが実を結んだ成果であります。心より感謝を申し上げるとともに、今後も多様な人材が全国、世界を舞台に活躍・飛躍できる人材育成、環境整備に取り組んでまいります。

 

将棋


 他方で、佐渡航路や医療の問題、地域コミュニティの喪失など、新型コロナウイルスや人口減少に伴い顕在化(けんざいか)している地域課題の対策も国や県と連携し、多様な課題解決の手法を提案していかなければなりません。国、県に地域の実情を訴え、新たな支援の構築を継続して要望してまいります。
 新年度の予算編成に当たっては、このような状況も踏まえ、環境・経済・社会の三方において複合的、統合的に効果をもたらす人材、外貨を獲得し、地域循環の活性化を促す考えを土台とした自立・分散型社会の実現に向け、私が政策として掲げた6つの柱を基本とし、地域コミュニティの確保、子どもからお年寄りまで元気で活躍できる社会、起業及び創業の積極的な展開と島内企業の経営拡大、移住・定住のより一層の促進、暮らしに不可欠なライフラインの安定化、デジタル化の促進などへの対策に力点を置き、事務事業の見直しと財源確保の徹底を図るとともに、中長期的な視点での行政運営も検討した上で施策の重点化を図りました。
 また、部制とする新たな組織改編と外部人材の登用から、社会変革のスピードに対応する政策議論の徹底と多様な社会課題に対応する高い専門性による市民サービスの向上により、市民から信頼される行政運営を目指してまいります。
 それでは、令和4年度の主要施策につきまして、私が掲げた6つの柱を中心にその概要をご説明いたします。

 

 

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1 市民の意見を市政に反映する島づくり  

 本市の高齢化率が50パーセントを超える行政区は令和3年4月1日時点で269となり、この5年間で52もの行政区で高齢化が進行しています。少子高齢化が進む地域の課題を解決し、元気で賑やかな地域づくりを進めるためには、市民や地域の声を的確に市政へ反映し、地域の
活力やコミュニティの喪失を防がなければなりません。そのためにも、私自身も積極的に市内の地域やグループ単位での意見交換を重ねてきたところでありますが、継続して各支所・行政サービスセンターを拠点とした人材確保や地域づくりに向けた体制整備を強化する必要があります。

 

集合


 令和4年度からは、地域づくり、健康づくり、コミュニティづくりを推進するためにも、地域コミュニティ交付金を創設し、地域づくりに向けた議論と支援ができる体制を作ります。併せて、地域それぞれの課題を各支所・行政サービスセンターを拠点に議論し、特色を活かした地域づくりを行うため、支所等へ新たな地域活性化に向けた事業予算を確保してまいります。
 また、コロナ禍が続く中、市民サービス、政策実現のスピード向上等、様々な面でデジタルトランスフォーメーションを活用した効率化、効果的な行政運営が求められています。国においてもデジタル庁の創設、デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針を進めており、本市でもデジタル社会への変革が必要となっています。そのため、デジタル政策室の設置と外部の専門知識を有する人材の活用に加え、島内外の関係機関で組織するチームを立ち上げ、市民サービス、高齢化、観光を含めた産業振興への対応を主とした島全体の効果的なデジタル化の検討から、本市におけるデジタル化の方針を策定し、その実行により、行政サービスの向上と地域課題の解決に向けて取り組んでまいります。

 

 

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2 産業振興と雇用が充実した島づくり

 昨年12月に令和2年国勢調査における新潟県の人口と世帯の確定値が公表され、県全体では平成12年調査から5回連続での人口減少となり、減少数は過去最多、減少率は過去最大となりました。
 本市の人口は5万1,492人となり、前回の平成27年調査と比較して5,763人、10.1ポイント減少し、そのうち15歳から64歳までの生産年齢人口は3,739人減少しており、経済の縮小や地域の喪失を防ぐためにも、生産年齢世代の減少を食い止めることが喫緊の課題であり、そのためにも産業振興や雇用対策がますます重要になります。
 一方、令和2年度のUIターン者は504人で、そのうち40歳未満の移住者は295人、方面別では新潟県内、東京都からの転入が多くなっています。昨年度からは、更なる移住定住の受入れの拡大と定着を進めることを目的に移住交流推進課を新設し、組織機能の強化を図り、お
試し住宅の増設や空き家の改修整備等に加え、佐渡で起業する若者への支援や人材・企業の受入環境の整備などに取り組み、島の魅力も含めた情報発信の強化と働くことと暮らすことを一体とした受入体勢の強化を進めてきたところです。

 

Uターン


 令和3年度においても、3UIターン者は1月末時点で375人となり、前年同月比では25人増加し、そのうち40歳未満は226人、前年同月比では34人増加しています。起業・創業・経営規模の拡大に関しましては、71社が事業を進めており、一定の成果も出ていると感じています。
 今後もUIターン者をはじめ、多拠点居住者や季節移住者などの多様な移住者の希望に応(こた)えることができるよう、集落・民間事業者と連携し、お試し住宅の運営の拡大を進めるとともに、より一層の移住の受入れや定住への支援として情報発信と相談機能の拡充に取り組んでまいります。

 

I


 また、佐渡で起業、第二創業、経営規模の拡大など、島内外の企業の新たな挑戦を応援するためにも、引き続き国の交付金等を最大限活用し、ビジネスコンテストやインキュベーションセンターの整備等を進め、新たな雇用の創出や事業拡大の流れを加速化させます。併せて、コロナ禍において多様化するテレワークなどの働き方に対応した受入れを進め、多様な企業や人材の誘致に加え、島内企業の経営拡大などによる島内経済の活性化から、起業成功率ナンバーワンの島づくりと人口の社会減ゼロを目指してまいります。
 更に産業振興に向けては、佐渡産品の少量多品目を活かした高付加価値販売と販路拡大に取り組まなければなりません。そのためにもコロナ禍におけるDX化による発信、販売の体制を構築し、ふるさと納税5億円を目指した取組に加え、新たな販路開拓等に取り組んでまいります。
 併せて、大学生などの若年層が島で活躍できる仕組みづくりのために、学生のニーズに合わせたインターンシップやワーケーション等を強化し、若者が佐渡で働き、学び、佐渡の交流人口となるよう、首都圏等の大学や都市との連携を強化して進めてまいります。 農林水産業につきましては、日本全体で新型コロナウイルス感染症や人口減少による飲食等の経済の縮小、消費全体の縮小が進んでおり、消費量、価格とも低迷しています。一方で国は「みどりの食料システム戦略」を策定し、食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現する方向性が示され、調達から生産、加工・流通、消費における意欲的な取組を引き出し、革新的な技術・生産体系の開発と社会実装に取り組んでいくとされ、農業のオーガニック戦略、低炭素戦略について指針を定めたところです。
 当市の農業においては、トキが暮らしやすい地域づくりを目指し、日本で初めて世界農業遺産に認定されて10年が経過する中で、これまでにトキ認証米制度をはじめ、安全安心な佐渡ブランドを確立してきたところでありますが、今後はみどりの食料システム戦略を取り入れた生産体制の構築と更なるブランド力の強化が必要となります。
 そのため、世界農業遺産で認定された生物多様性や農村文化に加え、世界文化遺産の国内推薦により佐渡のブランド力の向上を図り、無農薬無化学肥料栽培、ECサイトなどの活用によって、島の特徴を活かした高付加価値販売による新たな販売戦略の構築と地域の実情に合わせた多様な経営体制づくりを進めながら、競争力の強化も意識した効率的で持続可能な生産体制の構築を目指してまいります。
 また、トキと共生する農業システムは、トキの本州等での放鳥計画と併せ、改めて全国に発信しなければなりません。関連自治体との連携を図りながら、生物多様性をはじめ、環境に配慮し生産された農畜産物を島内はもとより、都市部の子どもたちの給食に提供することで、トキの野生復帰や食育を柱とする日本のモデルとなる農業の再生を目指してまいります。

 

田んぼアート


 併せて、現在多くの百貨店、総合スーパー、米専門店などと連携していることから、これらの連携強化に加え、消費者への積極的な情報発信を行い、積極的なトップセールスも含めて佐渡ブランドの構築を進めてまいります。
 林業振興においては、佐渡産材の利用拡大やカーボンニュートラルの特性を活かすため、木材の生産能力の向上を図らなければなりませんが、島内の林業事業体は、高齢化や人員不足等から経営が厳しく、機械化の遅れもあり、かつてのような森林整備を行うことが困難になりつつあります。
 そのため、森林環境譲与税を活用し、高性能林業機械の導入や技術力向上のための支援を行うことで、森林施業の効率化を図り、林業事業体の経営基盤の安定化に繋げることにより、競争力のある佐渡産材や木質バイオマスの必要量に供給可能な生産体制の整備を進めてまいります。
 また、新庁舎等の公共施設での木質化の推進に加え、大学等との連携により、佐渡産材を保育園の遊具等に活用する木育プロジェクトを新たに実施し、木に親しむことのできる環境整備に取り組むとともに、住宅等の建築への支援を行い、佐渡産材の地域循環と木育の推進を図ってまいります。

 

木育


 水産業においては、今冬(こんとう)のブリの記録的な不漁など、漁獲量、魚種ともに過去にない変化が起きているのではないかと想定せざるを得ない状況となっています。まずは漁業協同組合、民間企業と連携しながら、現状把握を行い、佐渡産水産物の高付加価値販売や加工等の取組について検討を進めていかなければなりません。併せて、ブルーカーボンとして注目される藻場(もば)の維持と活用を図るため、魚礁(ぎょしょう)設置による保護区域の設定やアマモの播種(はしゅ)など、資源管理と環境保全の取組の推進に加え、漁港や海洋深層水施設を活用した環境負荷の少ない養殖漁業を推進し、コンブ等の海藻養殖の拡大など、育てる漁業に取り組み、持続的な生産体制の構築を図ります。設置から3年目となる水産業雇用促進センターにおいては、国や県による支援制度と連携を図りながら、新規漁業就業の確
保に取り組んでまいります。

 

寒鰤


 観光面では、長引くコロナ禍の影響により観光関連施設や交通、飲食等の産業において非常に大きな影響を受けており、その早急な立て直しとウイズコロナ、アフターコロナに向けた持続可能な観光地へ変革が必要であります。
 この度、佐渡金銀山の世界文化遺産のユネスコ推薦が決定したことは、島の文化的、歴史的な価値が世界で評価されるものであり、その価値を世界に発信するための大きな証明をいただいたものと考えています。また、昨年10月には本市が「世界の持続可能な観光地100選」に選ばれ、これまでのトキとの共生や生物多様性の保全などの世界農業遺産の取組が改めて評価されています。

 

岩首棚田


 これらの契機を成長のチャンスとしてしっかり捉え、佐渡金銀山が持つ江戸時代を代表する金生産の歴史、長年にわたり守られてきた能や神社仏閣などの伝統文化、そしてトキを代表とする豊かな生物多様性と農村文化に加え、ジオパークが物語る美しく、ダイナミックでかつ、佐渡の成り立ちが学べる自然景観などの独自の資源を活かし、持続可能な観光地域として国内外の多くの方々から選ばれ、訪れ、体感し、暮らしたいと思っていただけるような観光戦略が重要になります。
 そのため、観光振興課では戦略や方針の策定とともに、世界文化遺産登録を見据えた自然、文化、スポーツ等のツーリズムを実践するための機能強化を図り、佐渡観光交流機構においては、誘客、観光地域づくりの磨き上げを実践する体制への移行に向けて支援の強化を行います。併せて、外部人材の活用により、マーケティングと受入体勢を見直すとともに、戦略づくりや観光マネジメントに取り組み、関係・交流人口の拡大と長期滞在、移住へのアプローチも視野に入れた誘客に取り組んでまいります。

 

トキ


 また、世界文化遺産登録後に向けたおもてなしを核とした受入環境整備のほか、佐渡の豊かな自然、トキ、環境、文化も含めた多様な体験や体感をしていただくため、ネイチャーツーリズムやサイクリング等のアドベンチャーツーリズムに加え、スポーツ・健康など、佐渡ならではの多様なツーリズムを積極的に展開するとともに、Eバイクや電気自動車等の移動手段とデジタル活用により、健康で低炭素な観光地域づくりを推進し、「暮らすように旅をする」滞在型観光の充実を図ってまいります。

 

観光イラスト


 一方、離島において人が住み続けていくためには、交通体系を含めた地域でのライフラインの維持・確保に加え、島内の人口減少が進む中、地域公共交通の存続・安定化に当たっては、関係・交流人口の増加を図り、島民のみならず来訪者の利用促進が不可欠になります。
 そのため、佐渡航路においては、新しい体制となって経営改善に取り組む佐渡汽船の経営状況を注視し、カーフェリーや貨物船の安定的な輸送体制の確保、老朽船舶の更新、小木直江津航路のあり方などの諸課題に、新潟県及び関係自治体と連携しながら対応してまいります。
 空路においては、現佐渡空港で令和5年以降に就航を計画している航空会社の動向も見据え、佐渡と首都圏を結ぶ直行便の実現を目指すとともに、空港2,000メートル化に向けた用地交渉に、引き続き真摯(しんし)に取り組んでまいります。
 生活交通においては、利用者が減少し公費負担が増加している路線バスの運行体制を見直します。一定の輸送需要がある幹線道路での地域間移動は路線バスを維持し、幹線道路から離れた地域内においてはデマンドバスや乗合タクシー、小型電気自動車を導入するなど、地域特性や輸送規模に応じた交通体系の構築を目指します。また、効率的な運行体制の確保や利用者の利便性向上を図るため、ICTを活用した新たなモビリティサービスの実証調査に併せて、自動運転や低炭素社会の実現に向けたEVバス等の導入に向けても、企業と連携して検討を進めてまいります。

 

 

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3 防災・減災で安全安心な島づくり

消防

 

 本市が直面する大規模災害リスク等に備え、市民の生命と財産を守り、経済社会活動を安全に営むことができる地域づくりを進めるためには、インフラの老朽化・耐震対策等の「ハード面」とともに、防災教育や自主防災組織の育成などの「ソフト面」の両面で取り組むことが重要になります。
 本年1月に海底火山噴火と津波で大きな被害を受けた南太平洋のトンガでは、離島のために支援、復興が遅れました。また、東日本大震災での離島の災害復旧が大きく遅れたことに鑑(かんが)みても、改めて離島の防災力の向上に向けた新たな対策が必要であると言えます。
 島としては広大な面積を有し、集落が点在する佐渡において、防災力や災害時の復旧力を高めるためには、本州との系統連携がなく、海上輸送による化石燃料ベースの火力発電に大きく依存しているエネルギーの供給システムを自立・分散型の再生可能なエネルギーに転換するなど、多様な発電体制をベストミックスの仕組みで導入していく必要があります。そのため、ソーラーを活用した発電体制の策定を進めながら、風力、バイオマス、水素などの検討を進めて、エネルギーの自立的供給の仕組みづくりに取り組んでまいります。
 令和4年度の交通インフラの整備においては、有事の際の緊急輸送道路に指定されている国道350号や主要地方道佐渡一周線をはじめとした道路改築事業は最優先課題であると認識しており、関係機関と連携を図りながら、引き続き推進してまいります。生活道路である市道整備についても、狭隘(きょうあい)な区間や危険箇所の解消に向けて取り組んでまいります。

 

救急


 令和3年度から事業化された両津港湊地区における岸壁の老朽化対策や防災機能の強化を図る港湾整備事業についても、災害時等の防災拠点及び輸送基地としての重要な役割を担うことから、引き続き事業促進に向けて、国や県に働きかけてまいります。
 また、老朽化が著しい相川消防署高千出張所の建設工事を進め、地域防災拠点の整備により消防力の強化を図ってまいります。
 多くのインフラが直面している老朽化対策につきましては、定期的な施設点検・診断により状況把握に努め、社会の重要な機能を持続するための生活インフラ施設の長寿命化及び強靭化(きょうじんか)に取り組んでまいります。
 併せて、近年の通学路等における痛ましい事故が発生していることを受け、合同点検に基づく交通安全対策の取組を強化し、通学路の安全確保に努めてまいります。
 ソフト面においては、災害対応や応急復旧に必要な「公助」に加え、自分の身は自分で守る「自助」と、とりわけ地域で助け合う「共助」の強化が必須となることから、自主防災会等で策定する「地区防災計画」の作成を更に進め、地域防災力の向上を図ってまいります。
 離島の防災力の向上に向けて、有事の際に司令塔となる防災拠点庁舎建設はスケジュールどおりに進捗しているところですが、エネルギーの供給体制において、災害時の電源喪失対策としても機能できるよう、防災拠点となる本庁舎等の行政庁舎や避難施設、生活に欠かせない医療・福祉や教育、産業関連施設など、これらを中心としたエリアや施設群への再生可能エネルギーの導入と省エネ化の促進を図り、新たに推進体制を構築して取り組んでまいります。
 また、対象エリアのゾーニング調査や関係者との合意形成等を進めるとともに、一般家庭での太陽光発電や蓄電池、V2Hの導入支援に加え、災害時の非常用電源として活用が可能な電気自動車の導入を推進するなど、防災と環境面の課題を同時に解決できるよう、地産地消のエネルギーを活用した持続可能な島づくりに取り組んでまいります。
 環境面においては、リデュース、リユース、リサイクルの3R(スリーアール)を推進し、改めてゴミの資源化や分別の仕組みを研究するため、庁内にプロジェクトチームを設置するほか、バイオマスの活用や下水道汚泥の資源利用などの検討を進めてまいります。

 

 

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4 子どもから高齢者まで市民が夢や希望のもてる島づくり

 人口移動調査による令和2年度の本市の出生数は249人となり、この5年間で81人減少し、人口減少の流れが顕著になっている一方、全国的に理想の子どもの数を3人以上としながらも、経済的な理由で断念する家庭も多くなっています。
 そのため、本市では令和3年度から「子どもが元気なたからじま事業」により、健やかな成長を祝い、経済的な負担軽減を図る成長祝金の支給等を開始しました。更には、不妊治療に係る費用の助成制度の拡充や子どもの遊び場づくりなどに取り組んできたところです。
 子育て世帯における母親の就労状況は8割を超えており、従来の保育サービスの提供に加え、仕事と子育てが両立できる働き方の仕組みづくりが求められています。

 

子どもから高齢者


 今後は、国が進めるこども家庭庁創設の動きを注視しつつ、働く子育て世帯への支援の一環として、地域ぐるみでの子育てを目指し、民間の事業所や地域団体と連携しながら、保護者が子どもに関わる時間を増やす取組や子どもの居場所づくりを進めてまいります。
 保育サービスにおいては、公立保育園の業務ICT化を進め、保護者や保育士の負担を軽減することで、保護者ニーズに合った園体制の構築や保育士が園児と向き合う時間を増やすなど、更なる保育の質の向上を図ります。併せて、子ども若者相談センターへの相談が年々複雑化、多様化していることから、専門知識や経験を有する人材を相談支援員として登録し、専門性を活かした幅広い相談対応を行うことで、早期の問題解決や適切な支援に繋げてまいります。
 更には、これまでの不妊治療に係る費用助成に加え、不育治療に係る費用も助成対象とするほか、妊産婦医療費助成の条件を緩和するなど、妊娠、出産を望まれる方への支援強化を進めてまいります。
 また、健康寿命日本一を目指す上で取り組むべき課題として、生活習慣や運動習慣の改善が挙げられ、働き盛り世代の肥満や欠食の割合、運動習慣における本市の各指標は県平均よりも悪く、今後の健康面への影響が危惧されます。少子高齢化が進行する中、子どもから高齢者までの各世代が生き生きと元気に暮らし、地域で活躍していくためには、市民や団体等での健康づくりに加え、生涯学習や文化振興、スポーツの推進等の教育面など、多方面からのアプローチが重要になります。
 そのため、健康月間を新たに設けて、健康キャンペーンの実施や健康イベント等を包括連携企業との連携により開催し、健康づくりへの意識の醸成を図ります。また、新たに尿中塩分濃度の測定検査を実施し、高血圧の原因の一つに挙げられる塩分量を見える化することにより、健康に対する意識を高めていくほか、栄養改善や生活習慣病の重症化予防、フレイル相談や予防普及啓発などを関係機関と連携して一体的に実施することにより、健康寿命延伸に向けた体制強化を図り、生活の質の維持向上に繋げてまいります。
 教育面からは、市民大学講座等の学習機会の提供や県展・市展などを通じた芸術文化に触れる機会の創出のほか、ウオーキングやヨガ、ストレッチなどの各種教室・講座を開催することにより、身体の健康づくりを推進します。更には、各地区において、親子の触れ合いを目的とした親子参加型の教室やキャンプ等を通して、子どもの生きる力を身に付ける取組を進めてまいります。
 また、子育て世代や若者が集い、交流できる地域の拠点整備に向けて、図書館機能の移転を含めた佐和田行政サービスセンターの活用を図るため、関係機関や市民と意見交換等を行いながら、基本計画の策定を進めてまいります。
 図書館においては、親子連れや子どもたちが読書に親しむ機会を提供できるよう、絵本フェスタ等を実施するとともに、音声図書や再生機器を配備し、高齢や障がい等により活字が読みづらくなっている方への読書支援に取り組んでまいります。
 障がい者福祉につきましては、日常生活や社会参加を支援するため、人材の育成・確保と併せて総合福祉相談窓口を設置するなど、相談支援体制の充実を図ります。また、障がいの特性に合わせた適切な対応、支援ができるよう、相談支援事業所並びに精神科医療機関等との連携を密にし、障がい福祉サービスの充足に努めてまいります。

 

 

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5 医療・介護・福祉が充実した島づくり

 本市では高齢化率が40パーセントを超え、要支援・要介護認定者数は約5千人となっています。医療体制そのものが脆弱(ぜいじゃく)な離島において、安全・安心で安定した地域医療を提供するためには、医師や看護師等の医療従事者の確保が喫緊の課題であります。また、地域医療を守っていくためには、人材の確保・育成とともに、医療施設の整備や情報通信の活用等による総合的な医療対策に加え、医療・介護・福祉が連携した体制づくりや支え合いの仕組みが不可欠になります。
 そのため、急性期医療の中核となる厚生連佐渡総合病院の臨床研修医を対象とした研修医海外留学支援制度を創設し、長期的に佐渡医療圏に関わる人材を確保します。看護師の確保については、医療技術者奨学資金貸与制度を引き続き実施するとともに、急性期医療に対応が可能な高いスキルを持つ人材の確保に取り組んでまいります。

 

医療


 また、オンライン診療を含めたICT化について、新病院建設と並行し市立両津病院での導入の検討を始めます。
 加えて、地域医療構想の実現に向けた病床機能の再編を着実に進めるために、佐渡地域医療・介護・福祉提供体制協議会を主体とした連携体制の構築に取り組んでまいります。併せて、民間病院の医科閉院による市民への影響を最小限に抑えるため、市立病院での受入体制を構築するとともに、島内各医療機関と連携し、取り組んでまいります。

 

 

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6 教育と文化の島づくり

 本市には佐渡金銀山をはじめ、認定から昨年10周年を迎えた世界農業遺産やトキ、日本ジオパーク等の世界に誇れる歴史・文化、自然など、素晴らしい地域資源と魅力にあふれ、市民の皆様が豊かに暮らし、地域への愛着や誇りを持って活躍できる基盤が整っている島であります。
 これまで郷土愛を軸としたキャリア教育の実践のほか、全国で活躍できる子どもたちや指導者への支援等の人材育成に加え、佐渡出身者を含めた関係人口づくりに取り組み、佐渡を支える人材確保と育成に注力しているところです。また、市内の学校と地域の様々な団体が一体となって、多様な教育に取り組めるよう「佐渡教育コンソーシアム」を立ち上げ、地域の未来を担う人材の育成と子どもたちにより良い学び場の提供を目指し、協働体制づくりを進めています。
 児童生徒数の減少に伴い、小中学校の存続が危惧される地域では、学校と地域が一体となって島留学を推進し、島外から児童生徒や家族の受入れを行っていますが、高校においても地域内の中学校からの入学者だけで定員を満たすことは困難な状況になっています。
 そのため、「地域みらい留学制度」を活用し、羽茂高校をモデル校として島外からの学生を受け入れるための環境づくりに取り組み、芸能文化をはじめとする南佐渡エリアの特色を活かした島留学を官民連携で推進するとともに、「佐渡教育コンソーシアム」のプラットホームを通じた協働体制の強化を図ってまいります。

 

教育


 文化の島づくりに向けては、新たに策定した文化振興ビジョンに基づき、「保存活用する」、「人材を育てる」、「環境を整備する」を柱とした貴重な文化を後世に残していくための取組を進めてまいります。
 ジオパークにおいては、子どもたちへの教育活動や地域での説明会を通じて、佐渡にある自然の価値を理解し、楽しみ、大切に思う気持ちを育む学習を推進するとともに、習得した成果を発表する機会を設け、ジオパークを身近に感じられるよう、活動を広げてまいります。
 博物館においては、佐渡の豊かな地域資源を見て、触れて、楽しみながら郷土を学び合う場の提供を行うとともに、市民が地域への愛着や誇りを持って活躍できる基盤づくりを整えるほか、多様化する市民や観光客のニーズに応じた機能の充実を図ります。併せて、子どもたちの創造性や発想力、コミュニケーション力等を育むため、歴史・文化・風土を体験できる出前授業やジュニア学芸員の養成などにより人材育成を図ってまいります。

 

 

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おわりに

 令和4年度の「リスタート元年」の実践に当たっては、組織編成において課制から部制へ移行し、総合的な政策策定と現場の専門性の強化を外部人材の登用と併せて行い、市の将来像や方向性に向かって失敗を恐れず変革に臨(のぞ)む組織、市民サービスの高度化や地域課題にスピード感を持って取り組むことができる強い組織づくりを進めてまいります。
 特に職員一人一人が市民のために働くという強い目的意識を持つことが、市民の期待に応(こた)えることができる組織への最短距離となります。不祥事を二度と起こさない強い思いを職員全体で共有し、研修と適正な評価の実施、国への職員派遣などを通し、持続可能な島の実現に向けた意欲の高い職員の育成と新たな組織づくりに取り組んでまいります。
 併せて、財政力の弱い離島地域にとっては、国や県、民間等の資金を最大限活用し、政策形成における創意工夫や進捗管理ができる体制づくりが重要となります。そのため、脱炭素やデジタル化、行政改革への対応など、成長が必要な分野や早期に解決すべき対策が必要な分野において、外部人材の活用に加え、産学官金の連携によるチームを構築して、専門性を活かし、スピード感のある組織体制も進めてまいります。
 最後になりますが、新たな総合計画の下、「歴史と文化が薫り、人と自然が共生できる持続可能な島」の実現に向け、子どもからお年寄りまで、誰もがいきいきと輝き、豊かに暮らし続ける島づくりを目指して取り組んでまいりますので、議員各位並びに市民の皆様に、より一層のご理解とご協力をお願い申し上げ、令和4年度の施政方針といたします。

 

空撮

 

 

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